ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ まぶしくて-私たちの輝く時間- ネタバレ感想

おすすめ度:50%
最後まで我慢度:100%
ナム・ジュヒョクさんの涙度:100%
原題:눈이 부시게 1話約65分、全12話

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古い時計を巻き戻すと、過去に戻ることができる…思い出したい過去と辛い過去。日々の幸せを再確認する、2019年放送のヒューマンドラマ。

 あらすじ・キャスト

アナウンサー志望のキム・ヘジャ(ハン・ジミンさん)は25歳の無職。
しかし夢である仕事と現実の自分は遠くかけ離れていて、日々くすぶった生活をしています。
ある日、出身大学のOB/OGも集まる合宿にヘジャも参加すると、先輩からイ・ジュナ(ナム・ジュヒョクさん)を紹介されます。彼は報道記者を目指している人でした。
ひょんなきっかけで家が近所ということを知り、ヘジャとジュナは仲良くなり、やがて互いに気になる存在のように。
そんなある夜、ヘジャはジュナのつらい生い立ちを聴かされ、秘密の腕時計の事を告げます。
ヘジャは昔、海岸で拾った腕時計があり、この腕時計で時間を巻き戻すと、現実世界の時間も巻き戻すことができるというもので・・・。

感想

観終わった後、心に響くけれど…ドラマとしては、うーん…。
そんな、なかなか複雑な気分になった作品となりました。
私の感想の結論としては、

このドラマが面白かったかと問われると、正直つまらなかったです。
しかし、話が良かったかと問われると、答えはYESです。

まずこのドラマを視聴されたほとんどの方そうではないかと思うのですが、第1話を観た時の印象からかなり大きく、かけ離れた最終回だったと思います。

また、このドラマに関しては、ラスト2話の終盤が非常に強い”オチ”として描かれている作品です。
ネタバレ無しでは感想が書きにくいと感じましたので、オチ部分を含めて壮大にネタバレして感想を下記に書きます。
未視聴の方で最後まで諦めずに観る予定の方は、このブログの途中までで読むのを止めておいた方がよいと思います。
また、途中の話の重さで観るのを諦めた方もいるかもしれません。
その方達は、1、2、11、12話だけを視聴すると話はほぼ繋がるので良いかと思います。

観終わったこのドラマ、どう考えても完全に映画向きのストーリーだったと思います。
むしろ映画だったら…せめて全5本以内の短編ドラマだったら、どれほど良かったかとも感じました。
最後のオチについては、途中のあまりにも不自然で長い中盤の途中で想像がついていましたが、予想していたものの特に最後の最後は本当にグッとくるものもありました。
もちろん出演されている俳優の方々もベテランの方々ばかりだと思いますし、演技も素晴らしかったです。
が、そこはドラマとしておもしろいかどうかはまた別の話かなと思います。

全12話というドラマを見る中で、やはり2話以降の長く続く話の冗長さと単調さ、そして加えて陰鬱さが画面にずっと付きまとっていました。
言わんとすることは十分理解しますし、共感できる部分も多いにあります。
ですが、感動すべきという意図が過ぎるお涙頂戴部分と、同じようなエピソードにしつこさを感じてしまったのが正直なところでした。

ネタバレありの感想

 
 
 
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 ハン・ジミンさんインスタグラムアカウントより

観終わった後の複雑な気持ちというのが、やっぱりこれが「ドラマ」作品だったからだと思います。120分の映画だったら、純粋に大感動で観終わっていたのは間違いありません。

まず1話。
可哀想な生い立ちのジュナ(ナム・ジュヒョクさん)…彼が好きなヘジャ(ハン・ジミンさん)は封印していたあの時計の秘密を彼に話ます。
また、時計の針を戻す=時をタイムスリップで戻すと、自分が老けるという設定も理解できました。

1話のつかみ部分は相当良くて、「一体この後どんなストーリー展開になるんだろう?!」と本当にワクワクしました。
ナム・ジュヒョクさんも最初からかなり魅力的なキャラでしたし、ジミンさんも可愛らしい役柄でした。彼女自身が目標を失いつつあって…という性格設定も良かったです。

そんな突然ヘジャにも災難が降りかかります。
ヘジャの父が交通事故死。ここであの時計を使わなければ、いつ使う?という状況。
もちろんヘジャはあの時計を使います。
しかし、なぜか上手くいきません。時は戻っているのですが、父の事故は防げないようでした。そして何十回目かでやっと成功し、無事父親は助かります。
が、彼女が得た代償は大きいものでした…ヘジャ自身が老人の見た目になっていたのですから。

