ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ カジノ (感想)

おすすめ度:90%
カジノ度:100%
フィリピン度:100%
原題:카지노 /  Big Bet (シーズン1、全8話)

韓国ドラマ カジノ 感想レビュー考察

いかにして彼はカジノ王になったのか?2022年公開のクライム・アクションドラマ、パート1。

あらすじ・キャスト

その家庭環境と時代で苦労して育ったムシク(チェ・ミンシクさん)は、カジノ界に商機を見出す。
トラブルをかいくぐりながらも、フィリピンで部下となるジョンパル(イ・ドンフィさん)らと共に成功するムシクだった。
しかし、警察のスンフン(ソン・ソックさん)がフィリピンに派遣され…。

感想

シーズン2(9−16話)の感想はこちら:

以下シーズン1(1−8話)の感想です

序盤の立ち上がりがちょっとスローすぎるように思えましたが、総合的には非常に面白かったです!
映画のような映像と構成で作られているドラマで、フィリピンロケもあり作品のムードがとても良かったです。
話がどんどん”強く濃く濁った”雰囲気に盛り上がっていくのが感じられ、観ていてワクワクしました!終盤は本当にすごかった。
また、出演されている俳優さんが(役柄の大小関係なく)とにかく本当に恐ろしく豪華で、演技も言うまでもなく申し分ない素晴らしさでした。
渋い演技派俳優さん勢揃いという感じで、その部分も観ていて大変楽しめました。
それもこれも、チェ・ミンシクさんパワーでしょうか…。

今作は1話の冒頭のプロローグで、主人公であるムシクの「結末」が既にネタバレされています。
その点が面白くもあるのですが、明かされた彼の”結果”が全くストーリーの邪魔をしないというのも素晴らしいなと思います。
また、ムシクの人間性がなかなか複合的なキャラで、読めないというのも面白いです。
このドラマでは、ムシクだけでなく出てくる人物が「こういう人」だと一概に分類しにくいキャラばかりで、
そこがリアリティさもあり魅力的で味がある人物描写だなと、個人的にとても好きでした。

フィリピンでカジノ王になったムシクの半生を、この全8話までは主に描いています。
上述したように、彼の生き様が語られますが、やや冗長でもう少しスピードアップできたのではと思います。
ただ、画面カットが割と良かったので視聴していてだるさを感じる訳ではありませんでしたが。(個人的にはシーズン1は全6話ぐらいでも良かった気もしますが…)
ネタバレになってしまうかもしれませんが、ソン・ソックさんは最初から登場という訳ではありません。
また途中一部でそれなりにしっかりした描写の性的シーンが入りますので、
視聴場所によっては気まずい感じになるのでご注意頂ければと思います。

この前半にあたるシーズン1は全8話で、残る後半の全8話は2023年2月15日から公開予定です。(1が終わって割と早くの公開で嬉しいですが、だったらもう来週から配信して欲しいところです…)
当たり前ですが物語的にも、後半からがいよいよ!という山場に入ると思いますので、とにかく続きが早く観たいです。
シーズン1だけの感想としても、既に大変見応えがあり、出演されている俳優さんの演技も本当に素晴らしいです。
やっぱり韓国ドラマ面白いなあ!と痛感させられるというか、その真髄を感じるものがあるドラマです。

ゆるいネタバレありの感想

イ・ドンフィさんインスタグラムより

このパート1の前半では、フィリピンでカジノ王として名を馳せたチャ・ムシクという男性の生き様が語られます。
このムシクが持っている、生まれながらの機転の良さと金儲けへの勘の良さ、そして恐ろしさとその反面、情が厚いという彼の人なりが立体化されます。

