ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ SKYキャッスル ~上流階級の妻たち~ 感想

おすすめ度:88%
不幸は密の味度:85%
ドラマ中毒性度:100%
原題:SKY캐슬 

f:id:mirume01:20210130190345j:plain

セレブ住宅街SKYキャッスルでの人生をかけた受験戦争がきっかけで繰り広げられる、容赦ない戦いの末に見つけたものとは。2018年放送のヒューマンドラマ。

あらすじ・キャスト

ごく限られた超エリートセレブだけが住むことを許される高級住宅エリア、スカイキャッスル。
そんな住民たちは、自身の子息をエリートの頂点である、ソウル大学医学部に入学させることだけに血眼になっていた。
しかしそんなある日、息子をソウル大医学部に入学させた住人の1人が自殺をし、いつもの彼らのセレブ生活に波紋が広がる…。

感想

なかなかのドロドロ感満載で、かなり”どぎつい”ドラマになっていました。
出演者全員がある意味、悪くてクセがある人ばかり。
いわゆる「他人の不幸は蜜の味」的な作品…それゆえに中毒性は抜群でした。
とても視聴率が良かったらしいですが、数話観ただけで「なるほどね…」とその人気さも納得できるドラマになっています。

とはいえ、結局のところ格差は変わらないという、強烈なブラックユーモアも込められてあり、興味深かったです。
終盤から最終回にかけて、かなりアッサリとエンディングをむかえて失速した感がありました。
ですが、わざとらしさ感満載のシーンもあって、嫌みも適度に効かせてあり、なかなか楽しめたドラマでした。

富と名声、お金を手にいれている完璧なSKYキャッスルの住人達が、
大学受験をきっかけにじりじりと醜く破滅していく様を、皮肉を込めながら眺めるストーリー展開です。

ちなみに舞台となったSKYキャッスルのSKYとは、韓国においてトップ3の大学、S(ソウル大),K(高麗大), Y(延世大)を指す、実際に使用されている略語だそうです。
またソウルが舞台設定でしたが、SKYキャッスルの雰囲気が妙に田舎っぽいなと思っていたら、実際のロケ地は京畿道龍仁市という、郊外だそうです。

SKYキャッスルの魅惑的な住人達:

f:id:mirume01:20210130190450j:plain

ソジン(ヨム・ジョンワさん)
夫:整形外科教授のジュンサン
子供:高3女子のイェソ、女子中学生のイェビン
ショートカットでいつも禁欲的なファッションを好む。
気が強く、SKYキャッスルの中心的な女性。
娘のイェソをソウル大医学部に入学させるために、エリートコーディネーターのキム先生に娘を頼む。

ジュンサン(チョン・ジュノさん)
妻:専業主婦のソジン
子供:高3女子のイェソ、中学生のイェビン
メガネをかけたとヒゲの男性。
父親も医者で自身も母親からスパルタ教育で医学部に入学した経験がある。
ソジンと結婚前に別れさせられた女性がいた。

高校3年生女子イェソ(キム・へユンさん)
母:ソジン
父:ジュンサン
妹:イェビン
非常に気が強い女子高生。ソウル大医学部に入学することを強く目指している。
同級生の男子高校生ウジュのことが好き。ヘナのことをライバル視している。

中学生イェビン(イ・ジウォンさん)
ソジンとジュンサンの娘。姉はイェソ。
母ソジンが高3のイェソの受験に夢中のため、愛情不足を感じている。
イェソのライバルのヘナに家庭教師をしてもらううち、姉のように慕うようになる。

--------------------

ジニ(オ・ナラさん)
夫:整形外科医教授のヤンウ
子供:中学生男子スハン
ロングヘアで派手なファッションを好む。
高価な陶器を集めるのが趣味。
かなりのおしゃべりな性格でで、ソジンの手下のような存在。

ヤンウ(チョ・ジュユンさん)
妻:専業主婦のジニ
子供:中学生男子スハン
丸メガネをかけた医者。
同じ医局で勤務しているジュンサンの手下のような存在。
妻のジニには文句が言えない。

--------------------

スンへ(ユン・セアさん)
夫:法律学校教授のミニョク
子供:高3男子双子のソジュンとギジュン、ハーバード大に通う女子大生セリ
ボブスタイルの穏やかな女性。ガーリィなファッションを好む。
夫に従い良妻賢母のスタイルを保っていたが、夫の神経質さに嫌気がさしている。

