ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ 九尾の狐とキケンな同居 (感想)

おすすめ度:120%
玉度:100%
人間とは違う思考度:100%
原題:간 떨어지는 동거 全16話

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同居相手は九尾の狐だった?2021年放送のファンタジーブコメディ。

あらすじ・キャスト

人間の見た目をしているが、実は九尾の狐のウヨ(チャン・ギヨンさん)は真の人間になるため、人から気を奪いながら何百年もの間孤独に生きていた。しかし、その繰り返しの日々に既に面白味を感じずにいたのだった。
そんなある日、女子大生のダム(イ・ヘリさん)とトラブルになり、ウヨの体の中にあった大切な"玉"がダムの体へ移ってしまう。
絶対にその玉を取り戻す必要があるウヨは、ダムに驚く提案をするが…。

感想

はちゃめちゃに面白かったです!
原作はウェブトゥーン(Line漫画)とのことですが、私は未読です。
痛快なテンポ、適度なコメディさ、微妙な会話のズレのバランスが最高で、最後まで全くダレずに一気に視聴しました。もちろん、ラブストーリーとして重要(?)な魅せるシーンも良かったです!!
お話の展開上どうしても出てくる「ん?」と感じる部分は、ノリや強引なセリフで視聴者の疑問を強制的に追い出すという、すごい勢いがあり(褒めてます)、そこも強気で素晴らしかったです。

主演のチャン・ギヨンさんはもちろん、相手役のイ・ヘリさんのキャスティングが大優勝というか…ある意味このドラマで重要になっていた顔芸、リアクションがギリギリのラインを攻めていて良かったです。
わざとらしさと可愛らしさの中間地点の演技がすごい。全く嫌味を感じないご本人の雰囲気がこのダムという女性に100%合致していて、このカップルがとっても魅力的でした。

思いっきりファンタジー系のラブコメですが、この手の作品が苦手な方でもラブコメが好きであれば十分楽しめるのではないかなと思います。
ストーリー軸はストレートなものではありますが、細かなネタでクスっとさせる部分が頻繁にあり楽しく、また『トッケビ』『星から来たあなた』『シカゴタイプライター』などファンタジー系ラブコメ名作のオマージュのようなシーンや設定が取り入れられていて凝っているなと思いました。

チャン・ギヨンさんですが、(私が視聴した)出演された過去作品のどれよりも体重を落とされているように見ました。
そのせいなのかミステリアスで繊細な表情が際立って強く感じ、そのクールさの反動で笑われるととんでもなく可愛らしいという、とにかく相当なレベルのビジュアルを全編で保たれていて、スゴイな…(語彙力)とボーっとしてしまいました。
チャン・ギヨンさん、ものすごくクールな雰囲気の方なので、コメディ的な演技をされるとその意外性での破壊力が大きく、今作の大きな見どころの1つではないでしょうか。

特に主人公ダムの性格設定ですが、ハッキリと言葉で相手に伝えるという明確なキャラがありました。そのため誤解が早く解けたり、つまらない勘違いで視聴者をモヤモヤさせるようなシーンを減らしていると感じましたし、視聴していてストレスなくスムーズに作品そのものを楽しめました。

シン・ウヨ役チャン・ギヨンさん
御年999歳の九尾狐(クミホ)。ダムからは"長老(オルシン)"と呼ばれる。ソウルの三清洞78-12に居住。
人間になるべく、身体の中に"玉"を持ち人間の精気を数百年もの間集めているが、過去の辛い経験もあってか、ほぼ惰性で楽しみも見いだせず生きている。
元々人付き合いを嫌い、孤独に生きていたせいか、情報にやや疎い。
直近で視聴したドラマは『私の名前はキム・サムスン』、瞬間移動などの道術が使える。

イ・ダム役イ・ヘリさん(Girl's Day)
ソグァ大学の歴史学科で学ぶ大学生。1999年生まれの22歳。
ガサツで物怖じしない、思ったことは口に出す素直な性格。喜怒哀楽が分かりやすい。
比較的モテるものの、妥協して付き合ったりということは一切しない。
歴史ドラマが好きで、名セリフが好き。

