おすすめ度:60%
ご近所度:100%
葬儀度:100%
原題:일당백집사 / May I Help You? (全16話)
不思議な力を持つ葬儀ディレクターのドンジュが出会った相手とは…。2022年のヒューマン系ラブストーリー。
あらすじ・キャスト
不思議な力を持つ葬儀ディレクターとして働くのドンジュ(ヘリさん)は彼氏との待ち合わせに場所に向かったものの、そこにいたのは街の便利屋”百人力”でキム執事と呼ばれ働いているテヒ(ジュン/イ・ジュニョンさん)。
テヒは依頼主であるドンジュの彼氏の代役でドンジュに会いに来たのだった。
その後ドンジュが引っ越しした部屋の1階は、テヒも働く便利屋の事務所で…?
感想
ヒューマンドラマにラブストーリーとコメディが可愛らしくミックスされていて、素直で温かみのある良いドラマだなと最初思って視聴していました。
ですが、後半になるにしたがって「どうなの…?」と結構不満に感じてしまいました。
特に終盤の”ヒネリ”以降、このドラマの持っていた本来の素晴らしさを自ら完全に打ち消しているようにも思え個人的に大変残念でした。
中盤まではとても良かったですが、以降とてもチープな展開になってしまっていましたし、非常にガッカリしてしました。
それと根本的にドンジュを主人公としてもう少し尊重して(?)フォーカスして欲しかったです。
正直、ドンジュこそが”百人力”状態になっていました。彼女は救われたのか?色々とどうかなと思います。
既に文句のような感想ばかりになっていて申し訳ないのですが(すみません、下記に更に後述しますが)、楽しんで観ていただけに反動が大きくドラマの感想としては残念に感じた次第です。
葬儀場で働くドンジュが、彼女の特殊能力で死者と”会い”彼等のまさに最後のお願いを聞いて送り出す彼女。一方、心に傷を抱えながら過去を捨てて便利屋として働くテヒが出会って…というストーリーです。
主人公のドンジュが、特殊能力があるためファンタジー色が強い印象を当初受けたのですが、内容としてはそれほど影響がありません。ファンタジー系が苦手な方でも、それ程気にならないのではないかと思います。
色々な事由で亡くなった人々の背景が語られ、ヒューマン色が強めで思わず涙が出るシーンもありましたし、考えさせられることもありました。
偉そうですみませんが、悪いドラマでは決してないですが、ぼんやりしたドラマだったと思います。特に終盤の脚本/展開については、私は好きではありませんでした。(個人の感想です)
ゆるいネタバレありの感想
ジュン/イ・ジュニョンさんインスタグラムより
葬儀ディレクターとして働いているドンジュ。彼女には不思議な力があるのでした。
死者と”会話”できるのです。ドンジュは彼等と話、最後のお願いを叶えるよう奔走するのでした。
突然この力を得たドンジュ、もちろん最初は混乱し現場から逃げ出したこともあったのですが、ドンジュはこの能力を受け入れます。
一方、便利屋「百人力」のキム執事として叔父と一緒に働いているテヒ。
ドンジュは彼氏との待ち合わせのカフェに向かいますが、そこにいたのはテヒ。テヒはドンジュの彼氏から依頼を受けていたのでした。
その依頼とは、なんとドンジュとの別れ。気分を害したドンジュは憤慨。
しかしその後も、ドンジュは何度かテヒと顔を合わせることに。当初は彼女が不気味で嘘つきだと思っていた様子のテヒでしたが、ある事件の後にドンジュの死者と話せることについて信じることになるのでした。
偶然は続き、ドンジュが借りた家はなんとあの百人力の2階。同じ建物にはドンジュに好意を持つ警官へアンも住んでおり、なかなか賑やかな暮らしになりそうです。
このように、当初はトラブル相手だったドンジュとテヒですが、2人の物理的距離が一気に縮まります。
オムニバス形式のように、次々とドンジュが対面する亡くなった人々。そして彼らの後悔や伝えたかったこと…。
それらが明かされ、ドンジュがそんな人たちのかわりに家族や大切な人に想いを伝えるという温かいストーリーが語られます。
ドンジュとテヒ
ドンジュは顔を合わせるうちに、次第にテヒのことが気になり始めます。
ですが、出現するのがテヒの元彼女。ここで、テヒは元々医師であったこと、弟の事故がきっかけとなり心を閉ざし、医師の道も諦めたことが明らかに。
なかなかグイグイ来るテヒ元カノでしたが、テヒは割としっかりと割り切っている様子。