チャ・ミニョク(キム・ビョンチョルさん)
妻:専業主婦のスンへ
子供:高3男子双子のソジュンとギジュン、ハーバード大に通う女子大生セリ
法律学校の教授。神経質で理屈っぽい。
メトロノームとピラミッドが好き。
エリートになることこそ人生の頂点、という強い考えで、自分の夢を子供に託すべく血眼になって受験勉強をさせる。

高3男子ソジュン(キム・ドンヒさん)
スンへとミニョクの子供。双子。
控えめで優しい性格

高3男子ギジュン(チョ・ビョンギュさん)
スンへとミニョクの子供。双子。
やや勝気な性格。

女子大学生セリ(パク・ユナさん)
スンへとミニョクの子供。
ハーバード大学に通っている。

--------------------

スイム(イ・テランさん)
夫:神経外科医チヨン
子:高3男子ウジュ
SKYキャッスルには途中から引っ越してくる。
セレブなファッションはせず、着飾らない。
しばらく本は出版していない童話作家
夫のチヨンとは再婚である、ウジュとは血がつながっていない。
価値観の違いから浮いた存在となり、住人とたびたび衝突する。

ファン・チヨン(チェ・ウォニョンさん)
妻:童話作家スイム
子:高3男子ウジュ
神経外科医。スイムと再婚し、SKYキャッスルに引っ越してくる。
真摯に医療に取り組み、その手腕を発揮。部下や患者から慕われている。

高3男子ウジュ(カン・チャニさん)
スイムとチヨンの息子。
実の母を病気で亡くす。スイムは義理の母。
優しく真面目な性格でクラスでも人望がある。
イェソから想いを寄せられているが、ウジュ自身はヘナのことが好き。

--------------------
SKYキャッスル住人の周囲

キム・ヘナ(キム・ボラさん)
母1人子1人で育って来たが、金銭的問題を抱えている。
非常に頭がよい。
闘病中の母の看病に忙しいが、裏では何かしている様子。
イェソとは勉強面でライバル関係であり、仲がとても悪い。

--------------------

キム・ジュヨン(キム・ソヒョンさん)
入試コーディネーター。
黒ずくめのファッションにキツイ目元、髪の毛はオフ以外はまとめてある。
知る人ぞ知る、伝説の入試コーディネーター。絶対にソウル大医学部に入学させるという実績を持つ。
手段を選ばないその指導方法は、謎に満ちている。
ソジンの母の願いで、イェソを担当することになる。

 

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
この投稿をInstagramで見る

김동희(@kim_d.he)がシェアした投稿

キム・ドンヒさんインスタグラムアカウントより

SKYキャッスルに住むという、とんでもないレベルのセレブ家族たち。
彼らの醜くも必死に”勝ち続けよう”とする生活…それが極端に現れるのが子供たちの受験戦争。

メインで描かれる3人の妻:ソジン、ジニ、スンへたち。そして、新参者の住人スイム。
彼らの目下の話題は子供たちの受験、最高峰のソウル大医学部入学だけが「人生の意味」であるようです。

ショートカットで気が強いソジンが高3の娘イェソのため、入試コーディネーターのキム・ジュヨン先生と関わりはじめます。
それがSKYキャッスルの人々、そして自慢のコミュニティそのものが崩壊寸前まで行く様子を、怒涛の展開で描いています。

このキム先生が非常にくせ者なのですが、彼女は「絶対にソウル大医学部に入学させる」という大きな切り札を持っています。
その餌でソジンと娘含め一家を操っていくところから、ソジンの華やかな生活が徐々に歪みを帯びてゆきます。

このソウル大医学部入学という目的だけのために、SKYキャッスル住人達は右往左往するのですが、それを楽しんでいるかのような者…。
それが入試コーディネーターのキム先生。
彼女がソジンやイェソ含め、教えた者たちを洗脳状態にしているようでした。
その狂気の様子をじりじりと描いている本作品。

キム先生に関係した人間は、自殺、一家離散、殺人事件、社会生活からの離脱…と、ソウル大医学部の権利と引き換えに、人生において一番必要な要素を次々と手放しているようです。
その事に気が付くのが、童話作家のスイム。
キム先生に関わらないほうがよい、と警鐘を鳴らしますが、「ソウル大医学部」に目がくらんでいるソジンや、住人達の耳には入りません。
そのキム先生の悪事を暴くという部分が終盤から最終回のエンディングになってきます。

