おすすめ度:75%
メタファーを読み解く度:85%
子猫度:100%
原題:위시유:나의 마음속 너의 멜로디 1時間41分
ストリートミュージシャンに一目ぼれ…彼と”俺たちの曲”を作るために進む2人。2020年公開のLGBTQ作品に分類される男性同士のラブストーリー映画。
あらすじ・キャスト
ストリートミュージシャンのカン・インス(カン・インスさん)は、演奏する姿を友人のミンソン(ぺク・ソビンさん)に撮影してもらい、動画サイトにUP。
いつかデビューすることを夢みていた。
そんなある日、音楽事務所で働くユン・サンイ(イサンさん)は、路上で演奏するインスの姿に惹きつけられる。
偶然、彼の名前を知ったサンイはインスの曲に夢中になり、仕事先の音楽事務所でもインスの音楽は話題になり…。
感想
LBGTQ作品に分類される、男性同士のラブストーリー。
使われているカフェなどのロケーションなどが結構おしゃれで、BL系ストーリーですが興味がない方が観ても、映像も美しくほぼ抵抗なく楽しめる作品だと思いました。
男性同士の恋愛ですが、お話の展開は男女間のラブストーリーと同じ。
また主演のカン・インスさん、イサンさん共にミュージシャン(歌手)の方なので、歌うシーンももちろん問題なく、この映画の雰囲気が壊れていなくてとても良かったです。
展開的につっこみたい部分も割と多くありましたが、普通に楽しく観れて良かった作品です!
カン・インス役のカン・インスさん(MYNAME)
役と同名の作品って結構ありますが、どうなんでしょうか?役者としてやりにくくないのかな?と個人的には謎ですが、同名の役柄です。
ストリートミュージシャンをしていていましたが、才能が認められて…という役。
少し気分屋で意思が強い。
ある目的のためにミュージシャンでの成功を夢見ています。
しかし、彼は心を簡単には開かない、少し闇があるようです。
ユン・サンイ役のイサンさん(IMFACT)
人見知りで恥ずかしがりやのサンイは、音楽事務所で働いています。
そんなサンイもキーボード演奏をバンド仲間として、たまに路上ライブを行っています。
偶然インスが路上で歌っているのを聴いてから、彼の姿と歌声に夢中になります。
それがきっかけで、働いている事務所とインスとの契約に一役買うことに。
ミンソン役のぺク・ソビンさん
インスを長年”マネージャー”として、また親友として支えてきた。
ミンソンがインスの路上ライブの撮影をして、動画サイトにUPするなど、
裏方の作業も全てこなす、インスのよき理解者。
イ・ユジン役のスビンさん
サンイが働く音楽事務所の代理。
シャイなサンイを男性として気にかけながらも、後輩として可愛がっている。
サンイからインスの動画を教えてもらい、インスをデビューさせるべく奮闘する。
ゆるいネタバレありの感想
カン・インスさんインスタグラムアカウントより
お話の始まりは、サンイ(イサンさん)がインス(カン・インスさん)の路上ライブを
偶然見かけた所から始まります。
インスの歌う姿に、一瞬でぽわ~ん♡となるサンイ。
観ていた私は、そんなインスを必死に撮影する、謎のカメラ小僧に目が釘付けでしたが…、
しかしそんなカメラ小僧、彼は普通に良い人のミンソンでした。
サンイはその後、再び偶然インスを目撃します。
そして彼の名前を知ることに。
以降、インスの曲"Wish You~オリジナルミックス~"に夢中。
大丈夫か?というぐらいにインスの曲と動画を常に流していました。
家でもインスがギターで歌う姿をモニターに流し、アレンジしたキーボードの演奏を付けて一緒にハモって歌うぐらい熱中しています。
そして謎に理解のあるサンイの女性上司、イ代理もインスの曲に目をつけます。
彼女のプッシュもあって、音楽事務所の新人発掘会議でもインスと契約を結ぶことにOKとなります。
そしてサンイもイ代理の部下として”カン・インス プロジェクト”という、謎に壮大な計画に参加することになります。
事務所とインスとの契約ですが、その契約の一つに「事務所管理下の部屋に引っ越してもらう」という取り決めがありました。
嫌がるインスですが、今の住居から引っ越ししないかわりに、ある条件を飲みます。
それが…
「事務所の人間と同居してもらう」ということ。
そして、もちろん…。想像通り、事務所の人間=サンイでした。
理由として、デビュー前のスキャンダルを避けるため、だと。
期待の、超大型新人インス…(疑問)
いきなりインスと同居することに戸惑いながらも、内心嬉しそうなサンイ。
そんなサンイの任務は、24時間インスを監視というすごいもの。
24時間監視って…怖すぎ(困惑)
スキャンダルを防ぐためか、新人インスに相当な期待をかけている事務所のようです。
そして、インスの家に向かうサンイ。
このシーン個人的に気になったのが、サンイの持っている荷物でした。
他人と同居を開始するにあたって、キーボードや服の入ったスーツケース。
そして…もうひとつ、忘れてはならないアイテム(?)
