おすすめ度：75％
眼帯度：100％
ギター度：100％
原題：커넥트 / Connect (全6話)
奪われた眼球、特殊な身体、繋がる視界…。2022年公開のSF系スリラー。
あらすじ・キャスト
物静かな青年ドンス（チョン・ヘインさん）はある夜、臓器売買の一味に狙われ秘密裏に行われた手術で左右の眼球を奪われてしまう。
しかし、実は謎の力を持っていたドンス。彼は意識を取り戻し、右目を失ったままその場から逃げ帰るのだった。
程なくして世間に連続殺人犯のニュースが駆け巡るが…。
感想
面白かったです！
全6話で集中できる尺だったのもあり、待っていたのもあり公開日に一気に視聴しました。
三池崇史さんの監督、韓国制作のWEBトゥーンが原作のドラマです。
ストーリーラインは、不思議な体質を持つ青年と彼の体に目を付ける臓器売買組織、そして連続殺人犯の三つ巴の戦いとなります。
話自体は小細工無しで真っ直ぐに進むタイプでわかりやすい展開でしたが、あまりにストレートなので拍子抜けしすぎというか、個人的にはそこが最も物足りなさを感じました（後述します）
序盤のお話の導入が少しスローだなと思いましたが、1話が割と短くテンポは良かったと思います。
カメラワークも面白かったですし、画面も”暗すぎず”本当にちょうど良かった（というと失礼があるかもしれませんが）。
アニメを感じさせるような部分もあってエンタメとしても、視聴覚で楽しめるような工夫されたドラマになっていると強く感じました。
素人目線でも、三池崇史さんと韓国制作の相性はかなり良い印象を受けましたので、もっと観たいと純粋に思いました。
ディズニープラス（日本）がSNSなどで事前に謎に煽った程の”エグさ”は私は一切感じませんでしたが、特に1話目が目に関するシーンが多いので、その点でもちょっと異なる（？）怖さを感じる方も多いかもしれません。
ファンタジーっぽさを消していないので、表現としては比較的マイルドな方だと思いますし、観やすい作品だと思います。（個人の感想です）
ただこればかりはそれぞれの個人差がありますので、そもそもグロテスクな表現が苦手な方は注意すべきドラマであるのは間違いありません。
性的なシーンも多くはないですがありますので、それなりに留意して頂ければと思います。
チョン・ヘインさんが繊細な感情を抱いている役柄に本当に合っていて、ふと”そのような”シーンが入るのですが、それがメリハリになっていて非常に良かったです。
個人的に思うヘインさんの素晴らしい持ち味の一つ「情緒」を最後まで最大限に活かした演出とシーンの配置は、いわゆるグロテスクなシーンも伴う今作の中で”静かな悲哀”として効いていて美しかったです。
そしてコ・ギョンピョさん、良かったです！
体重を”イヤ〜な感じ”に増量されていて、思わずニヤリとしてしまいました。俳優さんはどこに肉を付けるのかまでコントロールできるのでしょうか…とそのプロ根性に登場シーンで既に半ば感動してしまいました。
言うまでもありませんが、演技も素晴らしかったです。ただ残念ながらキャラそのものはよくある感じといいますか…。私は面白さを感じませんでした。
ネタバレになってしまうかもしれませんが、今作は全6話構成ですが”スッキリ”終わるドラマではありません。
個人的には「第1章が終わった」という印象を受けました。恐らくシーズン2の可能性があるのではと考えます。
ゆるいネタバレありの感想
Disney+ Koreaインスタグラムより
ひっそりと人目を避けるように1人孤独に暮らすドンス。
彼の密かな趣味はネットに自作の曲と歌を「孤独なギターマン」の名前で投稿すること。評判は上々のようです。
とはいえ、彼は表舞台に立つ事やファンと密に連絡を取り合うことは決して望んでいません。
なぜなら、彼は”普通”ではなかったのでした…。
ある夜、ドンスは何者かに狙われどこかに連れていかれてしまいます。彼等は臓器売買の闇の組織。必要な部位を”取り除き”殺す計画です。
手術台に乗せられ意識を失ったままのドンスは、そこで2つの眼球を奪われてしまいます。そして次は臓器へ…。しかし医師が目を離した隙に、ドンスは何と無意識のまま”復活”してしまうのでした。
事態に驚愕する医者、ドンスは右の眼球を残したままその場から逃げ出すのでした。
そう、ドンスの身体は普通の人間とは全く異なるものだったのです。この理由でドンスはずっと隠れるように生きていたのでした。
失った右目
右目を取られてしまったドンスは、程なくして痛みと共に失ったはずの右目が”見える”ことに驚きます。
