ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ 品位のある彼女 (感想)

おすすめ度:78%
闇と光の属性度:100%
きもちわるさ度:100%
原題:품위있는 그녀 全20話

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介護士から会長の妻へとのし上がった女性の向かう先とは?2017年放送のミステリー系ヒューマンドラマ。

 あらすじ・キャスト

ある雨の夜、財閥会長の妻である、ボクジャ(キム・ソナさん)が何者かに殺害されている姿で発見された。
このボクジャは、財閥一家の次男の嫁アジン(キム・ヒソンさん)に気に入られて雇われた、もともとは1人の介護人だった。そんなボクジャは介護人という立場から、巨額の富を得た会長の妻の座を手に入れた人物。
一体だれが彼女を殺したのか、そして彼女はどのような人物だったのか…?

感想

なかなかのドロドロ具合と、全体的な”気持ち悪さ”があり、面白かったです。
キム・ソナさんの不気味な演技具合が全面に出ていて、その部分だけでも見ごたえがありました。
キム・ソナさん…説明がしにくい迫力がご本人にあって、謎のとんでもねえ雰囲気がすごかったです。

1話冒頭から、メインのボクジャが殺されているところからお話がスタート。
事件の真相、犯人を解き明かすというお話です。最初の物語のつかみとして、視聴者を引き込ませるボクジャ異様な背景、彼女の不気味さが語られる前半は特に良かったです。

主人公ボクジャが最初に殺されるというインパクトのある冒頭ですが、このドラマは犯人捜しが重要なストーリーでは決してありません。
ボクジャという女性の生き様と、彼女の果てしない欲望を見て楽しむドラマかなと思います。ボクジャの欲にまみれた、嘘に嘘を塗り重ねた執念とダークさ。
一方で会長の娘として、生まれながらの光属性のアジン。
この2人の女性、そしてその光と闇の対比、そしてボクジャが光になりきれなかった切なさや悲哀も上手く描かれているかなと思いました。

ただ…この財閥一家のメンバー含めて出てくる男性陣ですが、軒並み無言にさせるキャラが多く、少々その部分でイライラするというか…。
コミカルさが逆に痛々しいというか、滑っている印象もあって、その点は面白みを全く感じませんでした。女性キャラと比べると浅く、ネタ要員のようにも思え残念でした。

ゆるいネタバレありの感想

キム・ソナさんインスタグラムより

そもそもの始まりは、財閥の高齢の会長テドンの介護人として、ボクジャが雇われるところからストーリーが始まります。
そんなボクジャの面接をしたのは、会長娘のアジン。方言を話し、素朴で良い人という印象を受け、ボクジャをすぐに気に入ったアジンさんです。

雇われたボクジャ、住み込みで会長の介護の仕事が始まります。
が、ボクジャは会長に不必要なほど親密に、そして異常なほど献身的に介護をします。
このあたりが、本当にいい意味でも悪い意味でもすごく不気味であり、控えめに言っても気持ち悪かったです。(すみません)
怖い…というのが正直な感想で、なんとも言えない、とにかく気持ち悪いキム・ソナさんの演技でした。
そんな親密な介護のせいなのか、会長爺はボクジャの魅力の虜に…。彼女に対して恋愛感情を持ちはじめ、なんと爺はボクジャに求婚することに。
もちろん、会長家族や視聴者はそんな爺の恋愛に啞然とします。

一方でボクジャが実は訛って話していないのでは?という点や、彼女が過去に詐欺の前科があったこと、借金を抱えていることなど、彼女の怪しさがどんどんと明らかに、浮き彫りになっていきます。
ここは最もボクジャという人間の不気味さ、掴みどころが無いという部分がギラギラと光っていました。ある意味、光属性に半分なっていたかもしれません。
このあたりまでのドラマへの中毒性が、なかなか素晴らしかったです。

彼女が会長の後妻というポジションを得てからは、家のゴタゴタや、ボクジャの更なる欲望が描かれていきます。
会社の副会長になったり、まさに権力という名の階段をのぼりつめて行くボクジャ。
ボクジャのメイクのアイラインの太さが、彼女が権力を帯びていくのに比例していくようでした。どんどん見た目(アイライン)的にも狂気性を増す彼女。ボクジャさん…本当に怖い女性です…。
歴史ドラマあるあるでお馴染み、王の座を手に入れた途端に狂気に向かってしまう精神状態のボクジャ。
そして、破滅へ…。(1話に戻る)

殺されてしまったボクジャ、しかしそれでよかったのかもしれません。彼女は自分で自分の欲望をコントロールできない状態にあったように思えました。

とはいえ犯人です。意外といえば意外ですが、あまり面白くないな…と個人的にガッカリしたような気持ちでした。
そこはもう、このドラマ的にもドロドロしたベタな悪そうな相手で良かったのでは?というか…。犯人を責めれないような、憎めない点はストーリー的には良いのかもしれませんが、視聴していて何となく後味の悪さを感じました。そこが残念。

ただ、最終回彼女の人生が最後描かれるのですが、なかなかぐっときました。
彼女が悪人だったのは間違いありませんが、悲哀もあって同情もしました。ずっと光になりたかったボクジャ…しかし闇属性の彼女は、光を扱うのは難しかったんですよね。
そんな彼女が憧れていたのが、完全なる光属性だったのがアジン。この2人の対称的な描写がタイトルとも繋がっていて良かったです。
ボクジャの中にある肥大した羨望とエゴが、知らぬ間に彼女そのものを食い尽くしてしまったような悲哀があるエンディングでした。

ということで、スリリングでもあり、ダーティでもあり、怖い物見たさ的な不気味な面白さのある作品でした。
シーン構成やキツイ喧嘩や嫌がらせのエピソードなど、ある意味古典的なスタイルを取った作品かもしれません。
個人的にはキム・ソナさんとキム・ヒソンさん2人のキャスティングがとにかく役柄に合っていて、素晴らしいと思いました。もちろんお2人の演技も迫力があり、面白かったです。

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