ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ こんにちは? 私だよ! (感想)

おすすめ度:77%
自分を取り戻す度:100%
最強の17歳度:100%
原題:안녕? 나야!(アンニョン?私だよ!)

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冴えない37歳の私が、17歳の輝いていた私に出会う?!2021年放送のヒューマンコメディドラマ。

 あらすじ・キャスト

お菓子の試食販売をしていた37歳のハニ(チェ・ガンヒさん)は、ある日警察に連行されてしまう。落ち目の俳優アンソニー(ウム・ムンソクさん)の悪口をネットで書いたため、ハニは名誉棄損として訴えられていたのだった。
偶然同じ警察署にいた、家を追い出された御曹司のユヒョン(キム・ヨングァンさん)は、ハニと知り合いになり、彼女にお金を借りようとする。
そんなある日、ハニは交通事故に遭い運ばれた病院で、17歳の自分自身、ハニ(イ・レさん)と会うことに…。

感想

2011年に出版された小説が原作のドラマ。
序盤が17歳に「ん?」と思いながらも、気づけば大好きに。次第にどのキャラにも愛着が出始めて、じわじわ面白くなり、最終回には優しい気持ちがたっぷり残るドラマでした!
…明日からがんばろう…(予定)
という気持ちに、最終回の後は自然となってしまいました。
派手さはないお話ですが、じんわりと気持ちが温かくなるような、そっと勇気付けてくれるような、素敵なお話でした、良かったです!!

37歳の冴えない女性が、突然何故かタイムスリップしてきた17歳の"自分”と出会い、一緒に暮らし始めるというお話。
典型的な悪者以外は、嫌な気持ちにさせるキャラがあまり出てこない部分も良かった!
平和な気持ちで観れましたが、ちょっと古いドラマの雰囲気も感じさせるタイプの作品でした。

17歳のハニ…”自分”はクラスだけでなく学校全体の人気者として君臨していた頃…。
そのため常に調子に乗った自意識過剰で「嫌なヤツ」でもあった反面、若くて恐れを知らなかった、天真爛漫で楽観的な、キラキラした17歳の自分。
そんな17歳の自分に、現在37歳のパン・ハニが再び周囲の人の協力もあって向かい合っい、再び「自分」を取り戻すというストーリー展開です。

37歳パン・ハニ(チェ・ガンヒさん)
スーパーの試食販売員としてチョア製菓のお菓子を売っていたが、トラブルを起こしてクビになる。
10代の頃はとても可愛い容姿とダンスで、学校内の超人気者だった。
父親を17歳の頃に事故で亡くしている。
突然出現した17歳のハニを、「娘」として一緒に暮らすことに。

17歳パン・ハニ(イ・レさん)
とにかく恐れを知らない、強く可愛い高校生。
人気者で可愛い"自分”が37歳になって、惨めな姿になっているのが理解できない。
明るく正義感が強いが、向こう見ずの性格。

ハン・ユヒョン(キム・ヨングァンさん)
チョア製菓代表の父の一人息子。母を亡くしている。
80種類以上もの資格を取得したりしているが、どれも趣味程度でフラフラ遊びまわっているため、父親が激怒し家を追い出され無一文に。
37歳のハニと警察署で出会う。

アンソニー/ヤン・チュンシク(ウム・ムンソクさん)
昔は人気だったが、今は完全に落ち目のスター。自意識過剰で整形済。
パン・ハニと高校の同級生だった。牛乳に弱い。

ゆるいネタバレありの感想

イ・レさんインスタグラムより

37歳のハニが、ある日突然17歳の自分に出会います。
そこにユヒョンやアンソニーが加わり、淡い恋模様とややドタバタしたコメディが描かれます。

17歳の自分が37歳の自分に「情けない姿!」と吐き捨てるシーンは、なかなか厳しいなと思いました。現在の状況が、昔の自分が思い描いた姿でないのは、37歳のハニが一番よく理解していると思います。

