ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ ビッグマウス (感想)

おすすめ度:68%
タロットカード度:100%
誰も信じられない度:100%
原題:빅마우스 / Big Mouth (全16話)

韓国ドラマ ビックマウス 感想レビュー

三流弁護士が依頼された事件、それは人生を変える始まりだった…。2022年放送のクライム系作品。

あらすじ・キャスト

弁護士のパク・チャンホ(イ・ジョンソクさん)はお金もなく弁護も負け続け、いつしか口だけのビッグマウスと陰口を叩かれている始末。そんなチャンホの元に市長チェ・ドハ(キム・ジュホンさん)からとある事件の弁護を依頼される。
一方世間では、巨額のお金が動く”ビッグマウス”と呼ばれる詐欺師による問題が騒がれていた。
チャンホは依頼されていた事件の真相を掴もうとしたその時、彼こそが”ビッグマウス”だと逮捕されてしまう。
身に覚えのないチャンホ、そして妻のミホ(イム・ユナさん)は混乱するが…。

感想

積み重なる謎
とにかく畳みかけるようなスピード感あるストーリー展開が大変クセになります。
残念ながら後半からちょっと色々気になりますが、面白く楽しみに視聴しました。良い意味でも悪い意味でも観ていて何度も裏切られる構成になっています。
三流弁護士チャンホが怒涛のスピードで詐欺師ビッグマウスとして仕立てられ、彼の戦いが始まります。
まるでゲームのように立ち位置が変化し、チャンホ演じるイ・ジョンソクさんの表情が変わっていくのを見るのはとてもスリリングというか、惹きつけられるものが大変あり、とっても魅力的でした。
果たして”ビッグマウス”は誰なのかをひたすら追っていくお話が続きますが、ミスリードはありつつも、ネタをわざとらしく長く引っ張らないので、視聴していてイライラさせられることはありませんでした。特に中盤あたり"まで”の描き方は、本当に絶妙なテンポだと感じます。
また視聴している際に、こちら側に考察を強く要求しない作りになっていて、色々考えられているなと思えました。そのため観ていて疲れる、ということは無かったです。
テーマの割に妙に重厚感や難解さを表に出さず、軽妙さがあって良いなと好感を持ちました。

出てくる登場人物は全体的にキャラ立ちした濃さがありますが、演出としてクドくないのが効いていて、キャラ達へのヘイトがあまり残らず視聴していてとても良いなと感じました。
ただ個人的に冗長だと感じた点は、刑務所内での描写でしょうか。
似た画面と”騒動”が続くので(しょうがないですが)、中盤では既に新鮮味を失ってしまい同じようなシーンの印象が強すぎるのが残念に思えました。
後述しますが、大きく盛り上がるはずの終盤からは良さを失っていたようには思えました。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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イ・ジョンソクさんインスタグラムより

勝率も良くない、いわゆる三流弁護士のチャンホ。借金もあります。
とはいえ持ち前の明るさもあって、長い付き合いの看護師の妻をしているミホとも強い信頼関係で結ばれています。
そんなチャンホの元に、九川市長チェから突然の弁護依頼が。病院の関係者が乗った社内で起こった殺人事件の弁護です。
彼らはお金で言いなりなる”何も考えない”シナリオ通りに動く、都合の良い弁護士が必要だったのでした。
チャンホはその意図を知りつつも、弁護士としてのプライドもあったのか独自に行動。重要な証拠品でもある車内ドライブレコーダーの映像も手に入れます。
この事件の背景にはウジョン日報のトップで財界を牛耳っているNRフォーラムのリーダー的存在のコン・ジフン(ヤン・ギョンウォンさん)が、存在することを突き止めます。ですが徹底的な証拠は何ら得れていません。
それでもチャンホは解決が近いと、チャンホは己が依頼人の意向に反しながらも”悪”に屈せず真相を突き止めた、と満足を得たようでした。
しかし、チャンホのそんな態度は甘かったと後ほど身に染みて感じる出来事が。彼は自分の車で「ありえない」事故を起こしてしまいます。
ここから彼の平和だった人生は一転してしまいます。

”ビックマウス”という謎の詐欺師がちょうど世間をにぎわしていました。コンを中心としたNRフォーラムの人々も、このビックマウスから多額のお金を巻き上げられたところ…。
そんなニュースが飛び交う中、チャンホは「ビックマウス」だと突然報道されます。
チャンホの事務所からは、彼がビックマウスであると裏付ける数々の証拠品が発見されます。しかし全く身に覚えがないチャンホ。
混乱の中でチャンホは逮捕されてしまいます。ミホは夫の潔白の為に戦うことを決意。

とはいえチャンホが”ビックマウス”と扱われることは、損ばかりではありません。
権力者が彼に”巻き上げられた”お金を取り戻すため、チャンホがビックマウスである可能性を考慮して、刑務所内で特別待遇にされるのでした。駆け引きの始まりです。
ここから、彼が混乱しながらも「ビックマウス」として刑務所内で生きていくチャンホの生活が始まります。

