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観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国映画 新感染半島 ファイナル・ステージ (感想)

おすすめ度:60%
ゾンビの意義度:100%
カーアクション度:100%
原題:반도(半島)116分

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あの『新感染』パンデミックから4年、"半島"は変わり果てた場所になっていた。2020年公開のゾンビアクション作品。

 あらすじ・キャスト

4年前"半島"で起こった、あのゾンビ・パンデミック
当時軍人だったジョンソク(カン・ドンウォンさん)は船で韓国を脱出し、香港に逃亡。

香港では今もなお、当てのない生活を送っていた。難民にもなりきれない日々、ある日"半島"に行き、金品を積んだトラックを持ち出すという危険な計画を実行することになる。
4年ぶりに戻った祖国、そこにはゾンビだけではなく人々も残っていたのだった…。

感想

作品自体の感想としては、相当な期待ハズレに感じてしまいました。
正直なところ、つまらないなと思いました。(個人的感想です、すみません)
前作『新感染』とは、お話の組み立て方や描写、ゾンビの使い方含め180度違ったお話だと知ってから視聴された方が、楽しんで観れると思います。
長所としては前作を観ていない方でも、予備知識が全く必要がない作りなので、そこは親切で素晴らしかった。

前作の特徴として、突然出現したゾンビによって、愛する人々がゾンビ化するのを目の当たりにした恐怖や人間性の変化というヒューマン的な描写と上手さとテンポのよさ、そして電車が舞台の閉鎖空間内での逃げ場のない緊迫感あるゾンビ戦が大きかったです。
そして今作ですが、ゾンビはもはや単なるお飾りのような敵になっていて、対ゾンビというよりは、人間vs人間のアクション映画作品に路線変更。
ゾンビは最早モブキャラ状態で、私はゲームの『グランセフトオート』シリーズを思い出しました。
半島が荒廃してしまった理由というだけで、ゾンビがそこに存在しているようで…。
今作でゾンビに対して「怖い」と感じることは皆無で、ゾンビ映画としてその点が一番アイデンティティを失っているのでは?と感じました。
ちょっとゾンビさんに対する敬意(?)が不足していたような。

結論:
カン・ドンウォン先輩がかっこよかった!
と、ゾンビという未知なる存在に対する印象が弱すぎて、最終的に主演の俳優さんに印象が残ってしまいました。

ゆるいネタバレありの感想

イ・レさんインスタグラムより

あの韓国を揺るがした、ゾンビ大発生事件(『新感染』)から4年後…。
結局ゾンビ発生の理由などは、時間が経過した今も全く解明していないようです。
冒頭でいきなり「人々が逃げたプサンも安全ではなかった」と説明され、視聴時に思わず涙してしまった、前作のラストシーンのあの2人もあの後に悲惨な目に…?と、絶望したのは言うまでもありません。

当時軍人で大尉だったジョンソクは、逃げ惑う人々と共に姉と甥を連れプサンから船で半島を脱出。
日本へ出航予定でしたが、なぜか途中で行先は香港へ変更となります。
嫌な予感がした船内ですが、案の定客室で乗客の1人がゾンビ化し、再びパニック。
「今回は船が始まりか~」と呑気に視聴していたのですが、一瞬で船シーンは終了。よく考えるまでもなく、これは単なるプロローグでした。
甥と姉を船内のゾンビパニックで失ってしまった、ジョンソクさん。
船内で合流した義理の兄と共に、失意の中で香港に結局到着したようです。

そして現在。
香港で日々あてもなく暮らしているジョンソク、そして義理の兄。
現地の人には「半島から来たのか?」と露骨に嫌がられたりと、行先不安な生活です。
このあたり、皮肉にも現在のCovid-19パンデミックをも彷彿させ、視聴していて複雑な気分になりました。

そんな"半島"出身で香港に住むジョンソクらに、ある日危険な計画が持ち込まれます。
あの国には巨大な金品がまだ残っている、というのです。大金を積んだトラックがある場所やトラックのNo.まで把握しているらしく、ソウルに残ったままのトラックを奪って香港へ船で戻ってくる…というある意味シンプルな計画。
簡単そうな話ですが、半島にはゾンビが大量にいるのは確実…。
渋るジョンソク。
ですが、結局今の生活で失うものはなく、またこの香港での彼らの生活を打開する策は「金」しかない訳で、危険を承知で計画に乗ることにしたジョンソクさんと義理の兄たちです。