そんなことは知らないドンジュはモヤモヤした気持ちを抱えきれず、ついにテヒに告白するのでした。
当初は彼女を拒んだテヒでしたが、彼もまたドンジュへの自分の想いを止められませんでした。2人は付き合い始めます。
とはいえ、この2人のラブストーリーはこれがピークとなります。
以降、大してというかカップルとしての進展はなく何かあるとハグ、ハグ、ハグで主にテヒをいたわるドンジュという姿が多いように思えました。
ハグだけなのが不満という文句ではなく、2人の関係性の描写や気持ちが深まる様子が正直殆ど感じられませんでした。
ラブストーリーメインのお話ではないですが、序盤にこの2人のラブコメを導入したのであれば観ていて必然的に期待値は上がりますのでこれでは正直”弱い”と思いました。
終盤の違和感問題
人々の死、彼らのやり残したこと、伝えたかったこと…そんな心残りをドンジュができる限り叶えてやろうとする、いわゆる「ハートフル」な話が素直に続くという印象で、それで”普通に”素晴らしかったと思います。尖る必要性も感じませんでした。
ドンジュ自身、そして彼女の父が葬儀に関する仕事を100%受け入れていないという点、しかし反面彼女だけが亡くなった人の気持ちを理解してあげれるというところ。
そのような複雑な気持ちで仕事をするドンジュが傷ついたテヒと出会って、それぞれが助け合って変わっていく…というような、ストレートなお話でした。
柔らかくストーリーが進みますし、このようなタイプのドラマは確かに他にもありますがそれで良かった。しかし、終盤からそんなムードが変わります。
突然のサスペンス
後半から主軸となっていくのが「テヒ弟の犯人は誰?」というサスペンス・スリラーに。
このエピソードについてメインとなるのが、ドンジュの事を好きだったお馴染みの人物と、弟の事故に苦しめられてきたテヒです。
このサスペンス部分、ドラマ後半にこれを据えただけあって割と長いエピソードになりますが、視聴していて結構な違和感を覚えました。
これに関してはそれぞれ皆さんの感じ方によると思いますが、個人的にこのパートの描き方と導入は悪手だったように強く思えました。
今までのムードとは一転しカラーを変えてヒネリを出したかったのかもしれませんが、
このドラマにはあまりにも藪から棒的で、私は単純に”作風に合ってない、しっくりこない”と思いました。説明しにくいですが…。
ドンジュがただの便利屋
彼女は特殊能力で亡くなった人のお願いを聞き、残された人たちに対しても問題を解決するきっかけを与えていきます。
ですが後半あたりから、ドンジュが完全にテヒ含め周囲の人の「慰め役」のような単純な立場に置かれているのが、非常に気になりました。
テヒの弟問題では特にそれが顕著で、ドンジュという役が単なる便利屋のように動き回るだけに徹していてあまり観ていて面白味を感じませんでした。
弟問題に関しては主軸がテヒなのでしょうがないですが(念のためですがJUNさんが悪いという意味ではありません)、ドンジュに全くフォーカスされていません。
犯人に暴力を振るわれた→逮捕のきっかけ、のように安易にキャラが存在するようで観ていて渋い気持ちになってしまいました。
最終回の最期の”ゲスト”についてもそうですが、結局ドンジュが直面した悲しい出来事よりも、弟事件の「犯人」の内面を描く方に時間をずっと割いていました。
個人的には主役のドンジュに対する心情や内面の描写が、そもそも圧倒的に不足していると思います。彼女の卓球を諦めたこと、雨の日のこと、能力を持つことの葛藤など、ネタはあると思うのですが…。
最終回も急いだように「あの人たちは関連があったんだ!」と、取って付けたようなコネクションを無理矢理のように加える必要もないような気がしました。(関連性がなさそうな人たちもいる気がしますし)
彼女があのような力を得る説明なので理解はできますが、何故”適当に”描写するのでしょうか…。
ということで、途中までは非常に良いドラマだなと思って視聴していましたが、テヒ元カノ出現あたりからモヤモヤさせられ、続く終盤で「もう前半の雰囲気は戻らない」という決定打が来たようでガックリしました。(個人的な感想です)
前半はとても楽しくじんわりさせる良作だと思っていたのですが、後半はラブコメとしても、ヒューマンドラマとしても何となく締まりが無いドラマだったなと思い視聴を終えた次第です。