このキム先生…。
全ての悲劇の元凶なのですが、この人のネタバレ部分というか描写には正直、ガッカリしました。
どうしてこれ程に、セレブ家族の転落に固執するのか、どうやって「100%ソウル大医学部入学」を勝ち取っているのか、という部分の設定について物足りなさを感じました。

教え子の点数を上げるのも、単に試験問題を事前に手に入れていただけ…など、適当すぎるだろ…と少々閉口しました。
まあ、それに子供を巻き込むことによって、退学させられる可能性があるために子も黙るという要素もあるにしろ、やり口が簡単すぎて面白みがないなあと思いました。

彼女の過去も当然暴かれる部分があるのですが、だからってそこまで?という感じもします。
結局ソウル大医学部入学実績も、単なる裏口入学では…という感。

キム・ソヒョンさんインスタグラムアカウントより

途中で唯一の恵まれていない家庭の子供、ヘナが何者かに殺害されてしまいます。
ヘナ自身も重要な「切り札」を持っており、それを武器に彼女なりに「ソウル大医学部」を目指しています。
ライバルの同級生イェソにプレッシャーをかけたり、イェソ家に入り込んだりと、なかなかの子供。
しかし、無残な最後を遂げるワケです。

このヘナの死が大きなきっかけとなって、SKYキャッスルの住人達がやっと、自分たちの異常性、キム先生の危険性を理解します。(おせえ…)

最終回では喜劇感が満載の白々しさ、わざとらしさで(意図的な演出だと思います)
SKYキャッスル住人達は新たな価値観を見出しますが…。

受験より大切なこと…あるよね☆彡
私たち、間違ってた! (・ω<) テヘペロ
家族を大切にしよっ!╭( ・ㅂ・)و ̑̑ グッ !
友達ってイイネ!! (//∇//)

という顔文字のような、少々寒いノリの状況で幕を閉じたドラマ…。
しかし…お気付きでしょうか…?
なにも変わってねえ…ってことに…。

ある意味、悲劇に見舞われたSKYキャッスル。
しかし、結局不幸な状態の者は、以前と同じなのです。
殺されてしまったヘナ、更なる転落人生を送ることになったキム先生と秘書。
彼らは以前よりも、より不幸な結果になってしまっていますね…。

一方でセレブ住人達はどうでしょう?
彼らはただ「ソウル大医学部」カードを失っただけで、セレブ生活は大して変化がなさそう。
それどころか、人生の別の意義を見出して、以前より幸せになっただけです。

つまり、転落した者の人生は変わらない。
結局、社会の格差は何も変わらない訳です。
だからこそ、キム先生は「常に制裁し続けなければならなかった」と感じました。
キム先生は、受験に血眼になったセレブ一家全て、そして最終的には社会に復讐し続けなければならなかった…。
その彼女を突き動かす怒りの原動力は、そこではないのかなあ…と個人的に感じました。
ですので、逮捕→平和という部分が少々物足りなさを感じつつも、

社会格差の是正は無理
というメッセージが我々一般人に対して、かなり強烈な皮肉になっているな…面白いなとエンディングで思いました。
一見、このドラマはセレブ生活やそれを受容する社会に一石を投じるような作品になっていて、格差社会へのアンチテーゼ作品かな?と思っていましたが、そうではない、という部分が興味深かったです。

ただ、逮捕後もソジンにキム先生は「あなたは私と同じ」と言っていましたので、転落人生とセレブ生活…その紙一重の描写がギリギリのラインだったのでしょうか。
あくまでもドラマなので、良かったね!で終わる必要もあると思うので、それはそれで良いのですが…。
少し闇の部分も描いていても面白かった気もします。

ということで、
・SKYキャッスル、外観より家の中の広さが異常
・大人たちが実は一番子供だった
・社会的な格差は変わらない
・セレブだが卑しい喜劇の中毒性
・キム先生の秘書の忠誠度がすごい

以上の5本でお送りされたドラマでした。

気持ちよく観れるタイプのドラマでは決してなく、少々疲れるお話でもありました。
が、クセになって続きが気になり、どんどん見進めてしまうストーリーはさすが人気作なだけあるなあ~すごい!と思いました。
後半畳みかけるような展開が失速したと感じましたが、全体的には大変面白く観れました!

こちらもおすすめ: