ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

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韓国映画 狩りの時間(感想)

おすすめ度:50% ♡ ハラハラ度:85% ♡ 演技派若手集合度:90%

原題:사냥의 시간、2時間15分

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近未来の退廃した韓国を舞台に、ある危険な計画を実行する4人の青年。2020年公開の犯罪・スリラー系作品。

 あらすじ

経済的にも法的にも崩壊し、退廃したムードの韓国。
刑務所から出所したばかりのジュンソク(イ・ジェフンさん)は友人のチャンホ(アン・ジェホンさん)、キフン(チェ・ウシクさん)らと合流。
この希望のない街を出て、新天地でやり直そうという話をジュンソクは持ちかける。
サンス(パク・ジョンミンさん)を仲間に加え、4人で危険な計画を立てるが…。

 

感想

2020年春に劇場にて公開予定でしたが、コロナウィルスの関係でNetflixで公開となった作品です。

舞台が退廃した未来の韓国ということで、ディストピア感を出すために終始重苦しく暗いムードが画面から漂います。
しかし、映像背景のビジュアルや音楽の使い方、カメラワークが結構オシャレで、個人的に好きでした。
また、出演者4名も若手の実力派ということで、キャスティングや雰囲気も良かったです。
韓国映画やドラマはキャスティングが本当に絶妙でよいです)

特に前半部分はテンポが良かったと感じました。
後半にかけてストーリーは思ったよりもドキドキする部分が多かったですが、残念ながらテンポが失速し、お話部分が冗長気味かなと感じました。

俳優陣ですが:
ジュンソク(イ・ジェフンさん):
今まで観たイ・ジェフンさんの作品はほぼ全て”善人”役で、ご本人も真面目そうな雰囲気なので、今作の悪いタイプはかなり新鮮な印象を受けました。
しかし消しきれない善人感…悪人に演技的にもご本人的にもなりきっていない部分があって、
そこがまたキャスティングが上手いなあと感じました。
ただ、主演としてはちょっと迫力が弱い印象を受けました。
ジュンソクはとある事件で仲間をかばって捕まり、刑務所に服役していた。

キフン(チェ・ウシクさん):
4人の中で一番人情味があり、少し小心者のタイプ。身寄りのない他のメンバーと違って、両親共健在。
ウシクさん、怖い時は本当に怖いのですが(『The Witch』など)、この作品や『パラサイト』の時のように、心に弱さをもっている役など本当に上手いです。

チャンホ(アン・ジェホンさん):
ジュンソクにはお互い境遇も似ていて”借り”があり、危険な計画に真っ先に賛同。
どっしりとした体格もあって、見た目的にも4名の中でバランスが取れていて良かったです。

サンス(パク・ジョンミンさん):
賭博場のボーイとして働いている。ジュンソクから過去にお金を奪ったことがあり、脅される。それが原因となり計画の仲間入りとなる。

ゆるいネタバレありの感想

 イ・ジェフンさんインスタグラムアカウントより

出所してすぐのジュンソク(イ・ジェフンさん)は、危険な計画を仲間に話す。
「これが最後の仕事だ」と。
その計画とは、違法賭博場の襲撃だった。大金を奪って、この希望のない国から離れ、再び人生をやり直そう、と…。

キフン(チェ・ウシクさん)は計画に懐疑的で反対していました。が、チャンホは違いました。
真面目に犯罪を犯さず過ごしてきたが、何か変わったか?と。生活は一向に変化する兆しはなく、むしろ悪化していたのでした。

そんな3人は賭博場で働くサンス(パク・ジョンミンさん)に因縁をつけて、仲間に引き込みます。
そしてある夜、4人は賭博場を計画通りに襲撃します。
計画は上手く行った…ように思えました。

このあたりは、かなりどんどんテンポ良くストーリーが進み、ちょっと驚いたぐらいでした。
割と簡単に大金を手にして、リラックスムードの4人。
が、もちろんストーリーはそう簡単にすすみません。