ド・ジェジン役キム・ドワンさん
ダムとは親友で兄妹のような関係。柔道をしていた。
高校時代に付き合っていた"女神”には、デート代として毎回お金を払っていた辛い思い出がある。
不器用で優しいせいか、あまり女性関係が上手くいかない。

ヤン・ヘソン役カン・ハンナさん
現在は人間に無事転生した、元九尾狐。
ウヨとは700年前からの知り合いだが、口喧嘩が多い仲。
韓国語の慣用句や、英語など言語が全般的に苦手。

ケ・ソヌ役ペ・インヒョク/ぺ・イニョクさん
2017年に入学し復学した、ダムの同じ学科の先輩。
入学後に20人の女性と付き合ったという伝説がある、とてもモテる男子学生。
自分に興味を示さないダムが気になる。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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チャン・ギヨンさんインスタグラムより

"人間"になるため体の中にある赤い玉に人の精気を集め、999年生きてきた九尾狐のウヨ。
しかしある夜、ダムと衝突した際にウヨの体の中から赤い玉が飛び出し、ダムは何とその大切な玉を飲み込んでしまうことに。
ダムさんも「簡単に玉が出すぎ!」とキレていましたが、まさにその通り。
ここは完全に視聴者のツッコミを主人公にセリフで言わせる荒ワザで見事に乗り切ったな…とニヤニヤしてしまいました。

そんな999年温め続けた大切な玉を取り戻すため、ウヨはダムに同居の提案を速攻で切り出します。
"玉"の背景を説明するため、ウヨは自分が狐だとアッサリとダムに明かします。手っ取り早く本来の九尾狐の姿を彼女に見せて納得させたり、同居提案までのスピード感がとにかく半端ないな…と割とビックリしました。
ウヨの狐への変身シーンが入った時、今後頻繁にこのCGシーンが入るのかな…とやや不穏な気持ちになりましたが、その後なかったのは安心しました。

ドラマ開始早々に始まったダムのウヨさん家での生活…もちろん彼女も半信半疑。
ただこのまま彼女が玉を体内にずっと留めていれば、その先は何と死が待っていると告げられ、動揺します。また、寅年生まれの男性と接触があると、とたんに体調が悪くなってしまうなど、自分の身体にも異変を感じたことから、ダムはウヨを信じて全面的に協力することに。
2人は契約書を交わし、ウヨとダムは「とにかくダム(=玉)を守る」という共通認識を持ちます。
個人的には契約内容の1つである、毎週金曜に玉を取り出す方法の進捗報告をさせるダムが「同居を提案していた時は迫力があったのに、今はモタモタしていてガッカリ」「親睦を深める同居じゃない」とウヨさんにキッパリ告げるセリフは面白いなと思いました。
実際、チャン・ギヨンさん演じるウヨは、ダムと同居してから彼女に完全に迫力負けしてドギマギしているシーンが多く、大変可愛らしかったです。
また圧倒的年齢差に長老と呼ばれ、爺扱いされるウヨも微笑ましかった。(このとんでもねえ年齢差+天真爛漫な女の子の組み合わせはトッケビを思い出させます)

このテンポを保ちつつ、中盤まで怒涛ドタバタ・コメディ強めの展開が続きます。
ダムのクセが強いキャラと、クールでかっこいいはずの九尾狐こと長老ことウヨのダサい一面も明らかになり、観ていて2人への愛着が増大。かわいい。
そしてラブコメとして恋模様が描かれていきますが、よく考えなくても1話目から既にお互い好きなんですよね、この2人。

ここで気になってくるのが、"玉"の存在です。
狐は体内の玉をターゲットになる人間に口から移し、気を収集して再びキスで自分の元に返してもらうというシステム。玉を人から戻す際、相手から自分に関する記憶を全て消してしまうようです。

