ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

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韓国ドラマ 保健教師アン・ウニョン(感想)

おすすめ度:73% ♡ ユーモア&ユニーク度:100% ♡ 漢文教師度:100%

原題:보건교사 안은영 1話約51分、全6話

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謎と”ゼリー”に包囲された学校で、保健教師と漢文教師の静かな戦いが始まる。2020年放送のファンタジー系アクションドラマ。

 あらすじ・キャスト

とある私立高校で保険教師として働くウニョン(チョン・ユミさん)は、子供の頃から普通の人が見えない何か・・・そう、通称”ゼリー”とよばれる、スライム状のような物体やゴーストのような生き物が見える不思議な体質だった。
そんな彼女は勤務先の高校で、”何かがおかしい”と感じ始める。高校中に”ゼリー”が発生し始めているのだった。
同僚の漢文教師インピョ(ナム・ジュヒョクさん)と共に、謎のように封印された地下室を探って行くが・・・。

感想

チョン・セラン氏『保健教師アン・ウニョン』の小説が原作のドラマということです。私は原作は読んでいませんでしたが、オープニングからとても気に入って一気に観てしまい、十分ドラマを楽しめました。

ストーリーとしてはぶっ飛んだ系のドラマに分類される作品に当たるかと思います。
とはいえ、気持ち悪い・不気味の話というよりは、非常にユーモアにあふれつつ、時に謎めいて少し不条理な世界観で描かれたドラマです。
あと小道具(特に!)や音楽(OST)、画面のエフェクトなんかも相当凝っているなあと思いました。そこも大変気に入りました。
こういうドラマを制作できる韓国ドラマ界は、やっぱり攻めているな…と思わされた作品です。

ゴーストやゼリーと闘いながらも、生きていく上での悩みなどのお話も
上手く入れ込んであって全6話ということもあり
割と見やすく、そして個性的にまとまっているかなという印象です。

この謎の物体”ゼリー”ですが、見た目含め色々なタイプがあって、なかなか興味深かったです。
全てCGだと思われますので、これと終始戦う俳優陣の演技はなかなか大変そうでした。

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主演の保健の先生ウニョンを演じるのはチョン・ユミさん。チョン・ユミさん、いつも自然な雰囲気の印象でとても素敵な女優さんで好きです。
サイコキネシスー念力ー』などでは、ぶっ飛んだ面白い役をされていたのですが、今回もなかなかユニークな変わった役をされていました。

彼女は孤独でもあり、このゼリーを倒せるのは自分だという善意もあり…。
ウニョンの飾り気がなくそっけない性格なんかも、チョン・ユミさんにすごく合ってました。
ちょっとエキセントリックで変わった役ですが、チャーミングさとコミカルさを出せるのは、チョン・ユミさんだからだと思います。

同じ高校の漢文の先生インピョ役として、ナム・ジュヒョクさんじられていました。
インピョはこの高校の創立者の孫。若い教師役として、ジュヒョクさんにはあまり合った役ではなさそう…と最初思ったのですが、想像よりもナム・ジュヒョクさん、このちょっとズレた教師役が似合っていました。

ちょっとぼんやりしていて、真面目だけど頼りないというか。心ここにあらずというか…。
そのあたりの抜け感の演技がナム・ジュヒョクさん大変良かったです。

ゆるいネタバレありの感想

マネジメント事務所SOOPのインスタグラムアカウントより

ウニョン(チョン・ユミさん)が、この敵であるゼリーたちと戦うのですが、武器などの小道具がとてもキッチュで愛らしく世界観がとっても気に入りました!
彼女はおもちゃのレインボーカラーに光るステッキや、キラキラ光るBB弾銃でゼリーたちを倒してゆきます。(可愛い)

そして相棒(?)役としてインピョ(ナム・ジュヒョクさん)が出てくるのですが、この気が少し抜けたような漢文教師は、何故かシャボン玉のようなバリアで常時守られていて、敵のゼリーの影響を一切受けないタイプ。

それゆえに、ウニョンが彼に触れると、戦いで疲れてた自身の元気を取り戻し、使用制限がある武器のステッキやBB弾銃も復活するという設定がとっても良かった!
インピョ…チートキャラか?!