・ゾンビは夜目が見えない
・音と光に敏感
というゾンビに対する注意事項2点を胸に、香港から韓国・仁川まで船で向かった一同。
上陸したグループは、たった4年間で廃墟のように荒れた祖国に帰ってきました。
目的のトラックを見つけるのに、やたらジョンソクさんが率先して1人で確認しようとするので、彼の行動に怪しさを覚えましたが、ただの正義感なのか特に理由はなさそうでした。
速攻でお金を積んだ車を見つけますが、運転席に人影が…。

白骨化していないので明らかにゾンビ(休眠中?)だと素人目にも理解できるのですが、不用意にその"人物"を動かそうとする仲間。そして、当たり前に目を覚まして襲いかかるゾンビ。
この彼らの行動ですが、どう考えても不注意すぎませんか?と正直キレそうになりました。前作のように初めてゾンビと出会った時ならともかく、ゾンビという存在を知っておきながらこの無知な行動は無いでしょ…と、視聴していてテンションが下がってしまいました。

この一連の行動がきっかけとなり、静かにしていたゾンビたちが動き出し、一斉に彼らの元へ集合。
その騒ぎはゾンビだけでなく、2つの人間のグループにも気づかれていました。
1つ目のグループは631部隊と呼ばれるファン軍曹が率いるヤクザ的な軍団。
2つ目のグループは、ジュニとユジンの10代の女の子2人のグループ。
ジョンソクはジュニとユジンに運よく助けられ、ゾンビ集団から逃げます。

イ・レさん演じるジュニがはちゃめちゃに可愛らしく、またドライビングテクニックも素晴らしいという描写は面白かったです!
序盤のこの出会いのカーシーンは、この映画がアクション色が強いという布石だったと思います。

一方の631部隊…。
残虐的でエキセントリックなファン軍曹と、精神的に不安定な謎の男ソ大尉を中心に
運営されているようです。
元々は4年前に残った民間人を助けるために発足したグループらしいですが、どんどんズレてしまったようです。
部隊に属していない人間を「野良犬」と呼び、その捕まえた"野良犬"とゾンビを戦わせて見物して楽しむなど悪趣味なゲームを行って、部隊を奮起させているようです。
とはいえ、この部隊ですがやたらアンダーグラウンドな俺たち」という分かりやすい世紀末的な描写が多すぎて、面白味がないように思えました。
この半島で人がゾンビと隣り合わせで生きていくには、食べ物の確保が重要だと思われますが、この631部隊の行動はあまり合理的でない気がします。
またこの部隊は男性のみで構想されているようなのですが、この半島では生き残った女性は(あの母・娘たち以外に)存在しないのでしょうか…?、とにかく設定的に雑な気がしつつ、イマイチよくわかんねえなと思いました。

後半にかけて「大金を積んだトラック」を巡り、ジョンソクが合流した
家族チームvs631部隊との闘いwithカーアクション!!
という構図に半ばなっており、このあたりでは完全に無言になってしまいました。
やはり人の敵はゾンビではなく、人間
それが一番この映画で伝えたかったことかもしれません。

エンディングでは、ジョンソクさんが長年胸に引っかかっていたトゲを、1発の銃声によって変えるという描写とドンウォンさんの表情は非常にドラマチックで、良かったなと印象が残りました。
色々な伏線を無事美しく回収し、この作品は終わりを告げました。

最後にソ大尉が「俺の過去を知らない所で…」的なことを言っていましたが、その過去を教えて欲しかったんですが…?と思った次第です。

ただ、前作のように「誰がゾンビになるのか」というドキドキ感が全くなく、妙に安心してずっと視聴できる展開になっています。
視聴者に「主人公は死なない」という安心感をもたらして最後まで裏切らない点は、ハリウッド大作を感じさせ、ある意味良い作品にも思いましたが、韓国映画らしいエッジをかなり失っている気もしましたが。

そういう訳でこの映画で最も印象に残ったのが、結論カン・ドンウォンさんだけだった、となってしまいました。
髪の毛がベタベタでも顔に傷を負っても、常に素敵なカン・ドンウォンさん(1981年生まれ)を拝見できて良かったと思いました。
普段あまりドラマに出られない方なので、たまに映画でこうして姿を見ると、カッコイイなあと半ば感動しました。(奇跡の40代)
ただ、よく考えるとジョンソク役のドンウォンさん、あまり話すシーンが無い気がしたのでそこはミステリアスすぎました。軍人は無口というレッテル的なキャラ設定でしょうか?

ということで、前作がとても面白かったのでウキウキで視聴したのですが、全体的に色々と気になる点が多く、ストーリーラインも思った以上に雑な気もして微妙な気持ちでエンドロールを迎えてしまいました。とても残念!

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