ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ ストーブリーグ (感想)

オススメ度:100%
球団運営度:100%
オフシーズン度:100%
原題:스토브리그 / Hot Stove League (全32話/dTV版)

ストーブリーグ ドラマ感想

落ちこぼれ球団に野球の知識なしでGMに着任した男性の改革とは…?2019年放送のヒューマンドラマ。

あらすじ・感想

常にリーグ最下位で選手の士気も低迷しているプロ野球チーム”ドリームズ”。
そんな落ちこぼれチームに野球を知らないペク・スンス(ナムグン・ミンさん)が、オーナー側のギョンミン(オ・ジョンセさん)にある意図で採用され、ゼネラルマネージャーとして就任する。
スンスの始めた球団改革は、スター選手のドンギュ(チョ・ハンソンさん)含めフロントで働くセヨン(パク・ウンビンさん)やジェヒ(チョ・ビョンギュさん)ら周囲の人々の反発を招くが…。

感想

素晴らしかったです!
主人公スンスを演じるナムグン・ミンさんのドライで感情を抑えた演技がこのドラマを最も象徴的するように、ストーリー自体も非常に淡々とテンポよく描かれています。
しかし熱いドラマ性が強く込められていました。
典型的なヒューマンドラマですが、感動の押し付けさや派手さが全く無くエピソードの切り替えが速いため、大変バランスが取れたスマートなドラマだなあと視聴しながら何度も唸ってしまいました。本当に良かった!!

プロ野球チーム選手もそうですが、その球団を支えるフロントスタッフは元野球関係者も多いためか、俳優陣もほぼ男性ばかりのドラマとなっています。
選手を演じる俳優さんたちも体格含めて”選手っぽい”キャスティングになっていて、抜かりが無いというか、好感を持ちました。
妙に顔が良すぎるような人選(というと出演されている方々に大変失礼なのですが…すみません)をしていないのも無骨で硬派な作品スタイルを貫いており、作品の質を高めていると思います。
また、全くラブストーリーを入れないという選択を取った作品ですが、その点も大成功だと思います。これで恋愛話を少しでも入れてしまうと、かなりチープな作りになっただろうなと容易に想像できました。
構成としては全16話(公式)の作品ですが、冗長さが皆無で脚本含めかなり緻密な練り上げ方をしている上質な作品という印象を受けました。とにかく悪い点が殆ど見つからないドラマ。

タイトルでもあるストーブリーグとは、プロ野球含めスポーツのオフシーズン内で選手や球団の強化(トレード含め)に努めるシーズンを指す言葉とのことです。
そんなオフシーズンで、万年最下位の球団の中で起こる数々のトラブルやエピソードを描いたストーリー。
プロ野球球団をメインに扱ったお話ですが、野球に馴染みのない方でも全く問題なく楽しめるドラマになっています。もちろん詳しい方は、より楽しんで視聴できると思います。
興味があれば、ぜひぜひ観て頂きたいなあと思ったドラマです。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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ナムグン・ミンさんインスタグラムより

韓国プロ野球リーグの球団ドリームズ。
地元の根強いファンに愛されながらも、ドリームズはリーグ最下位を記録し続けています。球団を運営するフロントスタッフや選手たち自身も「どうせ無理」というムードが蔓延していて、士気は下がる一方。
当然チーム内の"治安”も悪く、選手同士仲が悪かったり、コーチ同士で喧嘩をする始末。負けの原因を他人に押し付けあったり…当然こんなチームで勝てる訳はありません。

そんな時、辞任したGM(ゼネラルマネージャー)の後任として、ドリームズにペク・スンスがやって来ることに。
このスンスですが、野球の知識はなく過去の実績も他スポーツだけ。そんな彼を選手や同僚となるスタッフは歓迎しません。
またスンスが受け入れられないのは、彼の態度にも問題があるかもしれません。スンスは愛想が無く、媚びたり忖度することは全くありません。
良い意味でも悪い意味でも、空気を読まず「すべき事をする」というスタンス。球団内で長年適当にされていた事柄や、わざと見過ごしていた部分にも切り込んでいきます。
ただ、こう説明するとこのスンスさんがよくある(?)冷酷でバリバリ仕事するキレ者優秀”仕事人”キャラと想像されるかもしれませんが、単にそれだけのタイプでもない、というのが面白みのあるところです。

もちろんキレ者で優秀なのですが、GMという立場上、彼の上には球団の社長やオーナー代理も存在し、決してGMだけに決定権があるわけでもありません。つまりスンスも球団会社との間に挟まれ理不尽に耐える必要も。
そのあたりの駆け引きの匙加減や描写、スンスの中での葛藤と”仕事に対する冷めた部分”と新たに生まれつつある”仕事への熱さ”を混在させてあるのが、このキャラクターを一筋縄ではいかない設定になっていて素晴らしいなと思います。
彼がこのようになった経緯としては、彼の過去も関係しています。
ちなみに作品内で語られる彼の過去(弟のストーリー以外)は個人的な感想としては唯一ちょっと凡庸で取って付けたような気がしてしっくり来なかったですが…。

スンスは「チームの弊害になるものは切り捨てる」「ヒューマニストは要らない」との信念に基づき、組織内の常識を覆すような判断をし続けます。
これに反発していた選手やスタッフ達も、彼の裏付けされた根拠やデータ、そして結果を見て次第に、じわじわと組織が一致団結していくことに。
しかし、ここで満を持して敵登場。
オーナー会社ジェソンの常務(オーナーの甥で代理)ギョンミンです。
そもそもスンスを気に入って、野球を知らない彼を敢えて採用したのが彼。思惑が別にあったのでした。
球団を「解散」させることが一番の目的…。会社にとって負債であったドリームズに、いわく付きの男をGMにしてトラブルを勃発させ、理由をつけてさっさと球団を清算させたかったのです。

こうして、vs選手、vsスタッフ、vsオーナーとスンスは数々の”戦い”に静かに挑んでいきます。そして、そんな中で彼自身もどこかで忘れていた、敢えて”避けていた”、仕事や同僚に対する気持ちを取り戻していきます。
この辺りのお話の筋道は当初から想定できますが、まさかドリームズ優勝!で笑顔で終わる単なるサクセスストーリーとしてベタなエンディングではないよね…?と思いましたが、さすがそうではなくオチも良かったです。
最終回と1話がリンクするシーンもしっかりと美しく、完璧でした。

スポーツを扱うドラマにありがちな妙な”熱さ”を、飄々と淡々とクールに主演を演じたナムグン・ミンさんが素晴らしく、この作品の完璧な看板になっていました。私が今更言うことではないですが、上手かったです…。
ひとつひとつのエピソードはドラマチックであったり、荒っぽさがあったりしたのですが、作品が一貫して”低温”さを持っていたので、感情のここぞという時の強弱が効いており、とにかく良かった!
最終回のスンスがセヨンと球場の客席で2人とつとつと語るシーンでの、ナムグン・ミンさんが目を潤ませたシーンがありましたが、ぐっときました。ああいう控えめな感情の表現がものすごく静かで熱く効果的でした。

ということで、視聴後には評判が良いのも完全に納得というクオリティが高いドラマ。こういった作品を観ると、本当にレベルが高いなと痛感させられます。
大変面白かったです、オススメです!

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