ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国映画 その怪物 (感想)

おすすめ度:68%
2つの狂気度:100%
呆気にとられる度:100%
原題:몬스터 113分 

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のんびりとした田舎町で暮らしていた姉妹。突然殺人鬼が現れ、愛する妹を殺されてしまう。復讐のため、姉が殺人鬼と対決するサスペンススリラー映画。2014年作品。

 あらすじ・キャスト

田舎町の露店市場で、のんびりと野菜を売りながら暮らしているボクスン(キム・ゴウンさん)は妹をとても大切にして生きていた。
そんな平和なある日だったが、ボクスンの愛する妹が、殺人鬼のテス(イ・ミンギさん)に殺されてしまう。
復讐のため、テスを追うボクスンだったが…。

感想

正直、色々な意味で呆気に取られてしまい、映画が終わった後は
「これは一体…(無言)」という気持ちだけが残り、深い沈黙が続くという、少々謎の作品でした。

コミカルさとシュールさを交えつつ、血みどろの残忍な殺人鬼と無垢な少女との熾烈な戦いのお話。
しかしながら、ストーリーが荒っぽく言うと、かなり滅茶苦茶な箇所も多くあります。
おそらく意図的にそのように展開したのだろうかと推測されますが、主人公の少女(キム・ゴウンさん)の設定含め、かなりギリギリのラインを狙ってきたなあ…と少々判断が難しくもありました。

とはいえ、田舎ののんびりした風景、キム・ゴウンさん演じるボクスンの、恐れを知らない無垢な雰囲気。
対して、なりふり構わず人を殺す殺人鬼テスとの、180度異なる悪との対比部分は確かに面白くもありました。
畳み掛けるようにストーリーが進むこともあり、総合的には「えっ!?」と思いつつも面白く観れました。

テス役のイ・ミンギさん
謎の殺人鬼テス…イ・ミンギさん、かなりの減量をして、この役の撮影に挑まれたそうです。
その甲斐もあってか、かなり恐ろしい風貌になっていました。
目元の鋭さが特徴的な素敵なミンギさんですが、このテス役でも目元が印象的で、容赦ない殺人を繰り広げる、恐ろしいフィジカルの持ち主の殺人鬼役が合っていました。
とはいえ、テスさん…?!と思う部分も若干あり、謎のキャラでした。

パク・ボクスン役のキム・ゴウンさん
精神年齢が幼いと思われる設定のボクスン役。
キム・ゴウンさん、クセがある役を演じられるのが大変上手いので、今作も違和感なく演じられていました。
彼女の恐れを知らないという部分が、この映画では超重要なポイントになってくると思いますので、そのあたりの純真さという点の狂気の演技が良かったです。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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 イ・ミンギさんインスタグラムアカウントより

殺人鬼テスですが、山奥で1人で陶芸をしながら暮らしています。元々捨て子だったテス、数年前から親からは縁を切られている様子。
テス自ら体に刺青を入れるシーンなど、無駄に不気味なシーンも映しだされます。
が、彼の正体は深くは語られません。

この恐ろしいテスと、田舎でのんきに暮らしていたボクスンの接点。
それはテスの父親から始まります。
会社経営者のテスの父親がとんでもねえ人間…。
デモをしていた女性社員に、テスの父親は暴力(暴力以上疑惑)を振るい、動画撮影され、女性に脅されます。

この女性を始末しようとするのが、テスの兄。
実はテス父はお金で問題解決しようとしていたのですが、そのお金をテス兄が女性には渡さず
自分のお借金返済のため使ってしまいます。
そのためテス兄は始末として女性を殺すよう、テスに頼みます。

暗いバーで兄はテスを呼び出し、殺人を依頼。
しかしそのバーで、テスは他の客とトラブルになり、
殺人鬼テス、速攻で2人殺害…。(事件1)
割りばしの新たな使い方を学びましたが、この飲食店での殺人事件についてはこれで終わり。
警察に知られることもありません。一体なぜ…。

その後のテス。早速兄に依頼された件に着手。
デモをしていた女性宅に行き、こちらも速攻で女性を手にかけます。(事件2)
この際、この女性は幼い妹ナリと同居していて、この少女ナリがテスを目撃します。
殺人鬼テスはナリを一旦家に連れ帰り、謎の”ゲーム”としてナリを一旦わざと逃がします。
その幼いナリが必死に逃げた先が、ボクスンの家だったのでした。

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ここから、テスとボクスンの繋がりが発生します。
翌朝、少女ナリを警察に連れて行こうと、一緒に出かけたボクスンの愛する妹。
その姿ナリとボクスン妹の姿を、途中テスに目撃され、ボクスン妹はテスの手にかかってしまいます。(事件3)
ボクスンは地元の警察に通報しますが、真面目に取り合ってくれません。(ひどい…)
悲しみにくれたボクスンと、テスから再び逃げたナリは合流。
そして…ボクスンは妹を殺した、殺人鬼テスへの復讐を誓います。

一方で、テス兄もその頃、ようやくテスの異常性に恐れを抱き、ヤクザにテスの殺害を依頼。
しかし、もちろんヤクザはテスに返り討ちされます(事件4)

異常な殺人鬼テスですが、愛に飢えていたのか、兄に命を狙われていたと知りながらも、兄や母には妙に懐いているところが少々怖かったです。

そんなテスの愛を求める心とは裏腹に、兄と母は再びテスの殺人を止めるべく、テスの命を狙います。
テスを呼び出した場は、テス母の経営する飲食店…。
そして…絶望のはちゃめちゃな殺人現場に。(事件5)

そんな血の海の現場に、とうとうボクスンが乱入し…、テスとの最終対決!

“最後の戦い”ボクスン戦になるまでに、相当な殺人事件を起こしている、テス。
しかしなぜか全く警察は動く様子がない部分は、かなり疑問を感じました。
ですが、この映画はもうそういう所を超越しているストーリーになっています。

なぜなら、描きたかったであろう部分はテスとボクスン。
この2人の善と悪…異なる狂気を描いているので、
観ていて「もう、何も言えない…」という、終始無言状態。

気になったのは、テスはやたらと兄や母にお金を渡すシーンがあります。
テスは一体どこからお金を手にいれていたのか…。陶芸家のテスさんですが、かなりの売れっ子だったのかもしれません。
しかしお話のある種ネタバレ結末として、テスの陶芸…殺人後の処理として、陶芸を”利用”していたとのことです。

テスさん…(無言)

ということで、なかなか色々な意味で驚かされた映画でした。
ボクスンが口ずさむ呑気な歌も、とんでもねえ歌詞ですし…。(実際に存在する歌なのかどうかは不明)

あまり感想という感想が残りにくい作品でしたが、妙に観てしまうというか、目が離せない作品でした。
キム・ゴウンさんもイ・ミンギさんも、お2人ともかなり素敵な俳優さんということもあったかもしれません…。
謎の魅力にとりつかれ、気付けばエンディング。呆気にとられ無言のまま、終わりをむかえました。
ある意味、ボクスンの世界に平和が戻って良かったな…(真顔)と思った次第です。

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