ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ スノードロップ (感想)

おすすめ度:70%
表情度:100%
女子寮度:100%
原題:설강화 / Snowdrop 全16話(Disney+)

スノードロップ 韓国ドラマ感想

一目惚れした相手には秘密があった…2021年放送のヒューマン系ラブストーリー。

あらすじ・キャスト

1987年、女子大生のヨンロ(ジスさん/BLACKPINK)は級友たちと寮で仲良く暮らしていた。ある日ヨンロは合コン相手として出会ったスホ(チョン・ヘインさん)に淡い恋心を抱く。
しかし後日、スホは大怪我を負ってヨンロのいる大学の女子寮へ逃げ込んでくるのだが…。

感想

しっかりしていて悪くないドラマだな…という感想でした。
上から目線のような言い方で大変失礼なのは承知なのですが、色々考慮すると総合的には一言で面白かった、面白くなかったと判断しにくいタイプの作品だったのが正直なところです。
確かなのは、ひとつひとつの(各キャラの)エピソードは本当に良くて、引き込まれる部分が非常に多かった!
出演者も豪華で、さすがの演技だったのも効いていました。
終盤にかけて、ドラマがどんどん良くなっていきます。しかし残念ながら中盤は膠着状態のためテンポが悪いですが、ぜひそこを耐えて観て頂ければとは思います。

とはいえ、作品として一括りに考えると、粗が目立つように思えました。
理由としては”こじんまり”とした会話劇中心になってしまったところが一番です。
シーンのメリハリが皆無で、限られた中で広がりを頑張って付けようしている努力を感じたものの、そのせいでキャラクター達が置かれた深刻な事態から矛盾が生じてツッコミを入れたくなる場面が連発という問題でしょうか。
ただこの作品が背負った色々な理由を考慮すると、しょうがないのかなあ…と察しました。

ご存じの方も多いと思いますが、このドラマは歴史歪曲等でかなり問題になった作品です。
そのような背景を踏まえて、この作品のまとめ方を考えると「やむなし」という部分も感じられました。
ただドラマとしては”気合が入った作品”ということは、俳優陣だけでも一目瞭然だと思います。それだけに相当な期待を背負って制作されたのかなと思うと、(その点だけを考えますと)作品そのものに単純に同情してしまいました。

主演のチョン・ヘインさんですが、今作で求められる繊細な表情の演技が大変素晴らしかったです。魅力的でした。
このドラマは全体的に緊張感が漂うシーンが多く、言葉より表情のニュアンスが強く要求される作品かなと感じますが、目元だけで感情がしっかり伝わってくる演技はさすが。
ジスさんは友達とワイワイするシーンなどは大変可愛らしく自然でしたが、シリアスな場面が多すぎる今作ではちょっと表情のバリエーションが少ないようには思いました。(一素人の意見です、すみません)
個人的に面白いなと思ったキャラは、外科医のカン先生(ユ・インナさん)とブノク(キム・へユンさん)です。この2人はキャラ的にも(演技も良かったです!)クセがあり、キャスティングもハマっていました。
キャラに厚みと一貫性があり、良いなあと思いました。

基本的には女子大生のヨンロと北のスパイであるスホが、恋に落ちるというお話です。
しかしそのスホがヨンロのいる寮に逃げ込んで来たために、寮全体そして国家の問題へと発展するという壮大なもの。ほぼ全てのキャラに思惑があって…という1987年という時代を背景にしたお話。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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チョン・ヘインさんインスタグラムより

お気楽で平凡な女子大生のヨンロ。
厳しい規律のある好秀(ホス)女子寮に住み、それなりに友達と楽しく過ごしていました。夢や希望で楽しい大学生活を過ごしていましたが、一歩外を出るとそこは激動する時代の真っただ中。
激しく変化する社会情勢の中で、彼女らは自分らしく過ごそうと限られた状況で青春を謳歌していたのでした。
ヨンロはある日、合コン相手で人数合わせでやってきたスホに一目惚れしてしまいます。スホはドイツの大学院に通っていたエリート、不思議な雰囲気のある青年です。

そんな2人ですが、とんでもない再会を果たします。
ある夜、ヨンロのいる女子寮にスホが流血しながら逃げ込んできたのでした。そして彼を追ってきた安企部のブラックタイガーことガンムさんたち。
ヨンロはスホは学生運動のせいで取締を受けたのだと思い、咄嗟にスホをかくまいます。彼女には同じように学生運動をして拘束された兄がおり、スホとそんな兄の姿を重ねたのでした。
酷い怪我を負っていたスホにヨンロは傷が癒えるまで、屋上の使われていない小部屋に隠れて滞在することを提案。
ここから2人の関係がスタートすることに。
スパイ(ヨンロはその事は知りませんが)なのに割と堂々と物音を立てるスホさんに、やや疑問を感じつつ、ヨンロはスホのお世話に一生懸命。
スホは大学寮の”オープンハウス”呼ばれる一般開放の日に、人込みに紛れて寮から出るという計画をヨンロと立てます。
無事、寮から脱出できたスホでしたが、物事はそう簡単に進みません。

