ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ 未成年裁判 (感想)

おすすめ度:98%
信念度:100%
法律度:100%
原題:소년심판 / Juvenile Justice 全10話(Netflix)

韓国ドラマ未成年裁判感想

誰よりも少年犯罪を憎む判事を主人公に描く2022年放送の法廷・犯罪ヒューマンドラマ。

あらすじ・キャスト

判事ウンソク(キム・ヘスさん)はテジュ(キム・ムヨルさん)やカン部長判事(イ・ソンミンさん)がいる地方裁判所の少年部へ赴任してくる。
常に冷酷で厳しい判決を下すウンソクは、少年犯罪を誰よりも憎んでいたのだった…。

感想

見応えがありました!
重厚で陰鬱な内容でありながらもテンポが大変良く、良質なドラマで素晴らしかったです。
タイトル通り少年犯罪をテーマにした作品で、キム・ヘスさん演じる判事が数々の事件を裁いていくお話です。

全10話というドラマ構成の中で、6つの事件がエピソードとして描かれています。事件ごとに(当たり前ですが)登場人物が変わるため、同じ作品の中でも雰囲気が一変するため、中だるみを一切感じさせず大変迫力があり面白かったです。

出演される俳優陣が非常に豪華だったのも、このドラマが内容に負けずしっかりした雰囲気を加えていて印象的でした。
また子役(20代ぐらいの方もいましたが)が多く出演されていましたが、軒並み演技が上手いので今更ながら驚いてしまいました。演者の層がすごい。
ちなみに特に第1話から印象的だった”少年”はドラマ「D.P.」では”少女”役を演じていた方です。
個人的には好きなキム・ムヨルさんが出演されていたので嬉しかったです。

常に主人公ウンソクが一貫した執念のようなポリシーを彼女の中で持っているので、そこが全くブレず、視聴していて架空のキャラながらもその信念が伝わってきて良かった。
ドラマからそういう”強さ”が感じられるのは、丁寧に制作されているからかなあと感じました。
情に強く訴えて来たり、感情を押し付けてくる作品に全くなっていなかった所は個人的は特に好きでした。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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キム・ヘスさんインスタグラムより

ヨンファ地方裁判所の少年部。
ここは少年犯罪事件を専門に扱う判事が在籍する部門です。罪を犯した未成年者への処罰について裁くプロフェッショナル。
そこへ赴任してきたのが、シム・ウンソク判事です。
彼女は優秀とのことでしたが、冷酷で厳しい処罰を下すと噂の人物です。
周囲に馴染もうともせず、笑顔も全く見せないウンソク。近寄り難く怖そう。
そんな彼女と相部屋で相棒のようになった同僚が、チャ・テジュ判事。ウンソクとは正反対で物腰は柔らかく、少年たちの更生にも常に熱心なようです。
そんなウンソクとテジュ、そしてカン部長判事の3名が主にこの地方裁判所で事件を扱っていきます。

物語の流れとしては6件の事件をドラマ内扱っていくわけですが、いずれも暗い気持ちになるものばかりです。
また当然として未成年である彼らは、その家族との関係性も複雑なことが多く、考えされられることが多かった。
家族問題は通常は”個々の家庭問題”と捉えてしまいがちですが、結局社会の問題であり国の問題。そのような部分も、さりげないセリフで警鐘を鳴らしておりハッとすることが多かったです。
*このドラマの感想ですが、書けば書くほど陳腐になってしまうというか、かなり自分の中でも説明しにくい感情が多く、(いつもながら)更にいつも以上に下手な文章で申し訳ないです。

このウンソクという判事ですが、冒頭でも「少年犯罪を憎んでいる」というセリフで始まるぐらい一貫して強く厳しい態度で彼らの裁判を行います。
プライベートを全く明かさず孤高のウンソクですが、あまり胸の内を語らないキャラ。
だからこそ、彼女の発するセリフは力があって、全て刺さるようなものばかりで本当に良かったです。
そしてやっぱり、キム・ヘスさんの圧倒的な迫力。説得力。
こういうセリフ無で強く訴えるような演技はなかなか難しいように思いますので、ただただ恰好良いし、純粋にスゴイなと感じました。

過去にウンソクに何かがあったと想像が付きますが、終盤になりそれが明らかになります。
ネタバレになりますが、ウンソクは過去に幼い息子を少年犯罪によって失っていたのです。しかしだからと言って単純に復讐のように彼らを「憎んで」いるのかというとそうではありません。
また、テジュも本人自体が少年犯罪者だった過去を持っています。
個人的に面白いなと思ったのが、上述したウンソクなど全てのキャラクターに対する二面性のような点です。
二面性というと語弊があるかもしれませんが、人の脆さのような表裏一体のような点。
ウンソク、テジュ、カン部長…そして法律も。
必ずしも法律が被害者を守るとは限らない、と述べられるシーンもありましたが、どの問題にも「表裏一体」の微妙なバランスやタイミングで社会が成り立っているのだなと痛感しました。
そして「更生」という道があるんだというのもしっかり語られていました。

少年犯罪については様々な意見がありますが、その色々な意見を考慮した作品作りになっているなと思います。
法律の限界やその扱うことの難しさ、責任を個人に押し付けやすい面があること、更生について、色々と視聴者に思考を促すエピソードが多かった。
とはいえ、しっかりエンターテインメントとしてドラマを成立させていて、その絶妙さが素晴らしい作品でした。

重いテーマを扱いながらも、驚くほど観やすい仕上がりになっていました。そして骨太さと見応え。かなり構成や演出が工夫されているなと伝わった作品でした。
全10話というサイズもちょうど良く、俳優陣の演技も非常に落ち着いていて、視聴後の満足度は大変高かった!
シーズン2があるのかは不明ですが、ニヤリとさせられつつ皮肉と絶望を残すラストシーンもありましたし、ぜひ続きが観たいなと思った次第です。クオリティが高くおすすめのドラマでした。

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