ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国映画 第8日の夜 (感想)

おすすめ度:58%
不思議な目度:100%
宿命度:100%
原題:제8일의 밤 115分

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2つの目を巡っての変死事件…「目」を止めることはできるのか?2021年ミステリー/スリラー/ホラー系作品。

あらすじ・キャスト

「赤い目と黒い目」の古い伝説…決してこの2つの目を引き合わせてはいけない。
若い僧侶チョンソク(ナム・ダルムさん)は師匠からの伝言を託すため、かつて寺院で和尚をしていたパク・ジンス(イ・ソンミンさん)の元を訪ねる。
再び「赤い目」が「黒い目」を求めて動き出したのを察知したジンスは、守る者として戦うことに決めるが…。

感想

面白いに違いない!とかなり期待していたのですが、正直微妙な気持ちで視聴を終えました。
ちょっと全体的に色々と説明不足だった気がします。
ストーリーラインそのものは割とシンプルなように思えましたが、根本的に主要キャラについての掘り下げや、描きたかったと思われるお話の本筋について、もう少し突っ込んだ描写が欲しかったと思いました。
また、”8日”というタイムリミットが切られていた割にあまり緊張感がなく、後半の方がゆったりしているという不思議な展開。

タイトルなどからは、ホラー系の印象が強く受ける作品ですが、ホラーとしての恐怖感はむしろ全くなく、割とライトな描写なので、怖いのが苦手な方でも大丈夫(多分)だと思います。ただ、視聴前は完全にホラー系だと信じきっていたので、ちょっと拍子抜けしてしまいましたが…。
2021年の作品なので、どのような感じで驚かせにくるのか!?と、ドキドキしていたのですが、ホラー描写はかなりベーシックであまり新鮮味がなかったかな…。

ただ、この作品は最後のエンドロールの8のロゴから判断しても、この「赤い目・黒い目」というモチーフにしても人間の性(さが)や、決して…むしろ死んでもなお我々を悩ます断ち切れない煩悩などを描いている作品だと思います。
なので「ホラー」としてカテゴライズするのは、制作側からは意図されていないかもしれません。だからこそホラー表現がマイルドだったと考察します。

ゆるいネタバレありの感想

ナム・ダルムさん母インスタグラムより

事件の発端は、とある宗教の伝説に取りつかれてしまった学者の行動から始まります。
このキム教授は「赤と黒の目」のお話に書かれた、目が封印された容器(舎利容器)を長年の探索の末、砂漠で探し当てます。
遂にその"目"を発見した教授でしたが、程なくしてその成功は偽造だったと世間からは批判され、彼は引退状態へ追い込まれます。
しかしこの伝説に夢中になっているキム教授、ますます殻に閉じこもるようになります。
発見から14年後のスーパーブラッドムーンの夜、「目」を復活させるため、ある方法を試してみます。

一方、光州のプク山にある静かな寺院。
ここで若い修行僧として仕えているのが、チョンソク(ナム・ダルムさん)です。
死期が近い和尚から、「ヤツが来た」というメッセージをソナ和尚に伝えるよう、チョンソクは頼まれます。
何の事かイマイチわかっていないまま、チョンソクは謎の容器と共に街に出て、ソナ和尚(イ・ソンミンさん)の家を訪ねます。
ソナ和尚はかつてプク山の僧侶でしたが、現在は山を下りて肉体労働などをして1人ひっそりと暮らしています。
チョンソクの訪問に時が来た…と悟ったソナ和尚/パク・ジンスは、手早く準備をし、「止めるべき相手、処女菩薩」の元へチョンソクと共に向かいます。

この赤い目と黒い目のお話ですが、アグレッシブな赤い目が「7つの飛び石」を7日間で渡り、8日目に再び黒い目と交わり1つになる、と語られています。
この飛び石になっているのが、人間。
また、7つ目の飛び石が処女菩薩、ということが明らかにされています。
このように赤い目は人に乗り移って、黒い目を積極的に8日間で探していくようです。

この「目」自体は滅ぼせない存在です。
なので目が入る飛び石を潰すしか、止める方法がない…と説明されます。つまり、飛び石として存在が確定している、処女菩薩という人間を殺すことで事態を止める…、ということになります。それを実行するのが、守り人のソナ和尚。彼がその宿命を背負った人となります。

次々と人々が変死体(かつての飛び石)で発見されるので、警察(パク・ヘジュンさん)らも動きだ出します。
お話のねじれとして、変死という部分はあまり重要視していない警察が、とにかく連続殺人犯逮捕を目指している点です。
明らかに不審者風のソナ和尚/ジンスと遭遇し、警察は彼を追うことに夢中になっているという構図。(ジンスさんも怪しさ満点なのでしょうがないのですが)

最終的には、地獄の門は開かなかったようです。
ですが、気になったのが最後チョンソクが明らかに舎利容器を開けていた描写です。
あの時点で8日目…赤と黒は1つになったのでは?と思ったのですが…。
しかし、処女菩薩には移っていないと思いますので、結局赤い目は「観念したフリをして自ら舎利容器に入った」(冒頭の説明)のではないかな?と考察しました。
が、このあたりが謎でした。

ただ上述したように、最後のナレーションでも「生きるとは…」と入り、あくまでもホラー的な表現手法を一部使った、人の醜くく「死してもなお決して逃げられない」苦しい感情を描いている作品だと思いました。
ですが、そうだとしたら、尚更ちょっと説明不足で、やや独りよがりの展開だったようにも感じてしまったかな…。

というわけで、決してつまらない訳ではなかったですが、緊迫感も特になく、全体的にパンチが足りないというか、色々と物足りなさを感じる印象が残りました。
ちなみに、この映画とは関係ないですがイ・ソンミンさんとパク・ヘジュンさんはドラマ『ミセン』コンビだ!と少し嬉しくなりました。

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