スホの存在とスホを追っている安企部の存在…2つの点を結びつける線を発見した者たちが次々と出てきます。
そしてスホは再び追われることになり、なんとあの女子寮に再びスホは逃げ込んできます。何故人々はこの寮に惹きつけられてしまうのか…。
しかもその寮で安企部とスホたちは普通に銃撃戦を開始。とんでもねえ状況です。
しかし今回はあの爽やか青年としての姿ではなく、スパイとしてのスホ。
そして何とヨンロは人質にされてしまいます。彼の本当の姿を知り、ヨンロさん大ショック。
スパイ側は何と3人という少人数でありながら、64人の学生や職員を人質に寮を制圧。
ここから実に長い”立てこもり”が始まります。

この5話-16話までの立てこもり内でのストーリーは、実際視聴して下さいとしか言えない展開です。主に、
スパイチームvs上級3馬鹿チームvs安企部婚約者チームvs寮チームvs特別枠ヨンロ
というチーム編成でおおまかに分類され、各チーム内で仲間割れやチーム対立が細かく描かれます。
またキャラの背景や秘密、彼らの思惑が次第に明らかに…。

snowdrop drama review

人狼ゲームin女子寮
スパイというテーマや時代背景もあってか、キャラ全員にほぼ漏れなく裏切り者が存在するため、舞台となる女子寮では壮大な人狼ゲーム状態に。
また学内の至る箇所に取り付けられた盗聴器や、一体何台あるか全く不明なトランシーバー。
これらを使っての外部との情報戦や取引もあり、一体誰を信じて良いのか人々は常に疑心暗鬼。なかなかの心理戦が開催されます。
ただこの人狼ゲームが数ラウンド発生するため、”ハズレ回”もあります。ここが評価の別れる点というか、結局「話に動き無し」=つまらない、という図式になってしまう箇所かなと思います。

ゆるすぎる警備
スパイチームが制圧した寮。
敵対する安企部のイ・ガンムを最も危険視するべきなのは明らか。なんせ彼を追って寮で銃をぶっぱなしたのはこの男性です。
しかしスパイの組長であるスホは、ガンムを柱にひもで縛りつけるだけという、かなり寛容な対処。これには本当に正直ありえないと思いました。
一方で自分を疑う仲間に容赦なく発砲したりと、スホさんの判断基準にやや困惑。
洒落にならないレベルのスパイ話の今作、さすがに茶番感がひどい。
とはいえ、ガンムとスホとの関係性も中盤以降大きなポイントになるため、しょうがないのかもしれませんが、もう少し違う方法はなかったのかなと思います。
またスパイ側がたった3名体制という少人数で、一方人質は60名以上の大学生以上の男女。
広い寮内でスパイ側は相当頻繁に席を外し、彼らの目をかいくぐるのはかなり容易そうでしたので、64人が一致団結すると逆転できそうな気もしました。
加えてヨンロやブノクだけフリーダムに行動し過ぎなのも気になりましたが、このあたりを指摘するのは野暮なのかもしれません。
が、寮での会話シーンが殆どの今作、どうしてもそのような点に目が行ってしまう訳です。

ヨンロとスホ
このドラマの主軸は、一応この2人の命を懸けた壮大なラブストーリー。
個人的に不満だったのがヨンロとスホの感情の積み重ねについてです。自らを投げ打ってまで愛した相手という設定ですが、序盤にもう少し”普通で平和”な2人のエピソードが存在しても良かったのではないかと素人ながらに思いました。
スホが傷を負って寮へ逃げ込んだ間に2人は仲良くなって…とは理解できますが、エピソードとしてはどれも乏しく思え、いつの間にこんなに深く想い合っているのかとやや微妙な気持ちになりはしました。(ただここも、エンディングのスホのセリフを引き立てる点となるので難しいところですが…)
国家を背負った厳しい立場ながらもスホは完全にヨンロ命で動いており、仲間内でも問題視される場面が散見されましたが、ここまでヨンロに肩入れする説得性がもう少し欲しかったかな…。

捨て駒
このドラマ内で一貫したテーマの1つが、命を懸けて行動している人々の哀しみでした。
命令や思惑で一生懸命前線で戦っている者がいる一方、実は上の人間なんて大義なぞなく、単に私利私欲や権力に溺れた爺達。そんな爺の単なる捨て駒の1つであるという虚しさ。
それに気付き、気付いてもなおすがりつくしかない立場など、「一体何のために戦っているのか」「得たものは何なのか」という根本的な疑問を己に問うという、哀れさ。
立場に関係なく、彼ら全員の中でそのような”気付き”の描写があったのが救いだったのかなと思いました。

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物語開始からエンディングはどう考えてもBAD ENDしか存在しないという内容ですが、やはり悲劇で幕を閉じることになります。
終盤、スホがヨンロの命をガンムに託したシーンはグッときました。スホは前進しても後退しても結局未来がない人生を選んでしまった、選ぶしかなかった"末路”の悲しさ…。
他にも自分が捨てられたと悟った時の表情など、気持ちの動きがポイントとなるシーンでのヘインさんの表情にとにかく魅せられました。
ということで、ストーリーも重厚感があり面白くはありましたが、やはり場面転換の少なさや物語の広がりの無さが原因で、間延び感がありました。
ですが見応えも大変あって、個人的には結構印象に残ったドラマとなりました。
チョン・ヘインさんですが、D.P.でもしびれましたが、こういうタイプの役柄が合うなと思った次第です。気になった方は是非ご覧頂ければと思います。

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