このウニョンがインピョによって”充電”するシーンは、インピョが触られて少し照れたりするのもあって(しかしウニョンは気にしていない)、このドラマでは大変可愛らしいシーンとなっています。

制作側の意図的だと思うのですが、ゼリーがカラフルなのもあって、俳優さんの衣装の色がかなり地味目でした。(しかしウニョンの衣装は色は抑え目でしたがとてもセンス良かった!)

そしてこのドラマではチョン・ユミさん、ナム・ジュヒョクさん含め、メイクが相当薄くされていて、ナチュラルというか画面からもかなり強い”普通”志向を感じました。そのため、どの俳優さんも素顔感が非常に出ていました。

特に男性のナム・ジュヒョクさんは、普段の恋愛系ドラマではあまり見れないというか、厚く塗られて隠されているであろうヒゲが(後半ちょっと無精ヒゲっぽくなってました)全体を通して見られますので、なるほど…(謎の納得)と思いました。
衣装も普通ぽい服だったので、バランスが良くて顔が浮かないというか、教師っぽくもあり面白いと思います。このあたりの演出も興味深かったです。

またこの薄いメイク演出が割と効いていて、全体的に画面がジトっとしている感があります。
これは観て頂いたらわかると思うのですが、ドラマ最初から何だか奇妙さを感じる画面明度というか、コントラストというか……。
ゼリー無しでも、高校全体に違和感を感じさせる、そんな効果もあって面白いなと思いました。

ストーリー的には高校を舞台にしているので、高校生の人間関係や差別問題などとこのゼリーが上手く絡ませて(見た目も)あります。
ゼリーによって、社会の歪みや嫌な部分を浮き彫りに見せているところなどは、ユーモアで被せてありますが、ちょっと韓国っぽい手法で上手いなと思いました。

元々地下室にあった封印された”石”ですが、この石は悪い”気”を封印するために置かれたものでした。インピョが石を動かしてしまい、学校全体にゼリーが蔓延ります。(それまでもゼリーは発生していましたが)

このドラマの面白い所が、ある架空の宗教団体が背景に描かれているのですが、その部分が少し不気味さをこの作品に加えるのに良い味を出していました。
HSP(安全な幸福)と呼ばれるこの団体が、この学校をチートキャラのインピョも含め狙っていたのでした。
それに気付いたウニョンがこのHSPとの決別と、インピョを渡さないため、(それなりに)戦うのでした。
一方のインピョも創立者の祖父を素晴らしい人だと信じていましたが、裏切られた部分もあって、(それなりに)傷付いたり、責任を感じたりもします。

結局ウニョンは社会の色々な”どうしようもないもの”に、ゆるく立ち向かっていくヒーロー。その”どうしようもない”ものが具現化したのがゼリーかな・・・。
ウニョンが決して使命感というわけでゼリーを退治しているのではなく、「しょうがない」というスタンスなのが大変良かったです。自分は”それ”が見えるから倒すか~、ぐらいのテンションのウニョン。

もしかしたら、一般社会の”善人”がウニョンなのではないでしょうか。
誰のためという訳でもなく、見返りを求める訳でもなく、「良くないこと」に戦いを挑む、そんな目立たない陰のヒーローとウニョン先生を重ねました。

というわけで、独特の世界観でかなりユニークでしたが、想像した5倍以上に楽しめたドラマでした。

特にチョン・ユミさんとナム・ジュヒョクさんの2人のシーンでは、噛み合っているのかいないのかという短いセリフと、間合いの取り方と表情が2人共とっても秀逸でした。
馴れ馴れしくもあり、距離があるようでもありで、2人の独特の距離感とゆるい関係がとにかく心地よく観ていて本当に良かった!!

最後に漢文ことインピョが、ウニョンに話すセリフ、
「平凡は退屈。善人であれば変わっている方がいい」
と話すシーンが印象的で、とても良いなと感じました。

最初に書きましたが、音楽や照明、小道具、衣装、メイクが非常に凝っていて、細かいながらもかなりドラマ全体に効果的に効いていて、こういうドラマみると、本当に幅が広くて面白いなと思います。

少し変わり種のドラマでしたが、個人的には思った以上に楽しめました!原作の小説も気になります…。

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