ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ ロースクール (感想)

おすすめ度:80%
模擬裁判という舞台度:100%
スタディ度:100%
原題:로스쿨 全16話

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名門ロースクール内で起こった殺人事件、犯人は一体誰なのか?2021年の法廷ドラマ。

あらすじ・キャスト

韓国大学ロースクールに通うスタディと呼ばれる仲の良いグループ学生、ソルA(リュ・ヘヨンさん)、ジュニ(キム・ボムさん)、ソルB(イ・スギョンさん)、ジホ(イ・デビッドさん)、イェスル(コ・ユンジョンさん)。
刑法を担当する教授であり元検事のヤン(キム・ミョンミンさん)が、模擬裁判の最中、生徒たちの目の前で殺人容疑で逮捕されるという、衝撃的な事件が起こる。
名門ロースクール内で発生した殺人事件、生徒やヤン教授らは真相を明らかにすべく動き始めるが、それは各自が隠していた秘密が明らかになることでもあった…。

感想

かなり面白かったです!!
名門大学のロースクール内で、発生した殺人事件。その犯人を巡って、疑惑の目が教員や学生たちに向かい…と始まるストーリー。

ヤン教授と彼の授業を受けている学生たち(スタディ仲間)にも容疑をかけられます。彼らが抱えている闇、そして家族関係などがまさにパズルのピースが集まるように、次々に明らかにされていく展開のお話です。
そのため続きが気になってしょうがない!というタイプのドラマで、毎週大変楽しみに視聴しました。
各キャラクター達の秘密ですが、それは他人には隠しておきたかった部分。
特に普段はクールに振る舞い、己の司法試験突破を目指す学生たちでしたが、事件が解明されるに従って違った一面を見せてくれます。

お話の流れとして、どうしてもスリードを狙った展開や描写になっているので、その点が思わせぶりで、ネガティブに感じられた方も多いかもしれません。
ただ、それこそが、このドラマの大きな特徴でもあり面白さであるのは間違いないと思います。長所であり短所を持つ、やや尖った硬派さを持ち合わせた作品です。

法廷ものですが、ロースクールが舞台のためか「例で説明してくれる」セリフも多く、
その点はわかりやすくて、面白味をとても感じました。
ただ法律解説が頻繁に入るため、字幕が非常に多くなっています。人物に被せないよう字幕が右に左に度々移動するので、目線がいつもの画面下方の会話字幕の箇所だけでなく、上下左右と見る必要があり、字幕が拾いきれない時もあり忙しく感じました。(この点は勿論しょうがないですが…)

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名門韓国大学ロースクールの主なメンバー
ヤン・ジョンフン役キム・ミョンミンさん
刑法学教授、元検事。
パワハラ上等の容赦ない授業を行い、学生たちに恐れられている。
ソクラテス式問答法をもじって、ヤンクラテスと呼ばれている。

カン・ソルA役リュ・ヘヨンさん
学内ID "粘るが勝ち"

「法に謝らせたい」という意思を持って、ロースクールには特別選考枠として合格。
経済状況は悪く、とある事件で過去に少年院に送られた経験を持つ。双子の姉カン・ダンがいるが、音信不通。
成績はあまり良くないが、明るく熱意をもって勉強している。ソルBと寮は同室

ハン・ジュニ役キム・ボムさん
学内ID zerosur
警察大学出身(ただし2年で中退)。
司法試験2次合格者として、スクール内では優秀者として有名。
主席入学し、学業も常にトップクラス。冷静沈着な性格で、ジホと寮は同室。

カン・ソルB役イ・スギョンさん
学内ID AnotB
法律一家の裕福な家庭で育った、優等生。
どこか冷めた性格。ソルBと寮が同室。

チョン・イェスル役コ・ユンジョンさん
学内ID ssSeul
"旦那様"というスマホ登録名の彼氏がいる。
とても可愛く男子学生から人気。ソルAと仲が良い。

ユ・スンジェ役ヒョヌさん
学内ID "再出発"
産婦人科医だったが、ロースクールに入学。
優しい部分も持つ。産婦人科医の妻がいる。

ソ・ジホ役イ・デビッドさん
学内ID FEWGOODMEN
メガネをかけたクールな学生。
とにかく試験に合格し、大手法律事務所に入りたいと思っている。
友達のことより勉強優先。

ゆるいネタバレありの感想

リュ・ヘヨンさんインスタグラムより

韓国大学、名門ロースクール。有名な模擬法廷が存在しますが、その寄付者はソ・ビョンジュ。
このスクールの教授であり、元検事長、弁護士という肩書を持つ男性です。しかし、彼の過去には疑惑の収賄事件があったり、教授の立場も寄付が強力に関係した不自然なものという憶測が流れるような、いわゆる”いわくつき”の男性でした。

このビョンジュが、学生の授業の一環の模擬裁判中の休憩時間に突然亡くなります。
誰が一体ビョンジュを殺したのか?という疑問ですが、蓋を開けると実に様々な人がビョンジュと直接的・間接的に関係していました。

ソ・ビョンジュとの関係性:
コ・ヒョンス議員
次期大統領候補者。
土地をビョンジュに"譲った"ことが、後の収賄事件に繋がっている。

教授ヤン・ジョンフン
ジョンフンとビョンジュは問題の収賄事件をめぐる裁判で、ヤンは検事を辞めた過去が。ひき逃げ事件とビョンジュの関係性を探っていたのもジョンフン。

