ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ 十八の瞬間 (感想)

おすすめ度:89%
18歳なんだから度:100%
ほぼノーメイク度:100%
原題:열여덟의 순간/18の瞬間(全20話/Amazon Prime版)

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18歳の俺…転校先でもトラブル続きの男子高校生を巡る、2019年の青春学園ドラマ。

あらすじ・キャスト

校内暴力が理由で、強制転校の学生としてジュヌ(オン・ソンウさん)は、スビン(キム・ヒャンギさん)やフィヨン(シン・スンホさん)、オジェ(ムンビンさん/ASTRO)のいるクラスへ転入して来ることに。
クラスにも馴染まず問題児として扱われるジュヌだったが、教師(カン・ギヨンさん)の助けやスビンとの初恋を経て、次第に自分自身の生き方を見つけはじめる。

感想

想像以上に良かったです!
瑞々しさや18歳(日本だと17歳でしょうか)という、大人でも子供でもない微妙な年齢を象徴するような繊細な描写が多くて、割とグッとくる部分も多かった!
ストーリーとしては特にヒネリもなく学園モノによくある、友人関係のもめ事、受験、家族問題…のみで構成されたエピソードでしたが、描写が丁寧で視聴していて全く飽きませんでした。

序盤でジュヌが語る「この瞬間、18歳の俺」というシーンがありますが、このテーマこそが作品の肝であり、この若く美しい揺れる年頃の"ある期間"を切り取った作品として観るのがポイントかな、と感じました。
やや言葉足らずのようなエンディングかな、と若干思えましたが、視聴後にオープニングのこのシーンを考えると上手いな…と思えました。

個人的にこの作品で大変気に入ったのが、カメラワークでした。
ジュヌが新しい街に引っ越して来て…という、冒頭から車の中から街を見るシーンや自転車通学の彼が街を走り抜けるシーンは、思った以上に詩的な雰囲気もあり、とても良いなと1話目からかなり引き付けられました。

それと、この作品も配役がどいつもこいつも本当にピッタリでした!!
主人公ジュヌを演じるオン・ソンウさんですが、影のある孤独感がある役がものすごく似合っていて、素晴らしかったです。
演技は少しだけ硬い時もありましたが、役柄にとにかく本当に合っていて、キャスティングした人天才か?と思いました。(ご本人ももちろん素敵な方です!)
Wanna Oneとして活動されていたとのことで、途中の"見せ場"シーンと耳のピアスの深めの穴で、もしや…?と気付きました。(無知ですみません)

個人的に好きなキム・ヒャンギさんですが、今回も安定の可愛さで良かったです。
ヒャンギさん、小柄なのもあって相手役の男性と身長差が出やすい女優さんで、そこでいつも彼女の溌剌した感じや、可愛さが爆発していて良かったです。
それとスビンの母親役が、本当に好きな女優さんのキム・ソニョンさんで、やっぱり最高でした!
オジェ役のムンビンさん、サンフン役のキム・ドワンさん、フィヨンを演じたシン・スンホさん(A-Teen、ラブアラームに加えて、再び18歳役ですね)そしてオ先生のカン・ギヨンさんも本当に本当に適役で素晴らしかったです。

チェ・ジュヌ役オン・ソンウさん
校内暴力により強制転校生としてやって来る。
家庭事情により、1人でソウルで暮らしていて、愛用の自転車をバンビと呼ぶ。
無口であまり感情を表に出さないが、意思は強く真面目。
絵を描くのが好き。
コンビニでアルバイトを始めるが、そこでの名前はパク・ヨンベ。

ユ・スビン役キム・ヒャンギさん
フィヨンとは幼馴染。クラスでは学習委員で几帳面な性格。
ソウル大卒の母の監視下の元、母と同じ大学に入るべく厳しく育てられている。

マ・フィヨン役シン・スンホさん
裕福な家庭の子であり、自他共に認める完璧な生徒。
学級委員も務め、副担任より率先してクラス全体をまとめている。
特待生しか入学できない数学塾に通い、トップの大学を目指す。勉強面でサンフンとはライバル関係。スビンとは幼稚園からの同級生で、彼女の事が好き。

チョン・オジェ役ムンビンさん(ASTRO)
転入してきたジュヌを唯一明るく迎えてくれた、優しくマイペースなクラスメイト。
父親の経営する飲食店「情熱粉食所」をよく手伝い、歳がかなり離れた弟がいる。
クラスメイトの女子ダヒンから熱い想いを受ける。

オ・ハンギョル役カン・ギヨンさん
チョンボン高校2年3組の副担任。地方大学出身。
正式な担任が入院中のため、副担任だったが担任のような役割を任される。
フィヨン率いるクラスの雰囲気にやや圧倒されるものの、独自の考えで生徒を指導する。ネットでの限定販売品を買うのが趣味。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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オン・ソンウさんインスタグラムより

トラブルが多いビョンムン高校から強制転校で、チョンボン高校2年3組に転入してきたジュヌ。愛想のない態度もあってか、すぐに"問題児"だと教師やクラスメイトにレッテルを貼られてしまうジュヌ。
クラスを牛耳っているフィヨンも、孤立していても気にせず自分に媚びないジュヌを面白く思いません。
もちろん、ジュヌは前にいた高校でも理由があって、彼自身が暴力を振るったわけではありませんが…。(お約束の設定)

