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韓国映画 JUNG_E/ジョンイ (感想)

おすすめ度:49%
近未来度:100%
伝説の傭兵度:100%
原題:정이 / Jung_E (99分)

韓国映画 JUNG_E/ジョンイ 感想考察レビュー

近未来、戦闘用アンドロイドはある兵士の脳を元に開発されたものだった…。2023年公開のSFアクション/ヒューマン映画。

あらすじ・キャスト

近未来の世界…連合軍の研究所では、所長サンフン(リュ・ギョンスさん)とチーム長のソヒョン(カン・スヨンさん)の元で戦闘用AIの開発が続けられていた。
ソヒョンの母であり、かつての伝説的な傭兵ジョンイ(キム・ヒョンジュさん)の脳を複製したAIの実験を進めるソヒョンだったが…。

感想

申し訳ないですが、私は面白さを感じませんでした。(個人の感想です)
CG(CGI)を多用しつつも、根本的にはヒューマンドラマになっています。
アクションシーンもありますが、それ程強く印象に残るボリュームではありませんので、期待せずに視聴していただく方が良いかもしれません。
ただヒューマンドラマとしてもSFアクションとしても、とにかく全体的に既視感がすごいので、驚きや新鮮さは今作ではほぼ感じられないかなと残念に思えました。

個人的に最も気になった点はこの映画をヒューマンドラマとして考えた時に、キャラたちの考えや状況が理解しにくく共感しにくかったところです。
特に主人公のソヒョンについては、どうしてそうなったのか?何を思ったのか?という重要かと思われる部分が殆ど語られませんし、彼女の心情や背景を察するにはヒントが乏しすぎるかと思います。
序盤に色々と近未来の状況を説明されるものの、単なる作品の設定説明だけのようで「だからどうなるのか?」という具体例が示されていない点で既に嫌な予感がしつつ、そのノリが最後まで続いているといいますか…。
結局よくわからないままラストの山場を迎えることになってしまい、視聴していて気分が乗り切らずにエンドロールという感じでした。(もちろん私の理解が悪いというのは前提ですが)
雰囲気はとてもある映画だと思いますしCGも美しかったですが、テンポも悪く思えましたしラストシーンへ向かうためのエピソードの積み重ねとなるお膳立てが悪すぎる気がしました。(偉そうにすみません…)

ゆるいネタバレありの感想

Netflix Koreaインスタグラム

近未来の世界。人々は地球と、月の軌道面の間にシェルターを作って住んでいました。
そのうちシェルターに住む一部の人々である”アドリアン”が蜂起し、それ以外の人々である連合軍と戦争になります。
この争いは現在もなお40年もの間続いているのでした。

戦闘用アンドロイド
連合軍の研究施設であるクロノイド社は、35年前に連合軍を率いた有名な傭兵であるユン・ジョンイの脳を元に人工知能を搭載した、高い戦闘力を持つアンドロイドを開発しています。
ジョンイはアドリアンとの戦いで現在は意識はありませんが、脳のデータを複製され彼女そのもののアンドロイドが多数テストされているのでした。

ソヒョン
アンドロイド”ジョンイ”は、この開発プロジェクトのチーム長ソヒョンの母親であることが明らかにされます。
何体ものジョンイをテストするソヒョンら。過去に実際のジョンイが失敗した作戦の同じ場所でアンドロイドも失敗を繰り返すことに解決策が見出せません。
母でもある”ジョンイ”の実験、ソヒョンは感情を押し殺して仕事を遂行しようとしている様子です。

気になった点と考察
・35年前の傭兵のAI化
牽制球のようにセリフで「失敗した兵士の脳を複製しても意味がない」とあり、若干萎えましたが、私も視聴していてまずそこに引っかかりました。
35年前と現在(作品では2135年)はそれこそ状況も戦闘方法も大きく変わっていると思うのですが、ジョンイを元にするという説得力がそもそも当初から感じず、かなり謎に思えました。
どうしてジョンイでなければならなかったのか?個人的には特に、会長とジョンイの関係性を知りたかったです。
何かしら2人の間でパーソナルな関係なども可能性としてあったように考察もできましたが…。
ソヒョンは会長を子供の頃から知っていると発言していますし、ジョンイが素晴らしい傭兵だった(しかし作戦失敗しているという矛盾も生じますが)という説明だけでは正直、納得がいきませんでした。
・ソヒョンの目的
彼女は過去に病を患っていて手術を受けています。そもそも母親ジョンイは、ソヒョンの治療費のために兵士になったと明らかになります。
彼女が「どうして」博士になり、クロノイド社でプロジェクトを任されているのか?
ラストシーン含めて、何か彼女の目的や信念がそこに実は長くあったのでは?
そのあたりも描写がほぼなく、見ていて物足りませんでした。そのため母娘の絆を描く作品のピークに向かう気持ちの積み重ねが皆無で、残念でした。
格差社会
人が人間の体から不死のAIに転生したとしても、そこには依然格差社会が存在することがわかります。
A,B,Cタイプと3段階にアンドロイドとしても分類され、下層のCになった者は脳のデータなども多用な範囲で商用利用されるようです。
ここでお馴染み(?)の格差を描いてはいますが、だったらもう少しそのA ,B,Cタイプたちの”現実社会”を近未来として描いて欲しかったです。
この作品ではほぼ研究所内だけのシーンが多いため、色々と”壮大”な設定が語られるものの大してシーンとして存在しませんので、その近未来での悲痛さなどは観ていて(ある程度は想像できるものの)全く感じられなかったのもどうかなと思いました。
ソヒョンの母ジョンイは、金銭問題からCタイプでアンドロイド化された訳ですが、ソヒョンはそんな母の無念に対して一矢報いる気持ちがあったのかもしれません。
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ということで他にも色々ありましたが、作品そのものの印象としてストーリー背景、そしてキャラそのものについての描写が少なく、ヒューマン系作品として考えると登場人物の感情を繋ぐ線が弱すぎて非常に物足りませんでした。
またSFアクションとして視聴してもそこまで強く印象に残るシーンもなかったので、総合的にはかなり中途半端な作品だったなという感想です。
予告がとても良かったので、期待していたのですがちょっとガッカリした次第です。

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