ムシクという男性
・勘の良さ
家庭事情から養護施設に預けられたムシク。しかし施設の環境は悪く、幼いムシクたちは常に腹を空かせていました。
彼は危険なヒアリを捕って売り、小銭を稼ぐことを思いつきます。しかし食べたかった肉を買うにはお金が足りず、同じように小銭を持っていた子供たちに持ち金を賭けたジャンケンを提案するのでした。
ここで既にムシクは子供の頃から、目的のためには危険を顧みない性質。そして着実にお金を貯めるというよりは、1を100にする可能性を選択するタイプ、つまり所謂ギャンブルタイプだということが端的にわかります。
・人情味
ムシクの母は学がなく苦労が多い様子でしたが、家族思いのとても優しい人でした。一方の父はお酒や暴力問題ばかり起こす、迫力のある”その道”の人間。
しかしたまに父らしさを出すところが描写として面白く、彼は文字を父から習います。
高校生になったものの勉強に身を入れる気はないムシク。しかし、そんな彼をしっかり見てくれていた教師もいました。
卒業したら働くつもりだったムシクに、自らのお金を渡し勉強して大学進学するよう勧める先生。教師の静かで温かい気持ちに強く胸を打たれ、猛勉強します。
ここで成人したムシクが持っている妙な人情味というか人助け精神が、真面目で誠実な母とあの気に掛けてくれた先生から強く影響されたのではと推測します。
・面倒見のよさ
彼の機転の良さと判断の速さに加えてムシクが持つ”面倒見のよさ”が、彼の人生にとても効いてきます。
英語学校を開校していたムシクでしたが、そんな”普通”に甘んじて生きるタイプの人間ではないことは、ムシクの知り合いたちもわかっていたようです。友人は彼にある日、カジノの儲け話を紹介するのでした。
カジノに見学に訪れて商売の手法を理解したムシクは、速攻で店を持つことを決断。
店は賑わいますが摘発を受け、彼はフィリピンに知人を頼って逃げることを即決します。
フィリピンに渡ってからも、ムシクは持ち前の勘で親交の“輪”を広げていきます。
部下たちに対しても、時に先生や父のように接するムシクさんです。
・恐ろしさ
フィリピンでカジノに入り浸りお金を浪費し、借金を重ねるムシク。
しかし、彼はなぜか危機感はなさそう。それどころか、借金の取り立てに来た者を威圧し戦わずして制圧することも。
ムシクは、顔色すら変えず恐ろしいことも自信満々でできる人間でもありました。
それは、彼の威圧的で妙に堂々とした父親の存在、そして彼が若い頃に軍の特殊な仕事をしていた経験も関係あるでしょう。
ムシクは非常に情に厚い人間ですが、一方で敵に回すと何をするかわからない恐ろしさを秘めていることも考察できます。

韓国ドラマ カジノ 評価考察批評
・損して得取れ
子供の頃に靴磨きをして新聞を売っていたように、彼の商売に対する機転の良さとズルくもある賢さが成長するにつれ、より光を放ち始めます。
フィリピンでカジノを任せられ、彼の商売への才気は更にみなぎります。
客を連れてくるエージェントの収入についても、一番にムシクが問題改善に目を付けるのでした。
部下でギャングでもあるエージェントやカモになる客たち。そして国の要人までも彼は一見損をする手法を使いながらも、大局的に見て彼にとって、そしてカジノの経営に得になるように動いていたのでした。

スンフン登場
様々な難題をその人脈と金、そしてその迫力で全て解決してきたムシク。
しかし、時代は変わっていきます。
韓国からコリアンデスクという今までにないポジションで派遣されてきた、警察スンフンの登場です。自国民の刑事事件を、海外でたった1人捜査することになったスンフン。
しかし、早速洗礼のように”チャ・ムシクの案件”だから…と地元警察も皆言葉を濁すことに気づきます。
昔の要領で、そして彼のやり方で問題を片付けていたムシク一味。
しかしドラマ終盤では世間の、そして彼に対する風向きが何となくじわじわと変化しているのがわかる描写になっているのが、なんとも…。
1話のムシクとジョンパルの会話「花に十日の紅なし」が刺さってくるわけです。
--
ということで、非常に気になるラストシーンで第8話は終了!
ムシクの”今後”は第1話で明らかにされているので、彼が殺されていないのは確実ですが、一体どのようにシーンが動いたのか非常に気になるところです。
個人的にはジョンパル登場を大期待していますが、おそらくあの人物は自らの引き金を引いたと予想します…。
また、どこか飄々としているスンフンも何か鋭く光るものを抱えているようなので、彼は確実に次の9話から活躍することが予想されますので、楽しみです。
私がとても好きな俳優さんでもあるソン・ソックさんとイ・ドンフィさんが出演されていて、その時点で嬉しさしかないドラマですが、内容もとても面白かったです。
撮影と演出も大変かっこよくて渋く、個人的には今のところ満足度が大変高い作品です。
気になった方は是非観て頂きたいなと思います。

こちらもおすすめ: