ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ Mine マイン (感想)

 おすすめ度:90%
女性たち度:100%
りんご度:100%
原題:마인 全16話

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完璧な財閥一家に立った波風はやがて悲劇に…?2021年放送のミステリー/ヒューマンドラマ。

あらすじ

国内有数のヒョウォン財閥。すべてが完璧に思われた一家の生活だったが、内情は決してそうではなかった。
次男の御曹司のため家庭教師の女性を迎え入れた日から、彼らの"崩壊”は始まっていた…。女性たちが見つけた、本当の幸せとは。

感想

はちゃめちゃに面白かったです!
飽きさせないお話の展開が素晴らしく、すぐに続きが観たい!と1週間待てない!と何度も思ったドラマでした。
中盤までは女性同士の戦いが中心。中盤以降は女性たちが、それぞれの「マイン(私のもの)」のために「気付き」「脱却」するという、女性の強さとしたたかさを見事に描いてありました。
単なるドロドロとした財閥の愛憎劇かと思っていたのですが、途中から「女性の強さ」をテーマにしていることに気付き、俄然面白くなりました。
セレブ一家が舞台なので、衣装もとにかく豪華で、その部分も大変楽しめました!

華麗なるヒョウォン一族
会長:ハン・ソクチョル(チョン・ドンファンさん)
ヒョウォングループの創業者。妻がいながら愛人ミジャを長年愛していた。
都合が悪くなると、目を閉じて黙ってしまう。

会長妻:ヤン・スネ(パク・ウォンスクさん
傲慢でうるさい。花札ゲームのアプリが好き。
夫であり会長のソクチョルとは愛なき夫婦。夫の愛人ミジャのことを恨んでいる。
会長との間には、長男ジノと長女ジニ、2人の子を産んでいる。

長男/専務:ハン・ジノ(パク・ヒョックオンさん)
クラッチの宝くじとお酒が趣味。
バツイチで元妻とは、息子(スヒョク)を持った10年後に離婚。その後ソヒョンと再婚するが冷めた夫婦仲。
仕事もやる気がなく、お調子者でフラフラした性格。過去にアルコールでトラブルになっている。
弟ジヨンへの父の態度が自分とは異なり、幼少期から不満だった。

長男ジノの妻:ソヒョン(キム・ソヒョンさん)
美術に精通し、美術館の運営や買い付けも行っている。
常に冷静沈着で、感情を全く表に出さない。
ジノが元妻と別れた後、再婚するが夫婦の間には愛情がない。息子スヒョクは夫の連れ子で、血の繋がりはない。

ジノとソヒョンの息子:ハン・スヒョク(チャ・ハギョン/VIXX エンさん)
26歳。ジノと元妻との子。10歳の頃に離婚のため実母とはと別離。
財閥の"孫”として大切に育てられたものの、自由がないと感じている。

長女:ジニ(キム・ヘファさん)
ジノの妹、ジヨンの義理姉。ベーカリー部門会社の社長。
ヒステリー気味ですぐに激怒し、物を投げたり攻撃的な性格。
夫からは離婚したいと懇願されてているが、拒否。英語が堪能。

次男/常務:ハン・ジヨン(イ・ヒョヌクさん)
会長ソクチョルと愛人ミジャの子。
婚外子として、家族の中ではやや静かな存在。そのため、妻のヒスからはもう少し野心を持って欲しいと言われる。
ジヨンと死亡した女性との間の子、ハジュンをヒスとの子として大切に育てている。

ジヨンの妻:ソ・ヒス(イ・ボヨンさん)
元女優。ジヨンとは結婚6年目。
夫ジヨンとの間にハジュン(8歳)がいる。ヒスが産んだ子ではないが、誰よりもハジュンを愛している。
天真爛漫な性格ながらも、周囲をよく見極めている。

ヒョウォン財閥に関係する人々

家庭教師カン・ジャギョン(オク・ジャヨンさん)
財閥イヨン家の紹介でやって来て、ソヒョンが雇用した家庭教師。
次男ジヨンとヒスの子、ハジュンを担当することになるが、謎が多い。

シスター・エマ(イ・スジョンさん)
一族のことを良く知る修道女。
ヒス含めて、一家のカウンセラーの役割も担っている。
聖書の勉強会やシングルマザー支援団体の運営も行う。

キム・ユヨン(チョン・イソさん)
27歳、メイド
父親の借金の取り立てで、修道院関係の保育士の仕事を辞めた。その後ヒスの紹介で一家のメイドの職を得る。お坊ちゃんのスヒョクと仲良くなる。

ソンテ(イ・ジュンオクさん)
お屋敷の唯一の男性執事だが、気が弱めの男性。
一家の人々から、色々と面倒な頼み事をされがち。

ネタバレありの感想

キム・ソヒョンさんインスタグラムより

次男であり常務ジヨンと元女優の夫婦の子、ハジュンの家庭教師として、カン・ジャギョンがやって来ます。
上流階級の一家。ここに大きな波風が立ち始めます。

家庭教師ジャギョンvs母親ヒス
当初から意味深な行動をしていたジャギョン…。ヒスはそんな彼女を不審に思います。ハジュンに異常に執着しているようで、ヒスは彼女の態度が気に入りません。
注意したヒスに、ジャギョンは興奮して「いくら努力しても母親にはなれない!」と口走った時、ヒスは何かを感じ取ります。 

お坊ちゃんスヒョクとメイドのユヨン
歳も近い2人…とある事から、2人の部屋を"取り替えよう"とスヒョクから提案があります。お互いのベッドの方が夜良く眠れる、との理由です。次第に仲良くなる2人ですが、もちろんそれは禁じられた関係。
加えて、スヒョクには親に決められていた婚約者が存在しました。
2人の関係が家族にバレてしまい、怒りを買ったユヨンは問答無用でお屋敷から追い出されてしまいます。しかしスヒョクは、ユヨンに真剣な恋愛感情を抱いていました。

家庭教師ジャギョンvs次男ジヨン
ヒスがジャギョンの正体を探るなか、ジャギョンはジヨンと結託します。
なぜなら、ジャギョンこそがハジュンの産みの親=イ・ヘジンだったのでした。
ジャギョンは「自分のものを取り戻す!」と宣言。
子供(ハジュン)、男(ジヨン)、ヘジンという名の自分...ヒスから全て奪ってやると決意。
しかし、ジヨンはジャギョンを単なる駒としか考えていないようです。

長男ジノの妻チョン・ソヒョンの秘密
いつも冷静なソヒョンには隠していた事実がありました。
彼女は同性愛者。アーティストのチェ・スジへの秘めた熱い想いを2人は常に抱いていましたが、もちろん誰にも明かす事はできませんでした。

シスター・エマの謎
エマがよく持っている茶色の革鞄はエルメス。また、彼女が住む修道院の棚には高級そうなバッグが数点…。彼女は一体何者でしょうか?
シスター・エマは元々ソルファという名。昔はジヨンの母ミジャと共に妓生として働いていたのでした。
そこに客として来たソクチョル(会長)に恋に落ちたのはソルファ(エマ)。ですが、
会長はミジャに夢中。嫉妬から、彼女はミジャは他の男性との子を妊娠しているとソクチョルに告げた過去を持つ。
また、お屋敷のほぼ全ての人々の「悩み」を知っている人物でもあります。

このように、特に前半は完璧に振る舞っていた人々の別の面が明らかになっています。
お互いが権力争いのため牽制し合ったり、腹の探り合いでドロドロとした面が描かれていて、引き付けられる前半でした。
しかし、中盤から新たな局面へストーリーは続いていきます。

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ジヨンの妻ヒスが妊娠します。
待望の我が子、と喜ぶソヒでしたが、家庭教師ジャギョンと夫への疑惑で、かなりのストレスに晒されるヒス。
そして、やたらリンゴ(紅玉)を欲するソヒ…。
ソヒが妊娠をきっかけにリンゴをかじるシーンが何度か入りますが、これは完全なメタファーだと思われます。
リンゴ=善悪の知識を得る知恵の木の実  *参照:知恵の樹/Wikipedia
このリンゴを食べてから、ヒスは夫ジヨンに対し盲目的な愛は捨て、次第に息子ハジュン、ヒョウォン一家、周囲の者たち、そして自分自身を見つめ直し始めます。このリンゴを使った描写は個人的に大変しびれました。

その後、残念ながらヒスは流産してしまいますが、その場に居合わせたのが、女性4人だったというのも象徴的だと感じました。ヒス、ソヒョン、ジャギョンそしてユヨン。
ヒスの悲痛な状況と置かれた立場をそこで自分の事のように感じ取り、認識を新たにしたのがこの4人。
皮肉にもこのヒスの悲劇を目の当たりにして、自分たちを「閉じ込めているもの」とは一体何か?を理解したのではないでしょうか。
この後から、この一家に関係する女性たちの動きが180度変わっていきます。
彼女たちは"同士""戦友"となっていき目先の敵ではなく、「真に憎むべき者は誰か」という点を痛感し、考え動き出します。

また、序盤から短いカットで「誰かが死んでいる」というシーンが挟まれていましたが、亡くなっていた人物が問題のジヨンだったと判明。ヒョウォン一家を乱していた「共通の敵」が死んでいたのでした。
医師の診断では怪しいところはないということでしたが、刑事はシスター・エマの証言から一家の誰かがジヨンを殺害したのでは、と疑います。
ジヨンの事件後から、ヒスは"記憶喪失"になっており、事件現場にジヨンと共に倒れていたにも関わらず一切何も覚えていない様子。
一家やメイドたち…全員が真相を追って、お互い疑心暗鬼に。刑事もしつこく追います。
誰が誰を"何のために"守っているのか?、謎が深まるヒョウォンのお屋敷です。

ただ、終盤に入ってからは殺人事件に焦点を当てすぎて、単なる「犯人捜し」色が強くなりすぎていたのが、個人的には少々残念に思えました。
事件X日前~というミスリードを狙った、細かい疑惑のカットが頻繁に続く展開…もちろん面白かったです。
ですが、ドラマが佳境に入るに従ってもう少しヒスやソヒョン、ヘジン、シスター・エマの考え方の変化や、その時々の内面を深く知りたかったかな、と私は感じました。とにかくこのドラマ、女性キャラが大変魅力的だったので…。

最終回ではやっと、全てのネタバレと事件の背景・犯人が明らかになります。
上手く絡まった糸が解けたような、自分たちを閉じ込めていた壁を取り払ったような、スッキリしたヒスとソヒョン含め"女性たち"の表情が、強く印象に残ったエンディングでした。若干、何もかも上手くまとめ過ぎたかな…という気はしましたが。

「自分を守れるのは自分だけ」、それを思い出したヒス、事件現場から強い足取りで踏み出したシーンがとても良かった!
また、ヒスとソヒョンの「全てを超越した特別な関係」を感じさせるアイコンタクトの描写なども、意味深さもあり素敵な演出だと思いました。

ということで、最終話の会長爺の「まっさらな気持ちで始めよう」というセリフには、それあなたが言う?的な興ざめな気持ちになりましたが、総合的には賢く強い女性のドラマで大変楽しく視聴させて頂きました。
とても面白かった!!

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