彼ら4名はは防犯カメラ映像を残さない為に、ハードディスクを奪いとっていましたが、
これが問題になります。
防犯カメラ映像の他に、資金洗浄の重要なデータが入っていたので、組織はそれを非常に問題視するわけです。
そこから4人は”殺し屋”に目を付けられます。

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この殺し屋(パク・ヘスさん)ですが、とんでもねえタイプの殺し屋でした。

殺し屋に狙われるというシーンが比較的長く続くのですが、簡単に殺せる距離まで来ても、殺さず、まるでホラーのように遠くからジリジリと4人を追いつめてゆきます。

そしてそれは4人だけにではなく、まるで観ている我々にもプレッシャーをかけてゆくスタイルの殺し屋。
4人の顔にも脂汗のようなベタベタした”焦り”が常に付きまといます。

そんな関係を象徴するようなホテルのバーでの携帯電話を使ったシーンは、なかなか恐ろしかったです。

しかし、最初に殺し屋がジョンソクと真正面で対峙した時の殺し屋のセリフ・・・
「面白い、5分やるから遠くまで逃げろ」
一旦殺し屋は3人(ジョンソク、キフン、チャンホ)を逃がします。

この殺し屋の嫌な部分は殺しをゲームのように楽しんでいるところです。

そう、まるで「狩り」を楽しんでいるように・・・。

と、映画「狩り」とタイトルにかけて書いてみましたが、正直ここは
「ねえだろ・・・」(ガッカリ)
と本当にシラケてしまいました。
何のために一旦逃がすのか、何のためのゲームなのか…。

つまり、ストーリーがここから殺し屋とのかくれんぼになってしまっていました。

普通に彼ら4人は殺されるか、ハードディスクを返却されるように取引するか、という選択になりそうなところでしたが、殺し屋から逃げ・隠れするシーンがしばらく続きます。

もちろんこのあたりは観ていてドキドキハラハラという部分で、面白くないわけではないのです。
ですが…個人的に「一旦逃がしている」部分を引きずってしまいました。

そしてもちろんこの殺し屋だけでなく、キフンの両親の元にも追っ手は迫り、キフンは2人を置いて両親の元に帰ります。

そして、遂に殺し屋はジョンソクに銃口を再び向けることに。
もう終わりだと思った時、

謎の10人以上の集団が登場!!
私「?!?!」

この殺し屋、どうやら別の集団にも狙われていたようでした。
ここも、正直、登場タイミングと謎の都合の良さでシラケてしまいました。

数年後と思われるシーン。
ジョンソクはあの頃の希望通り、島で暮らしているようです。
しかし、友人たちを失った痛みと殺し屋に対する燃え上がるような恨みは失っていません。
裏社会の者から、あの殺し屋の情報を受け取ります。

アイツ、完全な不死身じゃねーか…(恐怖)

そう、謎の集団に打たれまくった殺し屋、なんと生きていたらしいとのことでした。
目の色が変わるジョンソク。
そして静かに決意します。

そう、まるで「今度は自分が狩る番だ」というように・・・。

と、再び映画「狩り」とタイトルにかけて書いてみましたが、
正直ここも「だと思ったよ」とシラケてしまいました。

狩る側、狩られる側は表裏一体というか、結局一緒という所。
そして、友の仇を討つために狩る…そんなジョンソクでした。

ということで、正直前半というか序盤のスピード感とワクワク感。それに比べて中盤から一体何と戦っているのかというぼんやり感。後半のご都合主義の部分とベタな終わり。

後半、近未来関係ねーよ…(泣)

特に設定が「退廃した近未来」という面白い始まり方だっただけに期待したのですが、途中から時代設定など一切関係なくなり、ただの普通の終わり方になってしまったな…という、かなり残念な気持ちになってしまいました。

メインの4名は若手ながらもとても良い演技をされる方達ばかりだったので、脚本の展開が残念でした。
勿体ない…そんな気分で観終わりました。

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