しかしこのドラマが面白いのは、どんなにキツイ言葉を17歳のハニが言ったとしても、
その言葉を放った憎い相手が自分自身というところだと思います。
相手を許すも許さないもこの2人には関係ない、なぜなら自分であるから…という部分。どれだけこの17歳にムカついても、鏡に向かって怒っているような図式になってしまいます。そこがとにかく上手い設定だなと思いました。

37歳のハニは17歳の自分を外国帰りの娘ということで周囲に話し、一緒に暮らすことに。「絶対に過去に帰してあげる」と、約束します。

そんな37歳ハニでしたが、チョア製菓の契約社員として、そして一方のユヒョンもチョア製菓の食堂で働き始めます。
この2人の共通点として、他人と自分を比べることが無いのもあって、気さくに周囲に溶け込む点だと思います。
お互い自分の精一杯を尽くし、社内コンペなども応募し張り切る2人。
そんなユヒョンは「おばさん」と呼んでいたハニに対し、次第に好意を持ち始めます。

 冴えない37歳のハニですが、働いているうちにどんどん人周囲の人からも信頼されはじめます。
そんな地味でつまらないそうな37歳のハニでしたが、彼女は「嫌なヤツ」だった17歳の自分をきちんと反省していて、しっかりと自分の道を生きていたのでした。そしてもちろん、17歳の頃と変わらない持ち前のポジティブさも忘れていませんでした。

突然現れた17歳の自分と再び向かい合ううちに、37歳のハニだけでなく、アンソニーやユヒョン…彼らも、自身と向かい合うチャンスを得ます。
天真爛漫で、ちょっと生意気な17歳。
そんな17歳ハニが、大人たちを次第に(そして自然に)勇気付けたり、複雑に絡まった考え方を解いてシンプルにさせていくような…。
この描写の過程が押しつけがましくなく、自然に周囲のムードが変わっていくところがとても温かい雰囲気で大変良かった! 

個人的に好きだなあと思ったところがユヒョンのハニに対する態度です。
いつも”一緒に歩もう”とする態度、その部分の描き方が本当に良かったと感じました。
17歳のハニを過去に帰す方法を探るハニに対しても「一緒に探しましょう」「僕たちはチーム」という声のかけ方…こういう人が側にいると、どれだけ頼もしいことかと思います。
常にそっと寄り添う、良い距離感を取るユヒョンの演出と演じるキム・ヨングァンさんの、大らかそうなどっしりとした雰囲気と相まって素晴らしかったです。
ハニとユヒョンのラブストーリーも、あくまでも軽く、作品のコアな部分を邪魔していなかったのも、本当によかった!!

最終回では、17歳ハニが夢で見た父親との思いでを頼りに、とあるトンネルに向かいます。”トンネル”は産道のメタファーとして、映画などで転生や生まれ変わりなどのシーンの鍵になることも多い場所です。
そのトンネルを超えて、ハニは元の時代へ戻ります。この37歳と17歳のハニの別れのシーンは涙が出ました。自分で自分を勇気付けているような…。かなり胸にきたシーンでした。

17歳の自分が突然出現するという、とんでもねえ設定。最初はドタバタ感が強かったのと、17歳のハニに割とイラついた部分もあったのですが、中盤から本当に頼もしい(?)ストーリーラインが見えてきて、良い話だなあ…とヒシヒシと感じました。

説明が結構し難い感情ですが、陳腐な言葉にすると、大人になって蓋をしてしまった気持ちに再び気付かされるというか…。
17歳の自分と37歳の自分は同じ延長線にいるけれど、考え方もちょっと違う。だけど、私…。
自分を”変える”ことができるのは、周囲の力も大きいですが、結局やっぱり自分なんだ、という部分も気付きになりました。自分が自分を見捨てたらダメなんだよ、という部分もあったかな…。

ということで、タイトルや第1話の冒頭含めきっちりと全てネタを回収してくれるお話で、視聴していて気分も良く、とっても良かった最終回でした。
ストレスが一切ないストーリーで、じんわりとした優しさが最終回の視聴後には余韻として残りました。
嫌味や押しつけがましさのない、良いドラマでした!

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