ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ イカゲーム (感想)

おすすめ度:63%
456番度:100%
借金度:100%
原題:오징어 게임 全9話

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借金を抱えた者たちが参加する「ゲーム」とは?2021年公開のデスゲーム系ドラマ。

あらすじ・キャスト

多額の借金を背負い、離婚後は愛する娘にも会えず、未だ老いた母親のお金をあてにするギフン(イ・ジョンジェさん)。
そんなある日、駅のホームで謎の男性から勝てば大金を受け取ることができる「ゲーム」の招待状をギフンは受け取る。ギフンは不審に思いながらも、そのゲームに参加することに。
参加者が集まるその場には、幼馴染でエリート街道を歩んでいたはずのサンウ(パク・ヘスさん)の姿もあった。その場の参加者全員の情報は運営側に握られており、お金に困った人ばかりだという事を知らされる。
「生き残れば」大金を受け取れるという、自らの命を懸けたゲームに参加することになるが…。

感想

1話から既視感…というか、大体の筋書きがすぐに読めてしまうタイプの作品でしたが、独特のテイストと魅せ方の上手さがあり、一気に視聴しました。
ただネタ自体がやはり散々『カイジ』などの漫画や、その他映像作品で扱われている「他者を蹴落として生き残るゲーム=デスゲーム」。
このドラマも結局それ以上でもそれ以下でもなく、期待してしまうプラスαの斬新さが最後まで何も用意されてなかったのは、正直かなりガッカリしました。
キレ味鋭い裏切り方をしてくるかな!?と待つように観続けていましたが、最終的には拍子抜けするぐらい無難な着地点だったな…という感想です。

ただ、第1話からコン・ユさんが特別出演(カメオ出演)されていたりと、所々で「おっ?!」と思える驚きを仕込んでいるのは良かったです。
ですが、これはあくまでも出演俳優さんに対する驚きなので、それはまたちょっと"違う"かなとは思います。(もちろん俳優さん達は全員素晴らしいです)

全体的に出血が多いシーンや、残忍・ややグロテスクな描写もあるので、苦手な方は注意された方が良いかもしれません。

個人的にこの作品で最も良いなと思ったのは、セットの作りこみでした!
彼らが参加させられるゲームの舞台セットが割と凝っているのは面白かったです。
そもそもこの作品内の「ゲーム」の招待状の〇△□のマークから、SONY Playstationを私は速攻で連想してしまったのですが、なんとなくプレステ含め各種ゲームのステージ設定/舞台を想定させるポップさや色使いを感じました。
少し前に流行った"Fall Guys"のゲームも、この作品のように参加者から脱落者を出すゲーム内容ですが、建物内の色使いなどが若干似ている気もします。
全体的にこのあたりのカルチャーやネタを上手く取り入れているな、と思った作品でした。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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HoYeon Jung(Chung)(@hoooooyeony)がシェアした投稿

チョン・ホヨンさんインスタグラムより

露天商を営む老いた母親の脛をかじりつつ、多額の借金を抱えているのにギャンブル(競馬)を楽しむクズなギフンさん。
10歳の娘がいますが、今は新しいお父さんと暮らしていて、なかなか会えません。父の冴えない様子を見て、娘に逆に気を使われている始末。
そんなギフンが、ある日駅のホームで謎の男性(コン・ユさん)から声をかけられます。胡散臭いゲームを颯爽としたスーツ姿で誘う男…何故かその男はギフンの個人情報を全て知っているようです。
とにかく「金が必要」なギフンさん、不穏な気持ちもありつつも男から渡された「〇△□」のカードに書かれた番号に電話し、ゲームに参加することに。

車に乗せられたギフン、当然のように眠らされてしまいます。目を覚ました先は巨大な部屋に簡易ベッドが並ぶ場所。ギフンはエントリー番号456を当てられたようです。
ちなみにこの時点で集められた人数は456人!思ったよりかなりの人数です。

そして主な参加者は以下です。
No. 456 ソン・ギフン(イ・ジョンジェさん)
双門洞出身。
運転代行の仕事をしているがギャンブル好きで借金を抱え、病気の母親と同居。
3年前に離婚、養育費も当然払わず10歳の娘ともそれ以来あまり会えていない。

No. 218 チョ・サンウ(パク・ヘスさん)
ギフンと幼馴染。ソウル大学経営学科卒。
魚屋を営む母親の希望のエリート息子だが、実は金銭トラブルを抱えているようだ。

No. 001 老人(オ・ヨンスさん)
参加者の中で最高齢の男性。脳腫瘍がある。

No. 067 カン・セビョク(チョン・ホヨンさん)
北朝鮮出身。幼い弟が施設にいる無口で気が強い女性。
参加者の何名かは彼女の事を金銭問題で既に知っているようだ。

