ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ バガボンド Vagabond (感想)

おすすめ度:50%
シーズン2を待つ度:100%
スタントマン度:100%
原題:배가본드 全16話

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あの航空機事故はテロだった…1人の男が事件の背景を暴く、2019年のアクション・スリラードラマ。

 あらすじ・キャスト 

スタントマンでタクシー運転手のダルゴン(イ・スンギさん)は、亡き兄の子フンを、まるで我が子のように育てていた。
が、そんな愛する甥っ子フンを、航空機の事故で亡くしてしまう。失意の中、ダルゴンは事故現場であるモロッコへ他の遺族と共に向かう。現地でダルゴンらを迎えたのが、ヘリ(ぺ・スジさん)ら職員。
そんな時、空港でダルゴンはどこかで見覚えのある謎の男性を見かける。
その男とは、フンが事故直前の機内で撮影した動画に、偶然映っている男性だったのだ。不自然な生存者の存在を不審に思うダルゴン。
ただの航空機事故ではなく、巨大な権力が絡むテロ事件ではないかと疑い始めるが…。

感想

うーん…。感想が書きにくいというか、正直"現時点では"感想は保留!というドラマでした。
というのも結論、話が内容的には本題に入っていない気がしましたので…。
未視聴の方は、このドラマはとにかくシーズン2ありきの作品になっている、ということを念頭に置いて視聴された方が良いかと思います。つまりこれだけを観て「スッキリ!面白かった!」という事には一切なりませんので、シーズン2が確定してから観始めた方がむしろ良いドラマではないかなと個人的には思います。
私はいつもの通り何も調べず観始めたので、途中から「もしかして解決しないのでは…?」と悟り、かなり無言になりました。

もちろん他のドラマでも、次のシリーズが保留になっている作品はありますが、この作品はアクションに大きく振っているためか、視聴しながら勧善懲悪のスッキリ感を物語の結末に無意識に求めてしまっていました。
そのため、16話を見終わった後にはその気持ちが裏切られたような、ただのプロローグのような全16話に不満というかモヤモヤ感が残りました。

ただ、海外ロケと激しいアクションが、とにかくこのドラマの特徴で、非常に見ごたえがありました。加えて、イ・スンギさんの男性的な魅力が全開で、本当に素晴らしかった。
できるだけ自らスタントを使わず演技されたとのことで、力を入れられていたのが確かに伝わりました。どう控えめに観ても(?)、スンギさん、とってもかっこよかった!この点は本当におすすめです 。

ゆるいネタバレありの感想

イ・スンギさんインスタグラムより

愛する甥っ子が搭乗したモロッコ行きの飛行機が、爆発事故で墜落。
しかし、ダルゴンは謎の生存者をモロッコの空港で偶然見つけ、この事故は計画的なもの=つまりテロ事件だったのでは?と疑い始めます。
この時点で、とにかく記憶力・行動力・体力が異常に良いダルゴンさんという印象です。

この航空時事故ですが、ダルゴンが察した通りテロでした。
背景には軍の莫大な戦闘機購入費を巡って、トップの2社が絡んでいます。
事故現場の国であるモロッコに飛んだダルゴンですが、現地大使館職員として、コ・ヘリ(スジさん)と知り合い、共に行動します。
そんなヘリも、単なる職員ではなく情報院所属のスパイ。

ダルゴンやヘリらは、あらゆるきっかけを掴んでは、追い、真相解明のために動きます。
カードをめくっていくように、次々と事件に繋がる人物を探し当てるダルゴン。そして見つけては"消されて"いく人々…。
戦闘機購入のために、国をまたいですごい人数のが亡くなっている事故に、果敢に挑むダルゴンさんです。

とにかく出くわす相手がことごとく"誰も信用できない"状態で、ダルゴン以外全員裏の顔があります。もちろん国家権力でさえ裏切ってきます。
視聴していて安心感がないところが面白くもあり、この作品の最大の長所でもあります。
ですが反対に、何となく気が休まらなくて「どうせこの人も嘘ついてるだろうな」と毎回思ってしまって、若干シラケてしまうという短所でもあるかなと感じました。

結論として最終的には、サマエルという人物に終盤辿り付きます。
サマエルという人物こそ、エドワード・パクさん。
当初、モロッコで遺族に対して、妙に「わかっている」態度で真摯に接したと思われるやたらクセのある人物でした。