他人の視点…やがてそれは”取られた”自分の眼球からの視界であることに気付きます。自分の目を持っている”人物”、それは世間を騒がしている悪趣味な殺人犯ではないかと推理するドンス。
彼は次の犠牲者と止めるべく、そして自分の目を取り戻すために殺人犯を独自に追い始めるのでした。
コネクトとは
詳細は明らかになっていませんが、製薬会社の実験過程で生まれた「不老不死」の生体。コードネームからコネクトと呼ばれていて、一部の人の間では話題のようです。
いつから（出生から？）そうなったかは語られませんが、ドンスは小学生の時には既に”コネクト”の身体になっていました。
例え怪我などで体に傷を負ったり切り離されたとしても、触手のようなもので細胞同士が繋がり、短時間で修復され元通りの身体になるというもの。
ドンスはこの特殊体質によって幼少期から周囲に「化け物」と疎まれ、心に深い傷を受け続けて生きているのでした。
イランとの出会い
真犯人ジンソプを追い続けるドンスですが、そんな彼を臓器売買組織も探しています。
もちろん彼が特殊体質「コネクト」だと気付いたからです。加えてドンスは警察から殺人犯の疑いをかけられて追われることに。
そんなドンスを何度も助けてくれたのが、不思議な女性イラン。彼女はドンスとはまるで正反対の考え方を持つ、強い女性です。
今まで孤独だったドンスにとって初めての”同志”となり、彼の中で色々な意味で大きな変化と刺激が起きたのではないでしょうか。
このイランとの出会いと彼女の価値観の違いに触れたドンスが、シーズン2で大きく羽ばたく予感がします。
気になった点
・このドラマで何かが足りないと最後まで感じたのは、やはりストーリーでしょうか…。
決して面白くない訳ではありませんが、あまりに”そのまま”進むので、お話としてハラハラさせられることは正直全くありませんでした。
サスペンスを狙った作品ではないのは承知ですが、次どうなるのだろう？という気持ちが最終回のラストシーン以外はわきませんでした。
根本的にドンスは不死身であるため、彼が死ぬことはありえません。そのため最終対決としてのジンソプvsドンスも、そこまで盛り上がらないというか…。ここが仮にシーズン2に続くのであれば、完全なる序章状態だと感じ、もう少し裏切りのような驚きが欲しかったなと視聴していて思った次第です。
・もう1つちょっと凡庸だなと思ったのは、ジンソプの描写かと思います。彼は強い信念の元で殺人を実行しエキセントリックに世間にアピールしている訳ですが、彼の実態というか動機やキャラ設定については、新鮮味は無かったです。
・この作品だけでは全くありませんが、よくわからない動きをする警察・同僚の人などは、（本当にしょうがないのかもしれませんが）、その違和感に集中力を途切れされられるような時があり残念です。
・ただの文句かもしれませんが、ドンスとジンソプが入口でぶつかった時、なぜ”コネクト”しなかったのでしょうか…。
好きだった描写と今後の考察
良いなと思った流れが、ドンスの大切にしていたもの（曲作り）が次第にそしてZによって更に世間に認知されるところです。
孤独で社会の隅に追いやられ隠れるように生きていたドンスが、初めて世間に”知られ”認められ、彼にとって大きな喜びと幸せを噛みしめていることが伝わり視聴していてぐっときました。
彼が曲を投稿していたことはドンスが完全に社会を諦めていない、認められたいという気持ちが残っていて、希望や接点を望んでいるのがわかります。（ここが今後に繋がりそうな気がします…。）
彼もまた音楽という”芸術”を世間に密かに発表していた訳で、ここでジンソプとある種の共通点も存在します。
ジンソプ、Zもコネクト化したようにも思えましたので、今後まだ彼らの関係性は続くかと予想します。
このイランとの出会いと違った生き方に触れたドンスが、「支配」「未来を変える」というキーワードで、彼自身のこれまでの消極的だった考え方から大きく変化する気がします。
ただドンスはコネクト”新規”と思えましたが、イランに関してはもう何年もこの世に生きているのではないかと感じました。
コネクトについて、そしてドンスの今後の生き方については、まだ謎は残りますのでシーズン2の方がより派手に描かれるのではないかなと予想します。（シーズン2が用意されることを期待します…）
ただ原作のWEBトゥーンは未読ですので、上記の考察はあくまでも個人的な考えです。
ということで、総合的にはとても楽しく視聴しました。
作品のカラーとして万人におすすめするタイプのドラマではありませんが、緩急もありましたし個人的には面白かったです。
気になった方は是非視聴して頂ければと思います。