ただ九尾狐のウヨさんは、朝鮮時代に経験した辛い初恋が現代においても未だに響いており、人から気を集めるのに半ばやる気が消失。どこか無感情なウヨさん…。
ウヨさん、そもそも人間に本当になりたいの?という根本的な疑問を最初から感じつつ…。
狐の飢えを満たせるのは人の精気のみ…となると、過去にはずっとヘソンのように遊びの恋のような形で気を集めていたと推測されます。そんな、飢えをしのぐための一夜の恋(?)には慣れていると想像できるウヨさんですが、なかなかのレベルで恋愛に不器用な彼。
しかも決めセリフが「人間のようには考えられない…(with寂しい表情)」という、文句が付けようの無い言い訳をされるので、ここも設定が上手いなと思いました。
しかしこのセリフはわざとらしくなくて、このウヨやヘソンの九尾狐の独特の言葉選びの妙とズレが、字幕日本語であっても効いていて面白かったです。

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次第にウヨもダムへの感情が大きくなり「特別な人」だと自覚します。ですが、彼女の体にはあの問題の玉があり、この関係を長く続ける訳にいきません。
どうやらウヨさんは過去愛した女性に玉を移し、記憶を消すのをためらった女性がそのまま亡くなってしまうという思い出があるよう…。
彼女との楽しい関係を長く保ちたいと願いながらもこのジレンマが彼を襲います。そんな彼にヘソンが「感情で道を誤るのはやめろ」と何度も忠告しますが、ダムに夢中のウヨさん…、恋愛をしていて一番楽しい頃に自制できる訳ありません。

正直、このキスで玉を戻して記憶を消すという設定を知って速攻で「これはキスするまで、相当引っ張るタイプか…」と思っていたのですが、キスシーンをじらしているともあまり感じず、良いバランスのドタバタさも加わって全く気になりませんでした。
キスシーンをある種の山場と考えても、ダレずむしろ良い距離感があって良かったなと感じました。

お話として同居のキッカケとなった玉をダムから取り戻す件が、この作品の一番のストーリーのピークになると思います。
この玉問題が解決後、恐れていたダムの記憶がどうなるのか…という、大変切ない見どころが入って来ます。が、想像以上にアッサリ解決。
以降…個人的な印象として中盤以降ちょっとネタが重複というか…。ウヨさんの飢え問題なや悪鬼化問題などは「それ最初から分かっていたことでは?」「今まで疑問に思わなかったの?」と問い正したくなりつつ。
中だるみは全く感じませんでしたが、悪鬼の話、神のエピソードなども想像以上に広がらず、ただただ殺された人が可哀想だったという…。(ちょっとエピソード自体が弱い気がしましたが)
全体的に軽快で明るくアッサリしていてそこが長所な反面(私は大好きですが)、短所としてはドラマチックさに欠けるかもしれません。
切なさをもっと盛り上げて頂くと、もっと化けたドラマになったかも…と素人目線で思いはしました。

エンディングですが、引き続き強引な感じで(褒めています)ハッピーエンドになり、とにかく良かった!!!と思いました。
が、山神からヘソンがもらっていた、願いを叶える玉(玉の多すぎ問題)でウヨをさっさと復活させることはできなかったのか…という疑問や、ダムが山神と普通に交渉できる件など、後出し感がすごく「あのさあ…」と思いはしたものの、キツネだからしょうがないよね!と、やっぱり"とにかく”作品自体が可愛かったので全部許せました。

ということで、
・大学の先生になりがち、瞬間移動先は博物館行きがち
・長老のカラオケシーン
・「君はにわか雨だと思っていたけど、今も雨に打たれている」
・午前3時の夜食は朝食だからOK
・人間だけが自分で運命を決められる
・いつもより若く見える(ただし800歳)
・999歳の中で一番可愛い
・気付けば「セクシー」連打
以上の8点でお送りされたドラマでした。
主演のチャン・ギヨンさんとイ・ヘリさんのカップルはもちろん、個人的に好きなキム・ドワンさんなどの脇役もハマっていて、とにかく良かった…!
色々考えると粗もありはしますが、非常にまとまっていて楽しいという、ドラマ作品の根本的な部分がしっかり存在するドラマで、やっぱりラブコメはいいなあ~とこういう作品観るとつくづく感じてしまいました。
大変満足度が高く、愉快で可愛らしいドラマでした、とっても面白かったです!!

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