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韓国映画 ユ・ヨルの音楽アルバム(感想)

おすすめ度:100% ♡ 地味な話だけど心に残る度:100% ♡ また観たい度:100%
原題: 유열의 음악앨범 122分

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変化するもの、しないもの。2人の小さな恋を時代と共に描く2019年公開のラブストーリー映画。

あらすじ・キャスト

街角の小さいパン屋さん。
姉のそのパン屋さんで高校生のミス(キム・ゴウンさん)は手伝いでアルバイトをしている。
そんなある日、少年院で服役を終えたヒョヌ(チョン・ヘインさん)がアルバイト募集の張り紙を見て一緒に働き始めることになる。
1974年生まれのミスと1975年生まれのヒョヌ。
しかし、ヒョヌは”悪い友人”に誘われ、そのままパン屋に戻ることはなかった。
ヒョヌのことが密かに気になっていたミスだが・・・。

感想

ストーリーは何て事ない若い二人の恋愛のお話。
74/75年生まれの2人を高校生時代の90年代から2000年代の彼らが30代になるまでの時間を綴ったストーリー。
移り変わる時代の中で、街の開発やPC、携帯電話などが目まぐるしく変わっていく様子。
そしてそんな中でも決して変わらないものを描写していて、とても心にジーンとくる、とにかく一度観てみて欲しいラブストーリーの映画です。

タイトルの『ユ・ヨルの音楽アルバム』というのは、この映画全体のベースにあるラジオ番組名なんですが、これが本当にとても上手くストーリーに出しゃばらずに絡められていて、大変良かったです。

ミス(キム・ゴウンさん)とヒョヌ(チョン・ヘインさん)の2人がその年代毎にぶつかる問題である、友達、仕事など誰しもの人生において葛藤する出来事がうまく散りばめられていて、共感しやすく良いなと思いました。

時代を経て2人がそれぞれ成長する様子、街が開発されて発展する様子、携帯電話やEmail、聞いていたラジオが長寿番組になっていって…と不自然なく時間軸が描かれているところも素敵でした。

2人のぎこちないキスシーンや、また運命のように偶然出会うシーン、ちょっとレトロな雰囲気など、印象的な場面も多くて本当にとっても大好きな映画になりました。


ミス役のキム・ゴウンさん:

この映画作品がレトロな雰囲気を出しているのですが、その雰囲気に本当に似合っていました。
また、チョン・ヘインさんともとってもカップルとして似合っていました。
ゴウンさん、衣装もちょっとレトロな柄のワンピースなどを着用されていて、すごい可愛かった!!
演技もとても自然でしたし、本当にミスという女性がいそう…そう思わせました。


ヒョヌ役のチョン・ヘインさん:

服役していた少年の役だったので、無口で不機嫌そうだったヒョヌでしたが、ミスとミスの姉が普通に接してくれることで心を開き始めるところが可愛らしかったです。
ヘインさん、透明感があるというか、非常に穏やかで優しい雰囲気なのが本当にこの作品に合っていました。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
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 キム・ゴウンさんインスタグラムアカウントより

とにかくメイン2人のキャスティングが素晴らしいと思いました!
1990年代~2000年にかけてのレトロな雰囲気とキム・ゴウンさん、
チョン・ヘインさんが全てのシーンに合っていて本当にばっちりでした。

暗い過去を背負ったヒョヌ(チョン・ヘインさん)、悪い友達との縁を断ち切りたいものの、上手くはいきません。
また仲間を事故とは言え、死なせてしまった償いもあります。
そんなヒョヌですが、小さなパン屋さんで働きはじめます。
このパン屋さんの雰囲気がなんともレトロで可愛らしい…実在したら行ってみたいぐらい。

パン屋さんは、ミス(キム・ゴウンさん)と血がつながっていない”姉”が経営していました。
最初は雰囲気が悪かったヒョヌですが、普通に接してくれるミスと姉に心を開き、表情も穏やかになっていきます。
クリスマスのシーンは本当に良かったですね…。

しかし、そんな日々は続きません。
ヒョヌの少年院仲間にパン屋が見つかり、入り浸られてヒョヌは給料を前借し消えます。(トラブルを出先で起こして、ヒョヌは再び少年院に戻っていました)

ミスはヒョヌがいないお店でぼんやりと彼のことを考えます。
ミス、彼のこと好きだったんだよね…。

そして数年後…あの幸せな思い出のパン屋さんは閉店していました。
ミスは大学卒業間際ですが、就活が上手く行っていませんが、やっとのことで印刷工場の職を得ます。

そんなある夜、偶然2人は再会します。
「明日姉のお店(市場地下の韓国料理店)に行かないか?」と誘うミスですが、ヒョヌは「明日から入隊…」と告げます。
タイミングが悪すぎて、泣きそうになりました。

ミスを彼女の家まで送ってバイバイするヒョヌ…。

しかし、この後のシーン、良かったです!
ミスが少し考え、そして戸惑いながらも、ヒョヌを引き留めます。
ヒョヌをミスの家に招き入れ、暫く話す2人。
ヒョヌを泊めてあげますが、手を少し繋いだだけで眠ります。
この描写と翌朝の描写はミスとヒョヌらしいシーンでした。