このエドワード・パクを演じるのが、イ・ギョンヨンさん。
もはや韓国ドラマ黒幕四天王の1人であることは、間違いないと思います。
出てきた時から見るからに"大物”感とクドさが凄かったので、何となく察していましたが…。国家権力でさえ容易に手に入れようとする、サマエル。一体何者なのでしょうか…。

黒幕を知ったダルゴンさん、もちろん事故に見せかけて殺されてしまいます。(生きてますが)
ヘリさんは、ダルゴンの「お守り弾丸」ネックレスの遺品を見て、彼の死を確信。納骨堂で号泣するヘリをダルゴンは見つめています。そんな近くに普通に立っていて大丈夫でしょうか…。

ちなみにダルゴンさんですが、この問題のネックレスや"戦神"タトゥーのデザイン含め、何となくセンスが中学生男子のような点が見受けられました。
ただこの衣装等については、"ダルゴン"という、熱血漢で泥臭く正面突破をする男…というキャラ設定の表現だと思われ、とても面白いなと個人的に興味深かったです。ヘリに対する態度も、完全に思春期の男子状態でしたが。

ダルゴンはヘリを心配して、生きているということは隠しています。その後、問題の第1話冒頭のシーンと繋がります。(すっきりしない)
という、以上のストーリー展開です。
続くであろうお話は、生きているダルゴンvsサマエルの対決となるはずです。

仲間かと思いきや、裏切られた!殺された!という沢山の人物、そして派手なアクション、雰囲気が素晴らしい海外ロケ…が見ものの贅沢なドラマ。
ですが、前述したように、登場人物がどいつもこいつも信用できない+強気のアクションで乗り切る展開が少々ワンパターンな印象を受けました。
結局あまりダルゴンさんの内面が知れないというか、熱い男!という部分の印象だけが強く残り、彼の繊細な心の変化などが不足しているかなとは感じました。

そして個人的にとにかく最もガッカリさせられたのが、第1話の冒頭のシーンです。
第1話が始まり、すぐに「現在」から「過去」へ戻ってお話が進むのがわかります。
つまり、冒頭の銃をかまえるダルゴンのシーンが現在です。
最初にイ・スンギさん演じる男性が、誰かを撃とうとして狙いを定めていますが、その相手がスジさん演じる女性と判明し、予期しない相手に動揺している、というシーン。

私はこのシーンのせいで、残念ながら全体的にこのドラマに肝心のアクションのハラハラした部分があまり楽しめませんでした。第1話のあのシーンは本当に必要だったのかなあ…と視聴しながら私は頻繁にずっと考えてしまいました。
というのも、冒頭のシーンのせいでダルゴンとヘリが、間違いなく現在も"生きている”という事が明確に暗示されています。
当初、ミステリー的にこの"敵対関係"が解き明かされるのかと思っていたのですが、単なるアクションに対するハラハラ感を前面に出した作風で大変驚愕しました。

ダルゴンが幾度もピンチに陥り、何度も何度も死にかけたりするアクション全開のシーン。
しかし視聴していて、「生きてましたよね?」という冒頭のシーンがずっと頭に残ってしまっていました。そう、ダルゴンもヘリも絶対死ぬわけがない。
こんなにアクションでドキドキさせる展開なら、冒頭シーンの意味はどこにあるのかなあ…と、そればかりが気になって不思議でした。

エンディングが冒頭シーンに繋がる作品は特に映画などでは多いと思いますが、ミステリー系ではないこのドラマ作品で、「主人公が生きている」と最初に明らかにする手法を取る意図が、私は正直あまり理解できなかったです。
この点がとにかく残念に思えたのと、この最初のシーンのせいでとにかく全16話が単なるプロローグとしか感じられませんでした。
つまり、シーズン2…いつ…?

ということで、感想としては全16話で終結させて欲しかったドラマかなと思いました。
 シーズン2があるならば(ないなら酷い)、恐らく完結するはずですので、とにかくそれを待つしかないですね…。
今のところは、壮大な前フリで終わってしまっているので、続編が来ないと何とも言えない…という感想しかありません。
熱血ダルゴンさんが身体一つで巨大権力に果敢に挑み、悪を倒して欲しかったという願いは届かず、消化不良感を残しつつ、微妙な気持ちで視聴を終えました。

とはいえ、アクションシーンや海外ロケが非常に上手く使われていて、映像がかっこよかったです。その部分は本当に素晴らしかった!
イ・スンギさん、このダルゴンのような男性っぽい部分を全面に出したキャラが非常にお似合いで、とても素敵でした。

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