ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国映画 シークレット・ジョブ (感想)

おすすめ度:60%
奇策度:100%
着ぐるみ度:100%
原題:해치지않아 117分

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廃園寸前の動物園を立て直すために、男が取った奇策とは?2020年公開のコメディ作品。

あらすじ・キャスト

赤字で動物もほどんといなくなってしまった状態の動物園の園長に、ある日突然任命された弁護士修習生のテス(アン・ジェホンさん)。
動物園に残った職員は創立当時からの園長(パク・ヨンギュさん)、獣医(カン・ソラさん)、飼育係キム(キム・ソンオさん)、そしてヘギョン(チョン・ヨビンさん)のたったの4名のみ。
何とかしてお客を入れようと、とんでもない計画を思いつくテスだったが…。

感想

面白くない…という訳ではないですが、コメディ作品の割りに切れ味が非常に悪く思えました。
シュールさに寄せるのかと思いきや意外とそうでもなく、妙にぼんやりとした作品だなあと感じてしまいました。笑えるシーンと情に訴えるシーンの落差が少なく、全体的にメリハリ不足だったような…。
イデアは面白いなと思ったのですが、それだけのアイデア一発勝負!な部分が強く、
根本的に雑なまま最後まで押したストーリーにも思えてしまいました。

最も雑だな…と正直ガッカリしたのは、来園者が動物(中身は人間ですが、前提として生きた動物)に向かって物を投げるシーンの多さです。
そのようなことは禁止されているはずですし、恐らく実際する人はいないと想像します。
ですが、ストーリーの肝となる部分と整合性を取る上で、あのようなシーンを入れざる得なかったのだろうなと考えられます。そこが(描写が時代と合っていなくて)他にエピソードを繋げる手法がなかったのかな?と、かなり残念に感じました。
加えて技術的な雑な点は、CG丸出しすぎるシロクマです。
動ぎもリピートのような部分も多くて、視聴していて少々さみしいような微妙な気持ちになりました。

と、ややネガティブ寄りな感想になってしまいましたが、出演されている豪華な俳優陣の細かな演技や、ユーモラスさは独特で大変楽しめました!

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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アン・ジェホンさんインスタグラムより

JHグループの弁護団の1人として働いているテス。しかし彼はまだ正式な弁護士ではありません。
そのため、同期で既にグループ内で弁護士として働いている友人を、普段は無意識に避けているテスさんです。

そんな時、テスはある仕事をトップから命令されます。
M&Aで買収した、大赤字の動物園を3か月で来場者を増やして再生させることー。これが成功すれば、テスは晴れてJHグループで弁護士の正式なポジションを与えられるということです。もちろん、やったことはない仕事ですが、やるしかないテスさん…。
こうしてテスは新・園長として、代表から餞別のように贈られた真っ赤なメルセデスベンツのオープンカーで颯爽と「ドンサンパーク動物園」に乗り付けます。(「動物園の園長なら外車ぐらい乗らないと」というセリフは面白かったです)

テスは気分も新たに意気揚々とやって来たドンサンパークですが、園内はなぜか閑散としています。
動物たちが明るくテスを迎えてくれるかと思いきや、肝心のメインとなる動物たちは資金不足のためほぼ売り払われていたのでした。
到着したテスは職員たち4人に「経営のプロです」「CEOです」とやや偉そうにふるまうものの、彼らのテンションは諦めムードで低いまま。
手放した動物たちは、世界的な取り決めもあり(ワシントン条約等)二度と戻ってきません。
テスの「動物園を復活させる」という目標も、速攻で暗礁に乗り上げてしまいそうです。

そんな八方塞がりだと思えた時、とんでもねえ奇策をぶち上げてきたのがテスさんでした。さすが新園長です。
この残った職員4人が動物の"着ぐるみ"で、動物になりきるという案…。
視聴者含め全員が「・・・。」となったものの、選択肢は他にありません。なりふり構ってられない状況に一同は、とりあえず「やるしかない」としぶしぶ同意。
こうして、この無謀でトンチンカンな計画が進んでいきます。

個人的にこの作品で最も面白く思えたのが、着ぐるみ制作を請け負う職人(キム・ギチョンさん)とテス(アン・ジェホンさん)との間の抜けた、テンポが絶妙な掛け合いでした。
リアルな着ぐるみを作るのに自信アリおじさん、恐竜やキリンをやたら勧めてくるのも謎でしたが、一気にゴリラ、シロクマ、ナマケモノ、ライオンを短期間で制作することに合意。追加でその後、キリンも発注しますが…。

怪しかった職人ですが、とりあえず着ぐるみ4体は仕上がっていました、安心しました。
各々が着ぐるみの中に入り、頑張って動物になりきろうとする必死な職員たち。しかしそう簡単には来場者数は伸びません。
ですが、テスが起こしてしまったあるトラブルがきっかけとなり、このドンサンパークに人が押し寄せる事態に…。

と、ポイントとしては着ぐるみ丸出し、サイズ感が完全に謎の動物なりきって来園者の目を誤魔化すというオモシロ設定。ここは完全にコントのような流れで、ユニークで良いなと思いました!
着ぐるみ調達の際の、職人との妙なやりとりも面白かったです。
ですが、これ以降のストーリー展開が、なんと山場となる"シロクマ"のネタ1本中心になっていました。というか、シロクマネタありき。
個人的にはこのネタが、上述した動物の扱いなどであまり面白いと感じなかったので、
このネタのみが、この作品のピークか…と少し残念に思えました。

またこの山場以降は、テスの身の振り方含めて妙にシリアス系の路線になってしまい、作品のテンションとテンポが抑え気味のまま、何とエンディングへ。これにも少し拍子抜けしてしまいました。
もうすこしコメディに強く振るか、緩急をつけて最後までバカバカしく描いて欲しかったかな…と思った映画でした。
イデアは奇抜で「ありえない」部分が楽しそうで面白そうだったのに、もうすこしその長所としての"くだらなさ"を思いっきり活かして欲しかったかな、と面白い部分も色々とあって勿体なく感じつつ、ちょっと期待はずれに終わった映画でした。

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