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韓国映画 ワンダーランド あなたに逢いたくて (感想)

おすすめ度:47%
画面の中度:100%
AI度:100%
原題:원더랜드 / Wonderland (113分)

映画 ワンダーランド あなたに逢いたくて レビュー感想考察ネタバレ

愛する人たちと再び会話ができるワンダーランドというシステムを使って…。2024年のSF・ヒューマンドラマ映画。

あらすじ・キャスト

死者や意思疎通ができなくなった意識不明の人とビデオ通話という形で再び自由に会話できるシステムを制作した、
ヘリ(チョン・ユミさん)やヒョンス(チェ・ウシクさん)ら。
そんなシステムを使うジョンイン(ペ・スジさん)は、恋人テジュ(パク・ボゴムさん)と楽しく過ごしているのだった。
一方、そんなAIが作り出した故人バイリー(タン・ウェイさん)の人格だったが、娘と会話するうちに異なる感情が生まれ…。

感想

とにかく出演者が豪華で、その時点で既に「ワンダーランド」な作品です。
ということで、必然的に期待が高まる訳ですが…。
ただ肝心のお話が割と微妙で、ネタをそれなりに振り撒いた割に回収不足…という感じが否めないかなとは私は思いました。
2時間を切る枠の中で、ワンダーランドと呼ばれるAIを使って主に故人らがまるでそこにいるように自然に会話できる、そんなシステムを舞台に、それについて問題提起や長所など色々と散りばめすぎているぐらい描いてありました。
ただその一つ一つのテーマについて何か深く掘り下げるのかというと実はそうでもなく、かといって視聴側に強く考えさせるというほどは、何とも深みがないというか。
申し訳ないですが、提示してきた問題は既に近年のAIシステムでも出されているようなものばかりですし、ハッと気付きを与えられるというものでもなかったです。
とりあえず、なんだか中途半端な作品だったなという印象が残りました。

映画 ワンダーランド あなたに逢いたくて レビュー感想考察ネタバレ

ワンダーランドを作った側の人:チョン・ユミさん&チェ・ウシクさん
ワンダーランドユーザー:ペ・スジさん&パク・ボゴムさん
ワンダーランド内のAI人格:コン・ユさん、タン・ウェイさん
と、雑な大枠ではこの俳優さんのペアで主に3つの軸でストーリーが同時進行します。
この3組が抱える葛藤や感情はどれも興味深くて、実際とても良かった。
ただ「もう少し知りたい…!」という点がとにかく一切突っ込んで描かれませんので、非常にモヤモヤするというか。勿体無い!
設定的には全6話のドラマでも良かったのでは、というレベル。
その“表情”になったキャラの背景を見せてくれよ!!と願うシーンが単純に多すぎて不満でした。
個人的にはそのような理由で、視聴後も「わかるけども…」という感じで、何だかスッキリしない映画だなと思いました。
結局、このようなネタに「正解」は絶対にない訳で、それを視聴者に問いかけるしか筋道がないのはわかります。
ですが、だからと言って物語の結末をボンヤリと投げっぱなしにされてもなあ…という気持ちというか。
こちらに問題を投げるならば、もう少しシャープに投げつけて頂きたかったかな…。

ちょっとネガティブ気味の感想で申し訳ないですが、気になる方は是非チェックしてみて下さい。
出演者がとても豪華ですので、それだけでも十分楽しいとは思います。

ゆるいネタバレありの感想

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テジュとジョンイン
同じ客室乗務員として働いていた恋人同士のテジュとジョンイン。
テジュが意識不明に陥り、ジョンインは彼をワンダーランドの中で生かし続けることを決めたようです。
そこに意識不明前のテジュさん本人の意思が存在したのかどうかは謎でしたので、少々気になりましたが。
ワンダーランドの世界で生きるAIテジュは、宇宙飛行士として地球から遠い場所で働いているという設定。
それでも毎日ジョンインと自然に会話し、常にパーフェクトな回答を与えてくれて、ジョンインの機嫌を損ねることがないのでした。
ジョンインはそんなAIテジュを(ある意味で都合よく)愛していますが、一方で「本当のテジュ」は病室で眠ったまま…という、悲しい現実にぶち当たって傷ついているのでした。
そんな日々がある日、突然終わりを告げます。
眠ったままのテジュが意識を取り戻したからなのでした。
当初は大喜びだったジョンインでしたが、ワンダーランドの中で生きる快活でパーフェクトなテジュと、一方で意識がやっと戻り、昔の彼とは“異なった”テジュとの間に深い溝が彼女の中に存在することをジョンインは認めざる得なくなってしまいます。
自分が本当に愛していたのは、どちらのテジュなのでしょうか?
一体どのテジュが正解だったのでしょうか?

オムニバスのようになっていますが、恐らく1番理解しやすいストーリーだったのは意識不明になった恋人テジュを再びワンダーランドの中で復活させ、恋人として常に側で会話していたこのジョンインのお話だったと思います。
個人的にも、この話が最も「自分だったどうか?」と考えさせられる設定になっていました。
この話で真っ先に私が感じたことは、人の感情って本当にワガママだなとは思いました。
この2人の設定では、病気/事故から回復してから、昔と変わってしまった恋人とAIを比較しているため、その差が浮き彫りになっていますし、何ならジョンインが冷酷、ヒドイとも取られる描写にはなってはいます。
ただ私が思ったのは、どんな人でも性格や言動、考え方が変わってしまうことは、それなりにありますし、人とは恐らくそういう生き物だと思います。
興味深いと思ったのはテジュが目覚めてすぐに”元の通り”の彼のままに戻っていたとしても、ジョンインはもしかしたら、いやきっと不満を抱いていたのかも…、と思わせられたところです。
AIはパーフェクトな彼氏でい続けてくれました。
決して感情を剝きだしての言い争いは起こらないですし、何か忘れてしまうこともないでしょう。この部分では人は恐らくAIに勝てない部分かもしれません。
しかし、物理的にも精神的にも人間らしさの温もりが恋しいと思うところこそ、不満と寂しさをワンダーランドのAIテジュに持っていたジョンイン。
パーフェクトな人間などいないけれど、AIのようなパーフェクトさをどこか望んでしまう。しかし画面の中の人では物足りない…。人って勝手なものですね。
彼女は最終的に2人のテジュを手放すことを決意しますが、彼女の中の人としての葛藤の描写があって欲しかったなと思いました。

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他にもコン・ユさん演じる、過去に何かがあってワンダーランドの中で意思を持って行動を密かに続けているキャラがいたりとその背景が気になるところですが、考察するほどネタがないというか、そのあたりが何だかなと思えはしました。
まあコン・ユ先輩は特別出演枠なのでしょうがないのかもしれませんが…。
意思を持ったAIと先ほどのテジュ&ジョンインのペアの問題などを絡ませると、より一歩進んだネタになりそうだなと個人的に思えましたが…。
何となくこの作品が提示してきた問題は、AI問題あるある的な表面的なトラブルを掬い取っただけの感じもしなくもないというか、それ程真新しさが無かったように思えて、残念に思えました。

ということで、割と期待した作品でしたが、個人的な感想としては驚きも感情移入も与えてくれないトーリー展開というかフーン…という感じで何となく静かに終わってしまった印象でした。(すみません)

演じる俳優陣には文句の付け所はありませんでしたが、ちょっとその部分を豪華にしすぎている反動なのか、物語の深みがあまりなかったかなと思えた次第です。

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