元受刑者イ・マノ
性犯罪者のマノ、ビョンジュのひき逃げ事件の目撃者でしたが、検事長ビョンジュと取引し、出所後には運転手として雇われていた。

 ハン・ジュニ
周囲には秘密でしたが、ビョンジュはジュニにとって叔父。また叔父の莫大な遺産相続を巡ってもジュニに疑いの目が。
叔父のひき逃げ事件の鍵となる映像を手に入れたのもジュニ。

カン・ソルB
中学生の頃、ビンジュの論文を盗用していた過去を持つ。
ロースクール副院長である父、母もそれを知っていた。
ビンジュだけでなく、ジョンフンにも論文盗用を実は知られていたソルB。

ソ・ジホ
おもちゃ会社を経営していたジホの父、ビョンジュが検事だった時に未確定情報をながされたため(デマ)自殺をしたという辛い過去が。

イェスル
ジョンフンに不利に働くよう、彼氏(コ・ヒョンス議員の息子)に指示され嘘の証言をする。しかし、直後に彼氏から脅されていたと証言。

ユ・スンジェ
ジョンフン教授のアリバイを証言するが、教授のPCに不正侵入し、試験問題を盗んでいたことが判明する。

本当に数々の人々がこの事件の背景に絡んでいました。
各自の有利・不利の状況で、この「秘密」が次第に明かされ、事件の解明に繋がっていきます。
時に非常にドラマチックに描写される手法が、非常に面白かったです。

個人的に最もグッと来たのが、第12話イェスルの裁判のエピソードです。
彼女がコ・ヒョンス議員の息子と交際し、卑劣な手法で動画をチラつかせて脅されます。阻止しようとした彼女が、彼に”暴行"を加えてしまった事件。

その裁判の際、相手が権力者コ議員の息子ということもあり、彼女は大変なプレッシャーをかけられます。心労とパニックで押しつぶされそうになっていたイェスル。
一度は戦意喪失したイェスルを、ヤン教授が法廷を授業に見立てて、イェスルの気持ちを呼び戻し、奮い立たせて再び"戦わせる”というシーン。

ここは第1話での、ヤン先生のパワハラ気味の厳しい授業風景と完璧に繋がっていて、ビックリすると共に感動しました。
やっと冒頭の講義シーンの意図が理解できるというか、あのシーンがあってのイェスルの裁判、という素晴らしい対比シーンになっていて、非常に痺れました!
また、同時にヤン先生の華麗な"ステージ"にもなっており、個人的に最高に盛り上がった12話でした。かっこよかった!

スクールの先生や学生を演じる俳優さんたちも、声のトーンなども落ち着いた人選で、かつ秘めた個性があって、ドラマの雰囲気にとっても合っていて素晴らしかったです。大学生ではなくロースクールという設定上、キャラ年齢をあまり一定の年齢層に合わせる必要がなかったのも、良かったのかもしれません。

ヤン・ジョンフン教授役のキム・ミョンミンさんは、眼光の鋭さ含め、何を考えているかわからないけれど、妙な説得力のある力強さを秘めた雰囲気がこの役に合っていました!渋かったです。

終盤に入りこのソ・ビンジュ殺害の背景には、コ議員がいたことが判明。
しかし、彼を追い詰めるのはそう簡単ではありません。権力者なだけあり、"支援者"は大勢います。最終回の16話になっても、ヤン教授らが「どんな手」を使うのか、なかなか読めませんでした…(上手い)

最終的にこのコ議員の公判ですが、ソルの模擬裁判大会と同日。加えてソルAと双子のダン(エリカ・シン)の登場など、「ダブル」のギミックがドラマチックに使われてかっこよかったです!

ソルとダンの短い電話での会話で「良い弁護士になれる」とソルに伝えたシーン、そしてヤン教授がソルAに「頑張ったな」と声をかけるシーン。
どちらも短い言葉ながら、重みがあって視聴していて胸に来ました。
特に最終回ではスタディ仲間内の友情を映す部分が多く、最終回なんだなと痛感し、しんみりしてしまいました。

数年後…ソルAは無事に弁護士に、ジュニは検事の道へ進んでいる姿が!
2人共に学生の頃とは違って自信のある姿で素敵でした。
このドラマ内では、仲間内の恋愛は一切ハッキリとは描かれていませんが、何となくこのジュニとソルAはお互い意識し合っている点が何度も描写されます。(特に16話では露骨でした)
エンディングもこの2人がヤン教授と共に闊歩するシーン…かっこよかった!!何となくこの"2人の未来"も予見させるもので、個人的に満足しました。

このドラマで気になった点として、シーンのテンポは大変素晴らしくて、流れはとっても面白い。ですが、この細切れのミスリードを狙ったシーンと、次々と与えられる情報のせいで、視聴していて1人のキャラに焦点を当てて推察するような猶予や余白の時間が持ちにくい...という、ある意味で欠点があるかなと思います。
観ていてやや忙しさを感じるドラマという印象は確かで、その点は面白さを感じる一方逆に少し疲れるような、諸刃の剣的な複雑な気にもさせられました。(わがままですが)

ただ、上述しましたが、このように長所と短所の両者を誤魔化さずに全面に出す、というスタイルを貫いていて、ある種の美学を感じる、非常にかっこよかった作品です。 

 ヤン教授が、よくパズルのピースを持って考え事をするシーンがありましたが、まさに見事に綺麗にハマって終わりました。
全16話で、最後1枚の絵になるまで常に興味を引き付けるお話になっていて、とても面白く視聴しました!

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