トイレットペーパー
これは…一体…(熟考)
他人の家で暮らし始める時、もちろんトイレットペーパーも折半して買うべき/用意すべきアイテムなのは間違いないと思います。
しかし…これは…意味深なメッセージ!?
これは重要なメタファーに違いない…と、つい必要以上に深読みしてしまいました。
イサンさんインスタグラムアカウントより
インターフォンもない謎のドアをノックすると…上半身裸のインスが出てきました。
インスの半裸姿を凝視するサンイ。
(確かに凝視するほど、インスさんの肉体美がすごかったです)
ストリートミュージシャンの割には相当良い部屋に住んでいるインス。
部屋にはグランドピアノもあります。家というよりは、広いスタジオのような間取りです。
しばらく自己紹介的に話した2人、お互い96年生まれということもあり、打ち解け、腕を組むような形で握手を交わします。
が、ここで
謎の目つぶし照明
インス君の住んでいる部屋、かなり西日が酷い部屋のようです。
そして、この後のシーンには衝撃を受けました。
この映画の中でのハイレベルなメタファー・シーン!
2匹の子猫・・・。
突然映し出される、”無垢な”猫ちゃん2匹のカット…。
一体何を”表現”しているのでしょうか…(熟考)
そしてこの後、個人的にお気に入りのエピソードが続きます。
スタジオで「試し撮り」としてインスはレコーディングに挑みます。
しかし、プロデューサーが勝手に彼の曲をアレンジしたものを聴かされ、インスは激怒。
そのままスタジオを飛び出します。
彼の後をあわてて追いかけたサンイと、ちょっとした口論になります。
サンイ「事務所だって考えがある、戻ろう」
インス「俺の音楽を何だと?有名になるためじゃないんだ!」
私「契約の時、とにかく曲をランクインさせることを目指すって言ってたような…?」
しかし、更に驚くべく展開が続きます。
このプロデューサーの編曲、なんとドッキリだったのでした。
イ代理「彼が”真のアーティスト”か確かめたかった」
私「・・・・」(無言)
本物のアーティストか確かめるために、こんな茶番を…事務所…暇か?!
少々、呆れながらも面白いな~!と素直に思いました。
そして更に更にお気に入りのエピソードです。
デビューが決まりそうなインスのお祝いにと、サンイはミンソンも呼び食事をします。
この飲食店ですが、LGBTQフレンドリーなお店のようでした。
(が、わざわざそんなにアピールしなくてもというぐらい、ヒントが数回映ります)
そして実は、友人のミンソンも本当はインスLOVEだった様子でした。
サンイとインスが仲が良い様子を見て、複雑な表情を浮かべるミンソン…。
正直、切ない。
今まではミンソンがサンイの立場だったのにね…。
酔ったインスをミンソンとサンイが部屋に運び、ミンソンは「友達をよろしくな…」と自分の今までの想いを断ち切るように、そしてサンイを認めるように告げ、去ります。
ミンソン、せつねえ…。
再び、インスとサンイの2人の空間になります。
酔って寝ているインス…
見つめるサンイ…
(盛り上がる曲!)
インスにキスをしようとするサンイ…
(曲ストップ!!!!!)
キスするのを止めるサンイ
(曲、再び爆音!)
やっぱり寝ていなかったインス!
(曲、盛り上がり!~そして静かに終わる)
気持ちが高まったのか、寝ているインスにキスしようとするサンイですが、あと一歩の所で自制し、再びBGMが流れ始めます。
このサンイがキスを辛い気持ちで制止するシーンとBGMが止まるという、気持ちをリンクさせたシーンの描写が、かなり昭和っぽくて良いな~と大変気に入りました。
結局ウソ寝だったインス、サンイの気持ちを知って、この後一旦避けるターンか?と推測しましたが、普通に何事もなかったようにな仲良く過ごします。
しかし…気持ちを自制していたサンイでしたが、ある夜ついに気持ちが抑えきれなくなり、
遂にインスにキスしてしまいます。
が、恐れていたように、やはりその夜から2人の関係はギクシャクしてしまいます。
どう考えてもお互いが好きそうな2人でしたが、インスは何となく関係を受け入れられないのか、切ない関係になってしまいます。
この後インスはデビューに関してトラブルがあったりと、なかなかうまくいかないインスは部屋を飛び出して、音信普通状態になっていました。
心配し、そして彼を想うと辛くて消耗するサンイ…。一方で1人考えるインス。
そして2人の導き出した答えとは・・・!?
BL映画という枠でしたが、そのような形式は全く関係なく、インスさんもイサンさんも美形で映像も美しく、とても楽しめて観れた作品でした。
なかなか古典的なシーンや展開もベタですが良かったです。(ベタな展開が大好きなので)
謎に深読みを誘うようなメタファーがあったり、色々な中だるみをさせない効果もあり、全く飽きずに観れました。