家族もその老いた姿に驚愕し、自身もショックで家に引きこもってしまうヘジャ(キム・ヘジャさん)。好きなジュナにも会っても、気付いてもらえるはずありません。

もちろん、どうにかして時計を使って再び元の25歳の姿に戻るよう、タイムスリップしようと試みます。が、既知のルールとして、時を戻すと成長し、歳を取るという設定があります。何度も時間を戻しすぎて70代になってしまったヘジャ。
この時点で詰んでいるので、不穏なムードしかありません。そんな嫌な予感的中で、ここから長い陰気なストーリー展開が続きます。
ここからは正直、観ていて気分的に面白いと思える点が皆無できつかったです。
(ナム・ジュヒョクさんが出演者でなければ、観るのは完全にやめていました)

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途中で老人ホームが舞台のヒューマンドラマを観ているのかな?を勘違いするほど、2-10話まで実に長い70代ヘジャ(キム・ヘジャさん)のお話が続きます。
そしてこの長い中盤、語られるエピソードが非常に乏しく、同じようなものが多かったです。

・ヘジャの親友2人と遊ぶが、70代ヘジャが体力的にギャップを感じて悲しい話
・親友との他愛のない会話で(老人として)怒る→気まずくなるという話
・ジュナの不幸話。
・町の広報館での老人仲間のあれこれ話
・ヘジャの家族の陰気な話
・ヘジャがジュナの問題解決に向けて色々介入→ジュナ「ハルモニやめて下さい」→負けじと介入→ジュナ「ハルモニ…以下同」の話
・動画配信者で無職のヘジャの兄の面白いと思われる設定の話
・ヘジャの兄とヘジャ友人の恋の話
・広報館の実態の話
・時計の話
*注:広報館とは町にあるお年寄りに無料でレクリエーションを提供する場。しかし実態としてそのかわりに高額な商品を売りつけたりしている。

以上、10種のエピソードを結構な頻度で繰り返し、2~10話まで何度も描かれています。冗長極まりないというか「結局さっきと一緒ですよね?」と、観ながら何度も思ってしまいました。
この苦しい中盤、ジュナは永遠に不幸で、ヘジャの時間はもう戻せない…。だからどうするの?というループ状態の2~10話です。
ここが一番映画だったら良かったのに、という大きな理由です。上記の10種類のエピソードがそれぞれ1つずつ語られていれば、本当に十分だったと思います。正直、しつこい。

彼女がチャーミングに、ご老人でありながら主にジュナの問題に対して首をつっこんで奮闘したり、家族問題に活躍したり。設定としては、”中身”は25歳なので、その部分をやや全面に出しながら頑張っているおばあちゃんヘジャです。
そして時には25歳ヘジャ(ハン・ジミンさん)を思い起こさせながら、ジュナに優しく接します。
もちろん所々で「あれ?」「もしかして」と最後のオチへの布石が色々転がっています。

「もうやめて!私のライフはゼロよ!」と深刻に視聴疲れを感じ始めていた頃、まるでセーブポイントのようにフラッシュバックでハン・ジミンさんとナム・ジュヒョクさんの幸せだった頃のシーンが映し出されます。私のHPもみるみるうちに回復しました。
70代ヘジャシーン→無表情→HPゼロ
ジミンさん&ジュヒョクさん→復活→HP全回復
このようなサイクルでゼエゼエ言いながら頑張って観ていた…。楽しいはずのドラマがなぜ?!

広報館に集うお年寄りたちにも、それぞれ色々な背景があったりするのです。
が、泣かせたいのが丸出しエピソードばかりで、白々しいというか、痛々しいというか…。また逆に面白おかしくしようとしすぎて、「・・・(無言)」という感じにもなりました。

この中盤の尺がとにかく長いし、結局お年寄りのネタなので最初から察しがつきすぎるというか、家族との不和の話や病系、謎の痛々しいコントにしかエピソードが広がらず、非常に辛いところです。

ナム・ジュヒョクさんインスタグラムアカウントより

そしてやっと11話。

(以下大きくネタバレ)

 


ここから大きくドラマの中でも”ネタバレ”がされます。
この1~10話、実は70代ヘジャの夢(厳密には違いますが)のお話だったのでした。
現実のヘジャはキム・ヘジャさん演じる70代であり、その70代ヘジャはアルツハイマー認知症を患っていました。そのため、現在(途中から)療養型病院に入院中だったんですね。