翌朝、ヒョヌは入隊、ミスは新しい仕事と道が別れてしまいます。
一旦奇跡の再会を果たした2人ですが、再びまた小さなトラブルで別れ別れの道を歩む二人。

もどかしい…(泣)

数年後…時間は更に経過し、ミスとヒョヌは30代に。
ミスは希望通り、出版関係の仕事のようやく着けたようです。
そんなある日、奇跡の再会が…。
正直、奇跡の再会しすぎ…と思ったのですが、この作品ではあまり意地悪な目で見る事はなかったです。
演出的にそれほど、わざとらしくなかったからかもしれません。
それと、この2回目の再会のシーンが個人的にとっても雰囲気が良くて美しかったからかな…。

小さな出版社の建物の2階部分に、出版社社長の後輩の映像関係の会社が入ってきます。それがヒョヌの働く会社でした。
(この建物のロケーション本当に素敵でした)

何度かぼやけてヒョヌの影が映るのと、それに気づいて動揺と驚きを隠せないミスが本当に可愛かったです。
会社のみんなが帰宅し、1人残るミス。
外に出て2階を見上げるミス…ヒョヌも同じように1階を観ていました。

そしてやっと結ばれる2人でした。
このミスとヒョヌのラブシーンですが、かなり良かったです。
2人の緊張感と大切なものを扱うような様子、そしてチョン・ヘインさんとキム・ゴウンさんの「普通っぽさ」がリアリティがあって良かったです。
かなり美しいラブシーンでした。
また昔ミスが住んでいた部屋にヒョヌが住んでいるという設定も良かったです。

が、そんな幸せな日々は続きません。(何回目?)
ヒョヌの過去をミスがヒョヌの友達を通じて知ります。
ヒョヌが激怒し、2人の家(ヒョヌの家)を飛び出し、友達と殴り合いのケンカ。
その後家に戻るも、ミスはもう出て行ってしまっていました。

ここは正直、「どうして…」と思いました。
ヒョヌが少年院に入っていたこと、悪い友達がいることは昔からミスは知っていたはず。
いくらヒョヌは友人を殺してはいない、という部分が根底にあったとしても、それを今更ミスが知ったという部分で、そこまで怒らなくても…と少々不可解でした。

またヒョヌはいままで割と穏やかなキャラだったので、その落差もショックというか。
ミスもそれに対して「あいつら(悪い友達)と一緒」と言うところも…。
一緒ではないでしょ、どう考えても…。
若干不可解な印象をこのトラブルシーンからは受けました。

そしてこの後…。
この描写もかなり良いシーンの反面、社長が絡んでくるのが解せませんでした。
ヒョヌとミスがカップルということを気付いた出版社社長。実は社長もミスを狙っていたんですね。
建物から立ち退きを命じて、ヒョヌの会社は追い出されます。
そしてミスとこれから会うと社長はヒョヌに告げ、車ででかけます。

全速力で走ってミスと社長の車を追うヒョヌ
ヒョヌが追ってくることに気付いて車で泣き出すミス

ここはかなりこの映画で印象的なシーンで、ヒョヌの首元の汗と涙は
”本物”で切なくて良かったです。
そしてもちろん、キム・ゴウンさんの涙とセリフも効いていました。

しかし、社長…必要か?
正直社長が入ることで、この部分だけミスに少しズルさを覚えてしまって、ちょっとガッカリしました。
ここまで純愛を押し通していたので、ここに他の男性を含ませないで欲しかったです。
また、社長も社長で完全に利用されているだけの状態…。
ミスはそんなことする子じゃない!!と思ってしまいました。

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そして最後。ラジオ番組がカギになっていました。
映画タイトルの『ユ・ヨルの音楽アルバム』がずっと彼らの人生の節目に寄り添っているんですよね。
まず、ヒョヌ(チョン・ヘインさん)…刑務所でこのラジオを聞いていたのもあるし、DJが交代した頃にパン屋さんで働き始めて…。
ミスが就活で苦労していた時、パン屋さんの入っていた建物が開発で取り壊される時…。
偶然再会した2人が再び別れ、ラジオにハガキを投稿したり…。
かましくない程度に、自然にBGMの一部としてこのラジオ番組が上手く使われている事がとっても良いと思いました。
これがラジオ番組を前面に出していたりすると、わざとらしくて興ざめだったかもしれません。

最後、そのラジオ番組で再会を果たす2人。
今回はさすがに大丈夫でしょう!!!

ラストシーンあたりでかかる曲がCOLDPLAYの”Fix you"です。
歌詞もこの映画の2人に合っていて良かったです。
この”Fix you"は2005年発売のアルバム"X&Y"からで、そしてこの映画のラストシーンも2005年という設定です。

キム・ゴウンさんとチョン・ヘインさんの2人がとにかく自然体で演技されていて、観ていて完全に2人のファンになりました。
この映画のストーリーに本当にピッタリのキャスティングだと思います。

そして、この作品衣装がとっても”普通”で良かった!ワンピースやアクセサリーなど本当にさりげなくて上手いと思った衣装でした。

結構ベタなお話展開ですが、ラジオとレトロさ、そして俳優2人の持ち味が大変上手く使われていて新鮮に感じました。
ストーリ含め驚きや派手さは一切ないですが、ふとした時にまた観たいと思える素敵なラブストーリーでした。

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