ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ ラケット少年団 (感想)

おすすめ度:85%
バドミントン度:100%
地の果て度:100%
原題:라켓소년단 全16話

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ソウルの野球少年が田舎のバドミントン部に?2021年の青春スポーツ・ヒューマンドラマ。

あらすじ・キャスト

野球一筋の高校生へガン(タン・ジュンサンさん)は、ある日バドミントンのコーチをする父、妹と共にソウルの都会から、"地の果て”のような田舎に引っ越しすることになる。
Wi-Fiもろくにない田舎暮らしに加え、訳あってバドミントン部に入ることになったへガン。部員はユンダム(ソン・サンヨンさん)、ウチャン(チェ・ヒョンウクさん)、そしてヨンテ(キム・ガンフンさん)というメンバーのみ。
適当にバトミントンの試合を終わらせる予定のへガンだったが、持ち前の負けん気の
強さで本気になってしまい…。

感想

平和ながらクセがありつつ、胸にじんわり響くメッセージが込められた良質なドラマでした!
どのキャラクターも個性が非常に強いのですが、舞台がのんびりとした田舎という設定なのがとても効いていました。そんな"のほほん"としたムードのストーリーながらも、メッセージ性も意外と多く含まれていて、個人的にはしばしば感動させられたセリフも多かったです!
おおらかさと呑気さを良い意味で持った、地味ではありますが心に残る作品に仕上がっていて、ストレスなく面白く視聴できました。

また、演じている"ラケット少年団”のメンバーたちも、特に主演のタン・ジュンサンさんがご本人も現時点で17歳ということもあり、自然な思春期っぽさが全面に出ていて、10代の独特の雰囲気は20代では正直無理だと思いますので、本当に"現役"としてもピッタリの役でした!
他の出演されている俳優陣もとにかく良く、キャスティングが本当にこの作品も素晴らしかったです。個人的に好きだったキャラはヨンテとハンソルでした。
脚本が『刑務所のルールブック』のチョン・ボフンさんと同じということで、同作に出演されていた俳優さんの特別出演(カメオ出演)も多くありました。

ゆるいネタバレありの感想

タン・ジュンサンさんインスタグラムより

バドミントンのコーチを仕事としている父に連れられ、ある日ソウルから田舎に引っ越すことになったへガンと妹のへイン。
「地の果て」海南へ到着した一家。父の仕事先で、ヘガンが通うことになる中学、海南西中学校。バドミントンが盛んだった頃と比べ、今は部員も少なく団体戦には出れない始末。
そんな中学校のバドミントン部を復興させるべく(といっても純粋な意図ではありませんが…)父からの懇願もあり、へガンはバドミントン部の試合に出場します。
熱血野球少年だったへガン…しかし、彼は実は昔は有名なバドミントンのジュニア選手でした。

と、中盤までは主人公の頑固ながらも単純なへガン君が、村の人々やバドミントン部の仲間たちと次第に打ち解けていく様子が描かれていきます。そんなへガンは野球よりもどんどんバドミントンに夢中になっていきます。
前半あたりまではのんびりとした雰囲気もあり「単なるスポーツ青春もの」として展開しているように思えるのですが、化けてくるのが中盤以降です。

ストーリーとしての大きな流れでは、部員数が足りず団体戦さえエントリーできなかった田舎のバトミントン部が、全国大会やユースメンバーに選抜されるぐらいに、友情や人々の繋がりを感じながら成長するという青春スポーツのドラマです。
ですが!そんな彼らも、そして周囲の大人にも生き様やドラマがあります。そのあたりのエピソードが割と繊細でじんわりと響くものに描かれていました。
コミカルさを交え軽めながらも丁寧なメッセージが入ったエピソードが多くて、素晴らしいな…と、本当に思いました。
個人的に特に好きなエピソードを3つ上げてみます。

9話)ユース代表として選抜チームに見事選ばれたへガンやセユン。
練習試合として日韓戦を行います。勝ったメンバーたちはコーチや監督から日韓戦に対しての"特別な"言葉をかけられます。
ですが、大人の思惑とは裏腹に若い世代のメンバーたちは偏見に全く囚われずに「あくまでもスポーツだ、国は関係ない」と率直に述べます。
このあたりも色々な考え方がある中で、大切な事を見誤る可能性を示唆したりと、大変興味深く、また嬉しく感じました。

10話)とある集まりでヨンテが選んだゾンビ映画『新感染』を観たへガンたち。
視聴後に「もしゾンビに囲まれたらどうする?」と無邪気に話す彼ら。そんな中「今この瞬間に戻りたくなるはず、みんなで旅行してゲラゲラ笑って…」というセリフが入ります。
ここは明らかに全世界で現在進行形のパンデミックを意識したセリフになっていて、かなり胸にグッと来て、しんみりしてしまいました。
このドラマ自体が「なんでもない日々の出来事」を扱いながらも、その平凡な日常の愛おしさや大切さを描いている事もあって、このエピソードは象徴的でした。

14話)女子チームの絶対的エース選手のセユンが海外遠征で不在のため、2番手のハンソルがセユンの穴を埋めるべく1人でシングルで戦うことに。
コーチ(オ・ナラさん)含め周囲の「勝つのは無理では…」という雰囲気を感じ取りながらも、1人奮闘するハンソル。「大切な人を思い浮かべると奇跡は起こるかも」というアドバイスをコーチから受けます。
そんな時に彼女が思い浮かべた人とは、"親友”のセユン。ハンソルとセユンの積み重ねてきたシーンが入るのですが、本当に良かったです!
何てことない小さな”きっかけ“で、人と人の強い繋がりが出来上がるんだなと10代の頃を思い出す方も多いのではないかな…?と思われる、とても上手く描写したエピソードでした。14話はとにかくコーチのエピソードも含めて素晴らしかったです…!

時に無謀に(そして意味なく)自信満々だったり、急に弱気になったり…。
思春期特有の感情の揺れのような気がしますが、しかしそれは成長した大人になっても一緒なんだ、という点も上手く表現されているように感じました。
しばしばドラマ内で子供と大人という対立表現がありますが、そういった考え方自体が枠に縛られているんだ…と気付かされるエピソードも多くあります。
このように、決して押しつけがましくなく自然に"ラケット少年団"を通して、我々の凝り固まった思考をもう一度考え直させてくれるような…そんな作品だなと感じました。

この作品もコロナウィルスの影響を受けた作品で、撮影に関係する全ての方は大変だったと想像します。もちろんこの作品だけでなく、この時期どの国のエンターテインメント作品もそうですが、楽しませて頂いてありがとうございます…という気持ちでいっぱいです。
このような状況に生きる我々に対しても、勇気付けてくれるような優しさも感じさせられたドラマでした。良かったです!

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