韓国ドラマ ビックマウス 考察感想

ビックマウス・チャンホ
偶然か必然か、不可解な事ばかりが発生する刑務所内。人々は次第にチャンホこそが”本物のビックマウス”だと信じ始めます。
事件が起こる度にチャンホの信ぴょう性も高まります。次第にペク所長らにも黙認されはじめるチャンホ。
ただ当の本人チャンホはもちろん自分はビックマウスではないと分かっているので、本物がどういう意図で自分をニセモノに仕立て上げたのか、どこまで演技を続ければよいのか…その真意を図ろうと必死。
序盤の最も大きな見どころとしては、刑務所内でも突然の状況変化に動揺していたチャンホが、どんどんビックマウスが乗り移ったようになるところ。場面によって変わる表情や立ち振る舞いだと思います。
イ・ジョンソクさんの目つきや声のトーンなど、ビックマウスとしてのオーラを自ら作り出し、シーンの一瞬の変化で”本物”になりきっていく様子は見応えがあって素晴らしかったです。

裏切られ続ける
このドラマが面白いところは、誰がどこで嘘をついたり・だましているのか、なかなか観ていてわからないという点。
まるでカードをどんどん引いて行くように、仕掛けて・やり返されての局面が続きます。テンポが非常に速いので、無駄なシーンの「溜め」が皆無。
もったいぶった過度なミスリードを導く演出が無く、個人的にはそこが一番このドラマで気に入ったところです。本当に良かった。
チャンホがたどり着いたビックマウスの正体ですが、何度か偽者が登場しますが、その都度「?!」という場面が直後に用意されています。
そのせいか、なんでしょうか…溜飲が下がるというか、視聴者の”疑い”をその都度流してくれるイベントシーンがあり、なかなかニヤリとさせられて良かったです。

ビックマウスは誰?
何度も裏切られつつも、ビックマウスに”使われる”チャンホ。しかし彼の度胸は次第に本物を超えてしまうようにも…?
面白いなと思ったのが、終盤で真のビックマウスが明かされる直前付近。
その頃には、物語の視点は「誰が本物のビックマウスなのか」という箇所が自然と重要視されなくなっている話の流れになっています。この部分も上手いなあと思いました。
なので観ていて興味が逸れず、終盤まで飽きない構成にしっかりなっていました。
ちなみに私は「どうせキャスティング的に…」と半分なめた態度でビックマウス予想をしていましたが、大きく外れたので楽しめました。クァク・ドンヨンさんではありませんでした。
驚かされるイベントが続出し、かなりの満足感を得たのは言うまでもありません。なかなかの入れ子状態で楽しませてくれるなあと思いました。
(誰が本当のビックマウスなのかは、是非ドラマでお楽しみ頂ければと思います。)

不満:策士策に溺れる
全ての黒幕であり極悪人はチェ・ドハです。
彼の罪を裁くため、チャンホは大きな賭けをします。そう、市長選への立候補。さすがのチャンホさん、奇想天外なアイデアで度々ドハの裏をかきますが、ドハも簡単には潰されません。彼は筋金入りの”悪人”。
最終回である16話になっても「これ解決する?」という展開が続き、最後まで目が離せない状況です。
ただもちろん、エンディングではチャンホが”勝ち”ます。
ですが、この終わり方は…どうでしょうか。うーん…。
想像以上にアッサリしているというか。なるほど…とは感じましたが、どうもスッキリした気持ちを得れなかったのは正直なところ。何だったの感がすごい。

個人的には、物語の帰結を考えると脚本的に「策士策に溺れる」印象を強く受けてしまいました。(偉そうにすみませんが…)
ビックマウスの正体もそうですが、視聴者の予想を裏切り続けた手法が、このドラマを大変盛り上げてくれて面白くしていた最大の長所だった訳です。
しかしそのカードを使いすぎというか、視聴者の予想を裏切ることにあまりにも集中しすぎたような。
今まであれだけ派手な戦いを繰り広げていた憎きドハに対する最後の切り札としては、その呆気なさと地味さを感じた次第です。その手を使うならば、最後まで待つ必要はなかったですよね?どうして??と問いかけそうになりました。
ミホの無謀さも如何なものかとモヤモヤしていましたが、色々と回収されないままの伏線たち。
盛り上がりネタとして特に残っているのは、サイコパス息子の行方、会長の司法解剖結果あたりはヒドイなと無言になりました。回収しないのだったらその匂わせ必要だった?と雑な印象が強い。
また個人的には途中から面白いキャラになっていた、コン・ジフンを全く上手く活用できていないのも、少々不満を感じました。

ということで、最終回は特に少々尺の足りなさと尻すぼみ、強引さと息切れがまとめて一気に押し寄せて来て、エンディングにして最も微妙な気持ちを残しつつ…。
ただ作品としては、次が気になるストーリーをテンポよく上手く組み立てたドラマだったという印象で良かったです。
最後のの怒涛の詰め込み具合に「どうしてこうなった」という勿体なさをかなり感じましたが、総合的には楽しめたドラマでした。

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