その認知症のヘジャから見た、生きた”そして”過去の思い出と現在の状況が混在しながら”のお話として、前フリの1~10話が語られていたという設定でした。

なので、途中観ながら感じた数々の違和感はその認知症のヘジャから見た”世界だったわけで、妙にチグハグで整合性が取れていなかったり、結末が途切れていたりだったのはしょうがないというストーリー。

ただ、この設定は(お話として肝の部分なのでもちろん理解できますが)正直、ズルいなとは個人的に思いました。
理由が病気なので、結局途中のエピソードの滅茶苦茶な部分は、結局放置。
というか、何を描こうとも理由が理由なので、考察もできません。意味があるようで無かったわけです。文句も言えない理由ですし。

現実社会では、1~10話で描かれていたヘジャの両親は、実はヘジャの息子(父役:アン・ネサンさん)とその妻(母:イ・ジョンウンさん)。無職で配信者の兄ヨンス(ソン・ホジュンさん)は孫。
そして現実社会において、療養型病院の担当医師サンヒョンとして、そしてヘジャの若くして亡くなった夫が記者のジュナ(ナム・ジュヒョクさん)でした。

このヘジャさんの人生が11話から紐解かれていきます。
70年代の韓国、ヘジャさん(ハン・ジミンさん)は20代でジュナ(ナム・ジュヒョクさん)に夢中。デートを重ねて結婚、子供(夢エピソードでは父、現実では息子:アン・ネサンさん)を授かります。

この2人の70年代のお話、1話以外全て陰気なムードの中、唯一普通に大変面白かったです。
なぜこの70年代のレトロな2人のエピソードをもっと早く長く描かない!?とかなり残念に感じました。
また、夢エピソード内の兄のキャラの「おもしろい」はずのエピソードが、総じてすべっている印象でしたが、70年代の兄の方は比べるとマシでした。
この時代のレトロさも大好きなので、雰囲気も可愛くて良かった…!

が、そんなヘジャさんの本当の人生も上手くいきませんでした。
記者の夫ジュナ(ナム・ジュヒョクさん)は戦時中のスパイのような扱いで、結婚記念日に警察に逮捕されます。そして、そのままなんと獄中死してしまいます。
ジュヒョクさん、(映像では)幸せエンドが皆無
そんな最愛の夫を亡くし辛い過去や悩んだ子育てがあって、現在のヘジャさんが生きてきた…。彼女の半生を理解しながら、失いつつある彼女の思い出を優しい目線で描いていた作品でした。

最終回、そんな現代の70代ヘジャ彼女から、今の私たちへのメッセージが入ります。
この最終回12話の最後10分は本当に良いシーンで、素晴らしいセリフ(ナレーション)が入ります。
ここはかなり胸にくるものがありましたので、このシーンだけでも必見です。

メインのキム・ヘジャさんは、超ベテランで大女優さんだと思います。
今回若いように振る舞う演技も大変だったろうなと思いますが、少々演技として観ていて痛々しさはありました。

お話として、認知症の方の目線で描かれていた作品だったこと。
そしてまた、そんな彼らを単に病気だからと見るわけではなく、彼らにも過去があり、そして現在を彼らの目線でちゃんと生きているということ。
記憶を失うことの怖さ、また日々の些細な事の大切さ、その意図は十分わかりました。

ただ、あくまでもドラマ作品として考えると私の総合的な感想は、つまらない、面白くないと感じました。(個人的な感想です、すみません)
感動するポイントも共感するポイントも十分わかりますし、良作品になりうるドラマだと思います。
が、オチの引っ張り過ぎと意図しすぎた痛々しくもある笑い、感動シーンの押し付け部分があまりにも透けていて、それがかなりひっかかり視聴していて私は厳く感じました。
ここまで全面的に泣かせに来てるの丸出しの方法しかなかったのかな…、と逆にしらけてしまいました。

またドラマという長い尺で語るには、中盤の深刻なエピソード不足としつこさ、テンポの悪さが際立っていました。ゆえに、映画だったらどれだけ良かったか…と残念でなりません。
全12話で、通常よくある16話ドラマより少し短いですが、これ以上エピソードは加えられないと思います。12話でもかなり伸ばした方ではないかと感じました。

ただ最終回の最後10分のヘジャさんからのメッセージは良いので、この部分は心の隅に残しておきたいなと強く思った次第です。

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