ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国映画 神と共に 第一章:罪と罰 (感想)

おすすめ度:83%
地獄めぐり度:100%
ファンタジー度:100%
原題:신과함께-죄와 벌 140分

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殉職した消防士の元に出現したのは冥界からの使者だった…2017年公開のファンタジー系アクション・ヒューマン映画。

あらすじ・キャスト

消防士のジャホン(チャ・テヒョンさん)は壮絶な現場で人命救助の途中、亡くなってしまう。そんな彼の前に登場したのが、3名の"使者”、ヘウォンメク(チュ・ジフンさん)、ドクチュン(キム・ヒャンギさん)そしてリーダーのカンニム(ハ・ジョンウさん)だった。
彼ら3人がジャホンをこれから向かう、7つの地獄での裁判に付き添うと言うが…。

感想

面白かったです!
2時間超の映画ですが、中だるみを全く感じさせないテンポの良さが特に素晴らしかったです。CGも多用されていて、まるでテーマパークのアトラクションを意識しているかのようなシーンチェンジが多く、観ている者を飽きさせない工夫が映像的にもされていました。
コメディ色が強いのかなと最初思わせながらも、しっかりグッと来るシーンもあり、色々と抜かりないなという作品でした。良かった!
ただ、ポイントとなる「地獄」の描写というか内容がワンパターン気味で少し軽い印象も受けはしましたし、また主人公となるジャホンと家族の関係が定番ネタながらも、よく考えると謎かなと思いはしました。
ですが、テンポが良かったので視聴していてそのまま押し切られたというか、流れに乗せられたようにエンディングそして2章へ続く…という雰囲気が上手いな思いました。
単純にエンターテイメントとしても、とても面白い作品でした。

7つの地獄を巡るジャホンと3名の冥界の使者ですが、この組み合わせが絶妙で良かったです。
個人的に最近特に好きな女優さんのキム・ヒャンギさんが、彼女の小柄さと不思議な雰囲気を生かした役柄がポイントの存在になっていて良いなあと感じました。
チュ・ジフンさんはスタイルの良さで特徴的なタイトな衣装が特に似合っており、圧倒的に素敵でしたが、今作(第1章)ではキャラがステレオタイプ枠のような印象で少々深みがない気もしました。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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キム・ヒャンギさんインスタグラムより

消防士として働くジャホンは、火災現場で救出活動中に命を落としてしまいます。死亡直後、明るくジャホンの前に突如出現する冥界の使者たち…。
そう、ジャホンはこれから死後49日の間に「裁判」を受ける必要があるそうです。見事7回の裁判に勝つと、その者は再び生まれ変わって下界(人間界)へ戻れるよう。
ジャホンがこの先受ける裁判の弁護や警護の担当をするのがカンニム、ヘウォンメク、ドクチュンの3名、リーダーはカンニムさんです。
亡くなったばかりで混乱し、暗い表情のジャホンとは異なり、使者の表情はなぜか明るく、彼を陽気に迎え入れます。なぜなら、ジャホンは「貴人」…かなりレアな”タイプ”に分類された人間、かなり徳を積んだと思われるジャホンさんは裁判もほぼ勝ったも同然のようです。

浮かない表情のジャホンさんですが、3人と共に彼の裁判というか、彼らの地獄巡りツアーが始まります。
まずは最初の地獄:殺人地獄
この地獄順番ですが、ヘウォンメクが「いきなり殺人地獄か?」という台詞で文句を言っているシーンがあるので、ジャホンの場合は第一関門で殺人を問われる地獄が出現(?)したと察します。人によって地獄のスタート開始始点はランダムのようですが、使者たちは殺人地獄の次の地獄を知っているので順番は決まっているようです。

