ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国映画 ザ・キング (感想)

おすすめ度:69%
本物の野犬派度:100%
ディスコダンスの是非度:100%
原題:더 킹 (The King) 134分

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貧しかった青年が”強い”検事を目指したその先は…?2017年の政治犯罪ストーリー。

 あらすじ・キャスト

田舎で貧しい家庭に生まれ、ケンカばかりしてい高校生活を送っていたテス(チョ・インソンさん)は、検事という職こそ絶対だと考え始める。
猛勉強の末、名門ソウル大に進学。その後地方検事の職に就き、真面目に働いていた。
そんなある日、担当した事件の背景に、誰もが知るエリート検事のガンシク(チョン・ウソンさん)が存在することを知り…。

感想

検事という職の善と悪の両面を描き、コメディタッチの部分も上手く混ぜてあって
テンポが良く面白かったです。
貧しい家に生まれた男性が、憧れの検事の職に就き、成りあがって行くというサクセスストーリー。
しかし、甘い話だけではありません。そんな彼の野心を見透かされたように、絶対的なカリスマ性のある"エリート検事"にテスは吸い尽くされてしまいます。

1980年代から2010年までのの韓国政権と検事という職との関係性や、ヤクザと検事との関係性。
色々な「武器」使っては、その時々で容赦なく切り捨てていくエリートたち。

テス役チョ・インソンさん
貧しい家に育ち、検事の力を思いる。努力の末、検事の座を勝ち取ったテス。
インソンさん、なんと高校生役もされていて驚愕しました。ただ、年代が古すぎて衣装が制服なのか私服なのかよくわからなかったので、年齢不詳のただただ体格の良い高校生、という感じでギリギリ乗り切っておられましたが…。
検事になってからは、スタイルが良すぎるのでスーツ姿が当時(?)のスタイルでしたがかっこよかったです。

ガンシク役チョン・ウソンさん
そしてなかなかの"汚い”検事でした。
さすが(?)のウソンさんの謎のオーラが満開で、はちゃめちゃにかっこよかったです。
ウソンさん、誠実で優しそうな印象を受けるのですが、不正まみれで怖いという点がギャップがあって良かったです。存在感があって、一番この作品内で目立っていました。

ドゥイル役でリュ・ジュンヨルさん
テスの同郷である木浦市(モッポ市)の野犬派と呼ばれるヤクザ。
リュ・ジュンヨルさん、個人的に非常に大好きな俳優さんで、この役柄自体は大変良く合っていたと思いました。
ですが、チョ・インソンさんとチョン・ウソンさんの間に"仲間”として入るのは、さすがに線が細く厳しいかなと感じました。年齢差もあったかなと思います。

ゆるいネタバレありの感想

チョ・インソンさん所属事務所インスタグラムより

強い父親が検事に土下座状態の姿を見てショックを受け、検事こそが絶対的な立場の存在だと思い知るテス。
勉強もろくにしていなかった高校時代ですが、検事になることを強く決意。猛勉強の末、ソウル大に進学。見事、夢であった検事となったテスでした。

しかし、ある事件から誰もが知るエリート検事のガンシクが、悪の面を持っていることを理解するテス。
正義感を持ちつつ検事として仕事をしていたテス。しかし、すべてを握った権力の力を思い知った彼は、即効でガンシクの側近の検事として働き始めます。
そう、そもそも青年の頃に夢見た、金や権力を持った「検事」になったテスでした。

しかし不安材料もありました、同郷である木浦のヤクザ、ドゥイルです。
彼は野犬派と呼ばれるヤクザで、テスを慕って彼を守ってもいました。ドゥイルはテスを守りながらも、裏金を得て最終的には江南エリアの裏社会を支配する立場になっていました。

そんな微妙なバランスを保った関係も長くは続きません。
政治も時代と共に変化し、ガンシクの状況も次第に変化し始めます。色々な思惑が渦巻く中、ガンシクがドゥイルや自分を”処理”し始めていることにテスは気付きます。
今まで権力に酔っていたテスでしたが、しょせんガンシクの駒の一つだったという現実を思い知ります。
そして…?

ストーリー的には、テスという男性の半生を描いた作品でした。
最終的には彼がどうなったのかは明らかにされていませんが、その点は問題ではなく、一旦は権力側に付いたものの反旗を翻す、というテスの生き様がポイントでした。

途中、スコセッシ監督の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を彷彿とさせる演出がありましたが、個人的には正直かなりダサい印象を受けました。
チョン・ウソンさんが真顔でディスコ・ダンスをされていましたが、このシーンはちょっと狙いすぎてハズした感が…。私はこのウソンさんの真顔ダンスに面白味や意外性は感じられませんでした。(ウソンさんはもちろん悪くはないのですが)

テンポがかなり良い作品で面白くはあったのですが、その反面テスの心情や、テスとドゥイルとの関係性や強い絆部分に切り込んだ描写が思ったよりもずっと浅く感じました。
主人公のテス含めどのキャラクターに対しても、感情移入や理解が最後までしにくかったので、そこがかなり残念だったかな…。
そのため各キャラの"アイコン”として表面的なスタイルだけを辿ったような作品、という印象が全体的に残りました。もったいない。

ということで、
・野犬派は色々な意味で本気の野犬派
チョ・インソンさん身長189㎝の圧倒されるスーツ姿
チョン・ウソンさんの白シャツでの書道
・大統領選挙はカウントダウン
以上の4本でお送りされた映画でした。
出演されていた俳優さん達が年齢的にも"圧”がありかっこよく、面白くはあったのですが、人物描写に物足りなさを感じた作品でした。

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