No. 101 ドクス(ホ・ソンテさん)
特徴的な蛇のタトゥーを持つ男性。
非常に怒りっぽく、暴力のみで周囲を支配するタイプ。

No. 240 ジヨン(イ・ユミさん)
鼻ピアスが特徴的な華奢な女性。
飄々としていて投げやりな様子も。何を考えているかわからない。

No. 119 アリ・アブドゥル(Tripati Anupamさん)
33歳のパキスタン人。1歳の息子と妻を持ち、出稼ぎに韓国に来た。

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それぞれが金銭トラブルを抱えた456人…そんなタイミングで、進行係の人々が登場。
ざわ・・・ざわ・・・
福本伸行さん『カイジ』シリーズお馴染み)の如く、文字通りざわつく参加者たち。
"進行者"は招待状のカードと同様、〇や□が顔の部分に描かれたフェイスマスクをし、中の人物は一切不明で、彼らは不必要な会話は一切しないようです。
彼らの階級ですが、□(四角)→△(三角)→〇(丸)の順位となっていて、〇が一番下っ端です。
彼らから参加者に発表された"ルール"と"同意書"の内容は下記です。
・6日間で6つのゲームをする
・全ゲームに勝利した人には巨額の賞金(ゲームが終わる毎に賞金が積み立てられる)
・どんなゲームをするかは教えない
・勝手にゲームを中断できない
・ゲームを拒否したら脱落とみなす
過半数の同意でゲームを中断可能

こうして456人の"ゲーム"が始まります。
この秘密の場所でゲームを運営を任されているのが、<フロントマン>と自称する、真っ黒い仮面をつけた人物…この人は一体…?

第1ゲームは合言葉にもなった「だるまさんがころんだ」なのですが、456人いた参加者がこのステージで何と255人も脱落。
キッチュなステージ雰囲気と呑気なゲーム内容、それが一瞬にして絶望に…という阿鼻叫喚のコントラストを描きたかったと思います。が、あまりに死に過ぎというか、456人も集める意味…と逆に感じてしまい、妙に雑なスタートだなとは感じました。

ただ、このだるまさんがころんだのメインのセンサー内蔵の例の女の子ですが、<フロントマン>の部屋に置いてある、”Fly to the moon"を歌うJAZZシンガーのからくり人形とリンクさせたシーンがあります。「からくり人形」自体が主催者の趣味かな?と察することができ、視聴後に考察するとレトロ味がしっかり隠されていて面白いなと感じました。

この参加者とは別にこのゲームに参加している者がもう1人いました。
それが失踪した兄を追う、トボン署の警察官ファン・ジュノ(ウィ・ハジュンさん)です。彼はこのゲームに"進行者”として潜入に成功していたのでした。
このジュノが内部に入ったことにより、運営側にも狂いが生じることになります。

全6ゲームが開催されますが、参加者はすごい勢いで脱落していきます。
レトロな雰囲気を感じさせるゲームがやや多く、またチームワークを要するものがあると思えば、仲間意識を壊すようなものもあり、参加者は「他人を信用できなく」なっていきます。ただ心理戦などは皆無です。
また、終盤このゲームの目的としてVIPと呼ばれる動物の仮面を被った6人の英語話者たちが、非常に悪趣味な部屋でこの「貧民のゲーム」を賭けと単なる娯楽の対象として彼らの死を笑い楽しんでいることも明らかにされます。資本主義…!
VIP会話から、この種のゲームは世界各地で開催されていて、今回の"大会"が韓国開催だったと察することができます。
このVIPの存在は必要だと思いますが、あまりに彼らの設定とセットが「狂宴・肉欲」丸出しすぎて、2021年にこれはどうかとは個人的に思えましたが…。このドラマで唯一好きではなかった描写です。

最終的にはギフンの性格設定からもわかるように「まあそうなるだろうな」という展開で、この作品は終わります。
「平等」と<フロントマン>が強調した点含め社会自体を縮図のようにして皮肉った作品でもあり、あのゲーム自体が我々のような一般市民をある意味揶揄ったゲームでもあるため、ギフンの奮闘もむなしく終わると想像します。(10年前に自動車会社を解雇になった際のギフンの抵抗や、ギフンが好きだった「競馬」ともリンクしていますが

エンディングを迎えても大して明らかになっていない部分も多いですが、何となく察することができるという雰囲気もありました。
特に進行係の"駒”として働く彼らも参加者とある意味同様に扱われていると思えましたし、彼らもおそらくトラブルを抱えて参加していると想像できます。
こはちょっとスタンフォード監獄実験*Wikipediaのようだな、とは個人的に感じてしまいました。

ということで、面白い点もありましたがストーリー進行やゲーム内容にあまり真新しさを感じず、ドラマとしては全体的にやや期待外れだったかな…と残念に感じてしまいました。しかし、作品を「魅せる」という点と俳優さんの表現はやっぱり本当に上手い!!!そこは素晴らしかったです。
エンディングのカットや全9話という設定、謎を残した点から、シーズン2への余白がある作りですが、デスゲーム系ドラマとしてはあまりこれ以上広がりがないかもしれません。

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