ここではジャホンの「過去」が全て確認され間接的にも殺人を犯さなかったか精査され、裁かれます。
2番目:怠惰地獄
生前の人生を無駄に過ごさなかったかどうかを問われる場所。ジャホンは病気の母親のため、そして弟のためお金を稼ぐべく、まさに朝から晩まで休みなく働いていたことが明らかになる。
3番目:嘘地獄
過去についた嘘が明らかにされ、その罪を裁かれる。
4番目:不義地獄
人を助けなかった冷たい心を裁く地獄。
5番目:裏切り地獄
他人の信頼を裏切った過去を裁かれる。
6番目:暴力地獄
過去の暴力を問われる、相手から許されているかも重要。
7番目:天輪地獄
親不孝の罪を裁かれる地獄。

以上の7つの地獄を途中三途の川などもありつつ巡る訳ですが、面白いのはジャホンという”人間”が観ている側と使者たちにどんどん明らかにされていくという部分です。また、ジャホン自身も己に向かい合う時間ともなります。
当初は「貴人」というある種のレッテルと彼の消防士としての人命救助の実績から、聖人君主のような印象が強かったジャホンですが、そうなった彼の過去には母親を巡って暗い部分もあったのでした。
この地獄を通過するに従って彼の人生が明かされるというドラマチックにストーリーが仕立ててあり、最後の7番目の地獄がピークになるように作ってあるのは構成がわかっていても大変上手いと思いました。

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またマンネリになりつつある地獄ツアー途中から、ジャホンの弟であるスホン(キム・ドンウクさん)がマーベルのキャラのような怨霊になってしまうというアクシンデント(?)が発生。
これも場面展開としては意外性があって面白かったです。ですが、このスホンの怨霊問題が個人的には正直腑に落ちませんでした。
そもそも、亡くなった人(ジャホン)の家族が亡くなって怨霊になるとジャホンがいる冥界に影響を及ぼすとのこと。私はすっかりジャホンと関係ある理由でスホンが悪霊になってしまったと思いました。(だからジャホンに影響するのかと)
しかし、スホンさんはジャホンの死とは関係ない別件の残念な事故で亡くなってしまい、ジャホンとは面識もないであろう軍関係者に恨みを覚えて怨霊化。ここにジャホンとの関連性があまり結びつかず疑問を感じてしまいました。
そもそもこの件がジャホンに影響する理由がしっくりこないというか…。肉親の怨霊ルールだから、的に単に押し切られた気もしますが…。
実際、スホンの問題は別軸で扱われていてカンニムが冥界と下界を簡単に繋ぐチャンネルのような役割になっているという解決方法だけで、この2つのある意味独立したエピソードを”兄弟”としてまとめて繋げたなとは感じはしました。そこがちょっとこの作品の中で気になった部分です。

とはいえ終盤このスホンがキーパーソンとなり母とジャホンを感動的に繋げ、無事ジャホンの裁判を助けるという役割を担います。
よくあるタイプの泣かせに来るエピソードではありましたが、盛り上がりのピークをラストに持ってきて第1章は美しく終了、無事ジャホンさんは転生決定!
だけど俺たちの旅はまだ終わらないぜ!的に作品は美しくエンディングを迎えました。しっかり最後に強烈なインパクトを持つ方と共に2章ティーザーが入ったのも素晴らしかったです。マ・ドンソク先生なんですけども…。

上述したように、スホンとジャホンの冥界での関連性に疑問を持ちはしましたが、作品としてはとても面白かったです。
7つの地獄ですが、各大王が誰か(ゲスト出演者的な意味で)という出オチ感もありはしました。また地獄での裁判がワンパターンだなあと強く思えるあたりで(特に3-5番目)スホン問題を発生させるなど、色々と視聴者をあの手この手で飽きさせない展開を強く意識しているのかなと思い好感を持ちました。
ということで、7つの地獄の舞台設定や衣装デザイン、CGも凝っており、地獄テーマパークツアー的な楽しみもあった第1章でした。
タイトルから受ける印象よりも随分軽めであまり強く訴えるタイプの作品ではありませんでしたがエンタメ性が強く楽しんで視聴しましたし、死生観なども垣間見れて興味深いところも良かったです。

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