そんな転校早々にジュヌは、速攻でトラブルに巻き込まれます。フィヨンやサンフンが通う、特待生だけの塾での高級腕時計の紛失事件です。
コンビニでアルバイトしているジュヌが、配達先である塾に行ったため、ジュヌは時計を盗んだ犯人にされてしまいます。
もちろんジュヌは無実ですが、レッテルを張られているジュヌを信じようとする人は多くありませんでした。
ジュヌはここでフィヨンの闇、この学校や大人の歪みに気付きます。
しかしそんな状況にうんざりして退学を選択しようとするジュヌでしたが、スビンやオ先生の言葉もあって、彼は"逃げない"と決めます。
このようにジュヌがこの2年3組でやって行く!と決意したところから彼らの物語が始まっていきます。

ジュヌが18歳でありながら、登場人物の誰よりも大人びた点が多く、そこが作品全体的に効いていて良かった!
彼が感情的なタイプでなく、物静かながら芯が強いという性格設定だったので、キャラ立ちがしっかりしているクラスメイトの中でも逆に目が行きやすく、学園青春ドラマでしたがどのシーンもうるさく感じず良かったです。

ジュヌとスビンの2人の可愛らしい恋の大きな壁になるのが、スビンの毒親の母親です。
この母親役がキム・ソニョンさんで、彼女だったから大嫌いに(役柄を)ならなかったという演技でさすが…と素人ながら感じました。
スビン母はソウル大卒のエリートながら、プライベートでも結婚生活にも失敗し、そして男性優位の社会で、もがき苦しんでるという背景が少し語られています。
その悔しさや復讐のような複雑な気持ちを一人娘のスビンに押し付けている、という女性です。
彼女自身もその考え方が間違っているという葛藤を垣間見ることができるのですが、頻繁にノーメイクに近い素顔のようなメイクのシーンが多く、スビン母のオン・オフの苦しさのような心理状態を表現していて印象が強かったです。
気持ちを娘に吐露するシーンでは、涙を流しながら声がかすれていて、同意はできないものの、かなり胸に来るシーンで、ソニョンさん上手い…(感動)と唸ってしまいました。
通常このタイプの毒親役にはイラつく感情を抱いてしまうのですが、スビン母に関しては彼女の社会に対する葛藤も理解でき、役柄も深みがあり興味深かったです。
一方のジュヌの母親ですが、役として少々ご都合主義的に動く場面が多く、スビン母と比較すると(役柄として)面白味がなく能天気すぎるかな…とも思えましたが…。
フィヨンの両親はもはや「悪」のネタ枠状態なので、わかりやすいのですが。

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個人的に少しどうかなと思った点が2つあります。
・ジュヌとスビンが映画館でついにデートをするのですが、嫉妬したフィヨンからジュヌがスビンを騙していることを示唆するメッセージ画面のスクリーンショットを送られてきます。
それを見たスビンはショックを受け、デートは中断。
ジュヌは彼女の態度が訳も分からず「映画の内容が良くなかったんだね、俺のミス…」と自分を責めます。
このエピソードはスビンさん、それはないでしょ…と少々ガッカリしました。
というのも、スビンは序盤2話でジュヌは時計を盗んでいないと思う、と彼を信用する理由に彼の性格をかなり上手く捉えた説得性ある説明をする彼女がいます。
そんなジュヌという人間をいち早く見抜いたスビンが、こんな"わかりやすい"画面を信じてしまうのは、ちょっと雑だなとは思いました。
ただ、後半この事件を回収するジュヌのセリフ「これを信じたの?俺じゃなく?」は簡潔で厳しく、視聴していて謎の満足感を得た次第です。

・終盤、フィヨンは自らの過ちを認めます。
しかし、ジュヌはそんな彼のうわべだけと思える態度に疑問を呈します。「反省していないヤツを許せるか」と…。
フィヨンはずっと自分だけが大切で、その他の人々は使い捨てのコマのように扱っていた人物。そんなフィヨンの変化しない気持ちを見透かしていたのがジュヌだったのですが、これに対してのフィヨンの謝罪が「土下座」だったというのが…。
韓国ドラマあるあるかもしれませんが、どんなシーンも全て収めてしまう土下座。ここは色々と考え方の違いや文化背景があるかもしれませんが、土下座でとにかく全て解決!となっていて、欲を言えばこの作品らしく、もう少し繊細な描写が欲しかったかなとは思いました。

個人的に特に面白いなと思ったのは下記2点です。
・4回言うクセ
ジュヌ君ですが、大切な事は4回リピートするクセがあるようで、そこは面白かったです。残念ながら2つのシーンしか共通点を見つけられませんでしたが、
1)スビンに好きという時(8話) 2)スビンに本心だと言おうとする時(9話)
彼の生真面目さ、熱量が伝わり可愛らしいなと思いました。

・オジェによる彼女の声マネ
口が軽い彼女ダヒンより、オジェにスビンとジュヌがカップルだとメッセージが入ります。
オジェがダヒンの声マネでその内容をジュヌに伝えるのですが、結構似ていてムンビンさん面白いな~と思いました。(10話)

ということで、大きなストーリー展開で見ると派手さはあまりない作品ですが、カメラワークの美しさと、割と細かい描写や感情の汲み取り方で丁寧な作品になっていて個人的に好印象で、最後までかなり楽しんで視聴しました。
ジュヌとオジェの親友関係も微笑ましくて可愛らしく、私は序盤からオジェの好きな人はジュヌだろうなと勝手に予測していたので、終盤はフィヨンだったの?となりました。オジェさん、なんか良い役でいいなと思います。(ムンビンさんの雰囲気に本当に合ってました)
エンディング的にはスビンとジュヌ2人の今後は詳細に語られず、完璧なハッピーエンドではないかもしれません。
しかし、上述したようにその点がまさに「青春の1ページ」という美しい期間を切り取った作品で逆にその微妙さ、あいまいさが年齢的に"らしく"て素晴らしいと思った次第です。良かったです!

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